弦が切れた、音が出ない、電源が入らない、ネックが折れた…。こんな状態に陥ってしまった壊れた楽器も、修理を得意とする専門店に持ち込めば意外な臨時収入に繋げることができる。弦楽器のヴィンテージ品の場合は数万円以上の高値が付くこともあるため、愛用の楽器を社会の役に立てるためにも進んで査定依頼をしてみると良いだろう。
今回は壊れた楽器に需要がある理由や、話題の買取店などの情報を紹介していく。なお、本コラムに記載する価格は2021年6月現在のものなので留意していただきたい。
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
壊れた楽器はなぜ買取してもらえるのか?
なぜ壊れた楽器が買い取ってもらえるのだろうか。壊れてボロボロになった楽器が買取業者から歓迎されるのは、下記の理由によるものである。
初心者や学生向けにリサイクル
壊れた部分を修理したリサイクル楽器は、楽器を習い始めたばかりの初心者や学生などから人気の高いカテゴリである。特に高額な楽器に手がでない学生バンドマンの場合は、多少の傷があっても演奏できれば十分と捉える傾向が高いため、簡単な修理をすることで多くの人から需要の高い楽器に生まれ変わるのである。
弦楽器は中古需要が高い
アコースティックギターやヴァイオリンなどの弦楽器は、中古ならではともいえる質の良い鳴りを求めて新品よりも木材の乾きが進んだヴィンテージ品に人気が集まっている。
特に人気ギターリストやプロのヴァイオリニストなどは、数十年~数百年という古い楽器を愛用しているため、壊れた楽器を修理しながら使うことに抵抗のないユーザが多いのだ。このような実情から考えても、自社内に修理部門を持たない中古楽器専門店を除けば、壊れた物を買い取ることが当然ともいえるのが楽器業界の常識なのである。
パーツ取りも可能
修理が難しいという判断により1,000円以下で買い取られたボロボロの楽器は、ほかの楽器のリサイクルに使うパーツ取り目的で収集されている。プロの職人から見ればどんな楽器でもパーツとしての価値を見出すことができるため、演奏不可能な状態であっても恥ずかしがらずに査定依頼をしてみてほしい。

こんな状態の楽器は買取できる?
楽器の故障といってもさまざまな症状がある。そこで、ここからは症状別に買取が可能かどうかを解説。手持ちの楽器の状態を確認してみよう。
音の出ないエレキギター
音が出ないエレキギターも、業者によっては買取可能である。パーツ取り用として、そしてヴィンテージギターなら鑑賞用としての需要があるからだ。使用感があり、演奏が難しい状態の「1960年代Fender デュオ ソニック」が51,500円で売れたケースもある。
錆びのあるサックス
錆びのあるサックスは買取できないことがあるが、高級サックスの場合は買取可能な場合がある。いくつかの業者に査定を依頼してみることがおすすめだ。
落とせる錆びであれば、落としてから売ったほうが高値が付きやすいが、無理に落とさないほうが良い。特に、ラッカーが剥がれたところにできた、赤茶色や黒色の錆びはそのままにしておこう。強引に落とそうとすると金属まで削れてしまい、音質に影響する。
青緑のサビは、綿棒やクリーニングペーパーなどを使えば取れることがある。ポリッシュで落とすこともできるが、使いすぎるとラッカーを剥がす可能性があるので注意が必要だ。いずれにしても、落とせないと感じたらそっとしておいたほうが良い。
故障したエフェクター
エフェクターは完動品以外は買取されないケースも多いが、業者によっては故障品の買取も可能。ジャンク品を扱っている業者に相談してみると良いだろう。
エフェクターの故障は、内蔵電池が切れているだけだったり、ジャックが緩んでいるだけだったりと、修理できるケースも多い。動かないからといって、もう使えないとは限らないのだ。
破損のあるアコギ
破損のあるアコギも、音の出ないエレキギターのように買取可能なケースがある。特にヴィンテージギターであれば高値が付く可能性が高い。以下、破損のあるアコギの買取事例なので、参考にしてほしい。
モデル | 状態 | 買取価格 |
---|---|---|
Gibson SGスペシャル | 塗装クラック・打痕あり | 4.65万円 |
