【切手収集のマニアックな事情】郵趣のトレンドは使用例、使用済

切手とは郵便物を出す時に使うものだが、昭和40年代には切手の収集が流行し、珍しい記念切手などは高額で取引されていた。

今では切手収集の流行は下火になっているが、今でも古い切手などは買取をしてもらえるのだ。家で眠っている古い切手が高く買取してもらえたら、金欠の時などにはとても助かるだろう。

しかし、どのような切手が買い取ってもらえるのか、どうやって買取してもらうのがいいのか、知らない人も多いだろう。そこで、切手の買取についてまとめていく。

古い切手は高く売れるかもしれない

郵便局に行けば普通に切手は売っているし、種類はそれほど多くなく、ほとんどのコンビニエンスストアでも切手を買う事が出来る。そのような、現在販売している切手は、買取してもらおうと思ってもせいぜい金券ショップで額面よりいくらか安い金額で買い取ってくれるぐらいだろう。

しかし、古い切手の中には、思わぬ高額で買取してもらえるものもあるのだ。

「見返り美人」や「月に雁」という切手をご存知でだろうか。これは、切手収集が流行していた時に人気の高かった切手で、「見返り美人」などはハガキに貼られていると郵送途中ではがされてしまうほど人気が高かったのだ。今でも額面5円の「見返り美人」には1万5000円、額面8円の「月に雁」には2万3000円の値段が付いている。

そして、日本で一番高い切手と言われているのが、明治8年発行の「桜切手カナ入り（ヨ）」で、何と3000万円の値段が付いている。

そこまでではなくても、古い切手の中には高値で売れるものもたくさんある。古い切手を処分してしまう前に、買取してもらえないかどうか調べてみるといいだろう。

未使用のものでないと買取してもらえない？

切手は、一度使ってしまうともう使えない。では、使用済みの切手は買取してもらえないのだろうか。

以前は、未使用のものにしか価値がなかった時代もあったが、今では使用済みのものや使用例（実際に使われた郵便物丸ごとのもの）でも、昭和30年以前のものなどの希少価値の高いものに関しては高額で買取してもらえる場合がある。

また、消印の方に価値がある場合もある。珍しい局の消印や、消印自体が珍しい場合は高値で買取してもらえる事があるのだ。郵便局には、局ごとに風景日付印というものがある。そういったものを押してもらっていれば、将来価値が出るかもしれない。

実際に郵便局には、台紙に貼った切手を送ってきて「風景日付印を押して返送してください」というコレクターからの依頼があるそうだ。

製造面収集と使用面収集

切手収集には、「製造面収集」と「使用面収集」というふたつの大きな軸がある。いわゆる、使用前か使用後の違いだ。それぞれの価値、買取価格に関する情報を紹介する。

stamps / lisibo

製造面収集

「製造面収集」は、切手製造時の様々な変化を未使用切手で収集研究するものだ。例えば、戦争時には物資不足が原因で凸版印刷だっ普通切手が平版印刷になった。それに加え、紙の質が劣悪になり目打(めうち。切手の回りのミシン目のこと)が省略され、ついには裏糊までなくなった切手が郵便局で売られるという状況が昭和20年後半まで続いたのだ。

このような変化はすべて解明されており、専門カタログにも記載・分類されている。

このような収集は知的興味をそそられるものではあるが、フルシートや大きなブロックを収集せねばならず、なかなか容易ではない。事前学習要素が多すぎるため、一般の人には「ただの未使用切手が並んでいるだけ」にしか見えないことだろう。

使用面収集

しかし、もうひとつの「使用面収集」ならまだ理解が容易かもしれない。切手というのは、用途に合わせた額面設定で発行されるものだ。郵便局に行けば、はがき用に52円切手、封書用に82円切手といった金額の切手をいつでも買うことができる。280円は速達用額面であり、310円は簡易書留用等とはっきりしている。

そこで、本来の発行目的に沿った使われ方を、実際の郵便物を収集対象にして収集・研究していこうというムーブメントが起きた。このブームが一般化したのは、昭和40年代からだと言われている。

使用例と消印がメイン

以来約半世紀、数多くの収集家の手によって使用例収集が進み、今では未使用切手収集よりもこちらの方が主流となっている。さらに郵便局で使われる郵便用通信日付印(いわゆる消印)のタイプ別研究も進み、オークション誌では珍しいタイプの消印が押された使用済がカラーページにずらりと並ぶのがごく普通の光景となった。

参考として、マサスタンプさんのブログページをご覧いただきたい。上記の通り、様々な使用例(実際に使われた郵便物丸ごと)や消印(使用済切手)がメインである。

使用例収集の紹介

しかしながら使用例収集も、知識がないと理解するのに苦労するだろう。ここで、比較的わかりやすいものを2点ピックアップして紹介する。

50円みろく(赤)

昭和42年に発行された「50円中宮寺弥勒菩薩像切手」は”50円みろく(赤)”と呼ばれて親しまれている。ありふれた切手のひとつに過ぎなく、未使用なら今でも額面〜100円程度で手に入るだろう。使いやすい額面の切手として書留や小包などに盛んに使われたため、累計で数億枚発行されたろうと推定されている。