Gibson J-50 Deluxe | 木部割れ・演奏性に問題あり | 3.55万円 |
1976年製Gibson・ES-335 | 改造・接触不良あり | 5.15万円 |
Gibson L1 | 打痕・塗装剥がれ・致命的な破損 | 8.85万円 |

参考:楽器の買取屋さん
音の出ない電子ドラム
音が出ない電子ドラムは買取できないケースが多いが、業者によってはジャンク品として買取対応できる場合がある。買取価格は安くなるが、粗大ごみとして捨てるよりはお得だ。
高価買取のためには
そのまま査定に持ち込むよりは査定額アップに繋がるため、これらのポイントを押さえて高価買取に繋げてほしい。
故障部分を把握しておく
楽器の状態をよく確認しどこが故障しているのか、不良部分を確認しておくことが必要。例えば、ギターの音が上手く出ない場合は、ネックの反りと弦の状態の2つの原因が考えられる。どっちが本当の原因かが分かれば、スムーズに修理に出すことができる。
付属品も必ず取っておき、一緒に売る
付属品がついているものもとても売りやすくなるため、保証書や説明書がついているだけで買取額は大幅に変わる。また、査定に出す際も、より正確な査定結果が得られる。
自分でできる修理は自分でしておく
不慣れが原因で無理矢理自分で修理をしてしまうと状態が悪化するかもしれないため、できる範囲の修理をすることが大事。ホコリを除去し、メンテナンス用のオイルを塗って見栄えやコンディションを整える程度なら、簡単にできるし数百円でも査定額アップが期待できる。
修理してから売る方法はアリか?ナシか?
壊れた楽器の修理は、フルートのタンポなどのパーツ交換で2,000円以上、トランペットやホルンなどの金管楽器の場合はロータリー、ピストン、抜差管の調整で4,000円もの高額料金がかかってしまう。今後も大事に使い続ける楽器であれば、このぐらいの料金を払っても修理をする価値はあるかもしれない。
しかし売却する場合は、楽器のメーカーと状態によっては5,000円前後の査定しか付かないこともあるため、無駄な出費を抑えて早めに査定に出すのが堅実な方法といえるだろう。
修理に出す場合は
症状が確認できたら、なるべく早めに修理に出すことが大事。なぜなら、故障している箇所を特定したり、パーツの取り寄せに時間がかかってしまうため、数日間楽器を預けなければいけなくなるからだ。
また、生産終了している型番のパーツは手に入れにくいため、同じパーツが入手できないと修理不可能になる可能性が高い。修理代金も、見積もり後にわかるため楽器を預けたその場ではわからない。
おおよそのリペア代金や修理代
シンセサイザー
- ・修理代金(技術料+点検料+部品代):約10,800円~16,200円
- ・オーバーホール(全点検整備+部品代):約21,600円~27,000円
- ・見積もり後の中止は中止料金が発生する場合もある:約8,000円
三味線
- ・糸巻調整:約1,200円~8,000円
- ・糸巻仕込み(糸巻代、仕込み代金含む):約9,000円~22,000円
- ・かんべり・棹みがき:約10,000円~50,000円
- ・さわりの溝 調整:約12,000円~20,000円
- ・東さわり取り付け(金物を含む):約15,000円~28,000円
- ・中木付け:約5,000円~6,000円
- ・皮張り替え:約7,000円~65,000円
ギター・ベース本体
- ・弦交換(弦代別):約500円~
- ・ストラップピン穴補修:約500円~
- ・ペグ交換:約2,000円~
- ・ピックアップ交換(パーツ代別):約3,000円~5,000円
- ・リフィニッシュ(塗装)はボディのみ:約50,000円~、ネックやヘッドなども含める:約80,000円~90,000円
- ・ネック、弦高、オクターブピッチの調整:無料〜約5,000円
- ・ネック折れ修理:約35,000円~60,000円
- ・ジャック、スイッチ、POT、コンデンサーなど交換(パーツ代別):約1,000円~
- ・フレットすり合せ:約6,000円~
- ・ナット溝調整:約2,000円~

木管楽器
フルート
- ・不良タンポ交換:約2,000円~4,000円
- ・バランス調整:約6,500円~
- ・バネ交換:約2,000円~
- ・管体割れ修正:約1,000円~
- ・全体磨き(手磨き):約13,000円~
クラリネット
- ・不良タンポ交換: 約1,700円~2,700円
- ・バランス調整:約5,500円~
- ・バネ交換:約2,000円~
- ・管体割れ修正:約1,000円~
- ・全体磨き(手磨き):約11,000円~
サックス
- ・不良タンポ交換一箇所:約3,300円~4,400円
- ・バランス調整:約16,500円~
- ・バネ交換:約3,000円~
- ・キイ曲がり・作動修正:約3,000円~
- ・ネックコルク交換:約3,300円~
金管楽器
トランペット
- ・ピストン調整:約3,300円~
- ・スライド調整:約11,900円~
- ・管体曲り修正:約3,300円~
- ・管体磨き:約10,800円~
- ・管体ケミカル洗浄:約13,000円~
トロンボーン
- ・ピストン調整:約3,300円~
- ・管体曲り修正:約3,300円~
- ・笠・底ネジ部修正・ロータリーキャップネジ修正:約3,800円~
- ・管体磨き:約16,200円~
- ・管体ケミカル洗浄:約8,000円~
フレンチホルン
- ・ピストン調整:約3,800円~
- ・管体曲り修正:約3,300円~
- ・笠・底ネジ部修正・ロータリーキャップネジ修正:約3,800円~
- ・管体磨き:約16,200円~
- ・管体ケミカル洗浄:約14,000円~
ドラムセット
- ・スネア:約5,000円~
- ・ベースドラム:約6,000円~
- ・フロアタム:約4,000円~
- ・タム:約3,500円~
- ・ペダル:約2,500円~
- ・シンバル クリーニング:約1,500円~
- ・スタンド関係:約2,500円~
- ・HHスタンド:約3,000円~
- ・タムホルダー:約1,200円~
- ・スローン:約2,000円~
修理をしてから査定に出すかどうか、しっかりと見極める必要がある。
ジャンク楽器の相場と買取実績
人気の高い楽器の場合は、ジャンク品であっても意外な高値が期待できる。今回は実際にジャンク楽器の相場と買取実績について書いていく。楽器を売る際にはぜひ参考にしてほしい。
壊れたシンセサイザー:1,000円~5,000円
KORGやCASIOという人気メーカーのシンセサイザーは、家電と同様に修理可能という理由で意外な高値がつきやすい。通電しないシンセサイザーでも1,000円~2,000円ほどで買い取られることが多いため、不用品回収に持ち込むよりもはるかに効率の良い処分法になるといえるだろう。
壊れたギター:1,000円~100,000円
ヴィンテージとしてのカテゴリを有するギターは、壊れていても数万円~100,000円ほどで買い取られる特殊な楽器である。1960~1980年代に作られた名高いギターの場合は、ヴィンテージとしての価値をきちんと判断してもらうためにも、査定実績の豊富な専門店に持ち込むようにしてほしい。
壊れた三味線:2,000円~10,000円
伝統工芸品としての価値がある津軽三味線は、撥皮が破けていても10,000円もの高値で買い取られる。琵琶や三味線などの和楽器はニーズの高いカテゴリとなるため、流通量の多い一般楽器と比べて高値査定が期待できそうだ。
壊れた木管楽器:1,000円~20,000円
補修が比較的簡単にできるフルートの場合は、クラリネットやファゴットなどと比べて高値で買い取られる傾向がある。また木管楽器は故障の内容も多岐に渡るため、自己判断で諦めるのではなくどんな状態でも査定依頼をする姿勢を持つようにしてほしい。
壊れた金管楽器:3,000円~15,000円
甲高い音色を出す金管楽器は、本体が大きく新品価格が高いという理由で高額査定が期待できる品目である。また金管楽器のジャンク品は部分的な凹みなどの症状も多いため、明らかな欠損がなければ演奏は可能であることも知っておくべきだ。
壊れたドラムセット:2,000円~20,000円
ジャンク品として持ち込まれるドラムセットの中には、スタンド類が一切なく、タムとスネアドラムだけという物もある。またスネアドラムのヘッドが破けてリムだけという状態でも十分にリサイクルができるため、廃棄処分する前に必ず査定をするのがおすすめだ。