ところが、昭和51年の郵便料金値上げで事態は急変する。オイルショックの影響により、20円だった封書料金がなんといきなり50円に値上げされたのだ。2倍以上もの値上げは、それまでにはなかった異例の事態である。新料金用の50円切手も発行されはしたが、在庫切手から先に売るというのは今も昔も変わらない。

この50円みろく切手が先行して大量に使われ、年内にはほぼ売り切ったのであった。

しかし、ここにひとつ大きな問題が生じた。それは、日本発祥の先進技術である「色検知システム」に引っかかってしまうことだった。このシステムは、切手の色によって郵便物の種類を機械が自動的に区分けするもので、赤い切手は速達の色と決められていたのである。

要するに、みろく切手を使った郵便物を区分機にかけると、速達便だと誤認して弾かれてしまったのだ。そこで、一部の局では色検知機能を止めて区分と消印作業を行った。これを「強制押印」と言う。

昭和52年の使用例(強制押印)

図の封書は、昭和52年の使用例である。この頃には郵便局には在庫がなくなっていたので、おそらく差出人が家に買い置きして残しておいたものであろう。当時、この強制押印は盛んに行われていたと記録されているが、実際の使用例はほとんどは失われてしまったことが、後の研究で明らかとなった。

上の写真例は、もっともありふれていた封書の使用例であるが、特に珍しくもないので容易に捨てられてしまったのだろう。その結果、オークションに出品されると最低値1,000円くらいからスタートとなる。未使用単片評価の10倍である。

また、図右のはがきにも注目して欲しい。これも付加価値があるはがきなのだ。郵便料金値上げの際に、はがきは20円から40円になった。

しかしながら、いきなり2倍は大きすぎるというので、昭和56年1月から3月末までの約2か月間のみ暫定的に30円という緩衝時期があったのだ。このはがきは、まさにその時期にあたる。使用期間が極端に短いため、残された郵便物もたいへんに少ないので希少価値があるのだ。

どこで買取してもらえばいい？

古い切手のようなものは、コレクターにとっては高い価値があるものでも、興味のない人にとっては何の意味もないただの切手に過ぎない。多くの金券ショップでは、プレミア価値はほとんど考慮されないため、前述の「見返り美人」や「月に雁」のようなものでも額面通りの5円や8円の価値しか認めてくれないこともある。

高く買い取ってくれるところもあるのに、そのようなところで買取してもらうのは馬鹿馬鹿しい。では、どこで買取してもらえば高く評価してくれるのだろうか。

こんな時に役に立つのが、Yahoo！JAPANが提供するヤフオクなどのオークションサイトやメルカリなどのフリマアプリ。ある程度自分で価値が分かるのであれば、フリマアプリで買取してえもらいたい金額を設定すればいいし、価値が分からなければ、オークションに任せておけば、思わぬ高価査定がされる場合もある。

切手を売る際の注意点

オークションやフリマアプリで切手を売る際には、注意すべき点がある。それは、切手のコレクターはその状態にとても神経質だという点だ。

同じ切手でも保存状態の悪いものと、きれいに保存されているものとでは価値がまったく違ってくる。出品する際には、しわや汚れの有無、糊の状態、アルバムやリーフに貼る際に使用するヒンジの跡の有無などの情報は明記しておこう。

また、掲載する写真も鮮明なものを使ってほしい。デジカメではうまく撮れない場合が多いので、スキャナの使用がおすすめだ。未使用品の場合は、表だけでなく裏の写真を載せるのも忘れないようにして欲しい。

郵送する際も、封筒の中で動いて傷物にならないようにグラシン袋やＰＯＰ袋、ストックカードなどに入れて送るようにしよう。

また、未使用の切手を重ねて入れると糊が溶けてくっついてしまう場合があるので、個別包装にするかストックカードなどを使用しよう。未使用のものは指紋が付かないようにピンセットで扱う事も大切だ。

これらの取り扱いが杜撰だとトラブルの原因になるため、必ず注意するようにしよう。

切手を買取りしてくれる業者

このように、使用済の切手であっても希少価値の高いものなどは高値で買取りしてくれる可能性がある。以下で、切手を買取りしてくれる業者を紹介する。

おたからや

切手の買取も行っているおたからやでは、中国切手といった珍しい切手の買取にも強い。基本的には使用前の切手を取り扱っているが、店舗によっては使用済み切手の取り扱いもあるという。まずは最寄りのおたからやに聞いてみてはどうだろうか。

マクサス

何でも買い取りマクサスでは、楽器や家電といった一般の商品だけではなく切手も買取りしてくれる。オークション代行も行っているようなので、切手を売りに出したい場合は一度相談してみると良いかもしれない。

買取王子

買取王子も、あらゆる商品を取り扱う買取業者として有名だ。独自の買い取りポイントシステムもあるので、上手く有効活用して査定金額を上げるといいだろう。

切手は使用済みでも高値買取してくれる可能性がある

買取比較サイトのヒカカク！では切手・印紙買取業者を一覧化している。

もしも手持ちの切手を売る時は、切手・印紙買取査定業者一覧を確認してほしい。

また、それでも買取先が決まらないのであれば、思い切っておたからやで買取してもらってほしい。ここなら買い叩かれるということはまずない上、どんな価値があるのかについてもしっかり説明してくれる。買取先として選んで間違いない業者と言えよう。

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