故障品を歓迎してくれる買取業者6選
故障品を買い取ってくれる買取業者が分からず、買取に出せないと困っている方もいるだろう。壊れた楽器の売却先が見つからないときには、これから紹介する6つの業者を参考にしてほしい。
イシバシ楽器
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ジャンク品扱いの楽器に対して最低100円保証キャンペーンを実施している日本最大級の楽器専門店である。サイト内には買取価格の検索フォームも用意されているため、楽器売却の情報源として活用してみても良いだろう。
楽器高く売れるドットコム
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
楽器高く売れるドットコムは、楽器を高値で売るためのサービスだ。全国対応で、出張、宅配、店頭買取の3つの方法が選べ、全て無料。リアルタイムの市場相場を反映した査定で、公正な価格を提供している。迅速な査定と支払いで、最短当日に取引が完了。信頼できる専門家の査定と迅速なサービスを求める方に最適だ。
楽器買取.JP
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
楽器本体だけでなく、アンプやエフェクター、周辺パーツの査定もおこなう、良心的な買取専門店である。使い物にならないヘッドホンやマイク、DJ機器などの買取も可能であるため、スタジオの閉鎖などの際に利用のしやすいショップといえそうだ。
楽器の買取屋さん
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
首都圏を中心とした19都府県の出張査定をしている楽器買取専門店である。東京・神奈川など対応エリアの場合は電話から30分以内で査定に来てくれるため、楽器の処分や売却に時間をかけられない人におすすめの業者となっている。
楽器買取専門店ネオスタ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
楽器の改造箇所や壊れた部分のメモ添付を推奨するショップである。査定についてはWebと電話以外にFAXも用意しているため、パソコンやスマートフォンを持たない人でも簡単に査定依頼ができる業者となっている。
ハードオフ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ハードオフは幅広い品目の買取をしているリユースショップだ。品目ごとに専門のスタッフがいるので、しっかりと査定してもらえる。ジャンク品も取り扱っているので、修理が難しい状態の楽器でも買取できる可能性が高い。
宅配買取・店頭買取・出張買取のすべてに対応している。どの方法でも無料で買取してもらえるので、自分の都合に合わせて選ぼう。ハードオフ、オフハウス、ホビーオフなどジャンルごとに対応店舗が異なるが、楽器はハードオフが対応している。
ブックオフ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ブックオフは中古本を中心に幅広いジャンルを買取しているリユースショップ。全国に店舗を持つ大手チェーンなので、安心して利用できる。ジャンク品の場合は買取できない場合があるが、査定は無料なので気軽に相談してみよう。
買取方法は宅配・店頭・出張から選べる。いずれの方法も費用はかからない。出張買取は出張買取センターと店舗出張買取があるが、大きな違いはない。近所の店舗またはセンターを探し、依頼してみよう。

まとめ
今回は故障した楽器でも買い取ってもらうことは可能であるということを解説した。結論としては、状態さえ良ければ故障していてもそこそこの値段で買い取ってもらうことが可能だ。演奏には使えない不要な楽器でも、これから新たにバンド活動や練習を始める人にとって非常に価値多き存在に生まれ変わることもある。
修理をすると査定額以上の料金が取られることも想定できるため、ボロボロのジャンク品でも堂々と持ち込む姿勢を持ってもらいたい。
<参考>