大正~昭和時代に活躍した伊東深水の掛け軸は、多くの買取店で高額査定対象となる存在だ。こうした人気作家の掛け軸を所有していれば、相続などで得た美術品全般の処分や売却もしやすくなる。また彼の掛け軸の中には、1,000万円以上の高額査定が付く作品も存在するため、単なるコレクションだけでなく美術品投資にも適した作家と言えるだろう。
今回は、掛け軸の買取市場で多く見受けられる伊東深水のプロフィールなどを確認しながら、彼の作品を効率良く現金化する査定ポイントなどを詳しくご紹介していきたい。
本記事のポイント
- 伊東深水の実娘は女優の朝丘雪路
- 1000万円以上の査定がつく作品もある
- 美人画しか売れなかった時期もあるほど、美人画が人気

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日本画家・伊東深水の経歴や略歴
伊東深水(読み方:いとう しんすい)は、大正・昭和期の日本画や浮世絵を語る上で欠かせない非常に有名な作家だ。実娘は平成の時代も活躍中の女優の朝丘雪路ということで、意外な角度から彼の名前が紹介されることもある。
有名画家になるまでの経歴
小学校3年で学校を中退した伊東深水は、住み込みで働きながら翌年印刷会社の活字工となる。その後、浮世絵作家の中山秋湖に支持しながら、浮世絵や日本画を学んでいったようだ。こうしたさまざまな苦労を経て縁あって鏑木清方の元に入門できた伊東深水は、夜間学校に通いながら第12回巽画会展で初入選を果たすこととなる。
伊東深水の特徴である美人画
伊東深水は、日本画ならではとも言えるやわらかな表現で女性を描く「美人画」で知られる作家だ。美人画の美しさで有名になった彼には、一時期、それ以外の注文が全く来なかった時期もあったと言われている。
また美人画のモデルの多くは本妻・好子となっており、その大作は現在でも高い価値のある存在になっているようだ。戦後になると独自のテーマで日本画制作も行えるようになったそうだが、それでも伊東深水らしい価値のある作品の多くは美人画という実態がある。

伊東深水の有名作品と所蔵美術館
伊東深水の作品を最も多く所蔵しているのは、日本で初めて美術館による美術品収集を行った東京国立近代美術館だ。この施設には、1916年制作の「対鏡」、「遊女」、「明石の曙」、1950年代に描かれた「聞香」、「清方先生像」といった作品が所蔵されている。また紙本着色という技法で描かれた作品の多くは、熊本県立美術館でも鑑賞することができるようだ。
こうした形で大きな美術館で所蔵されている伊東深水は、日本美術界の歴史に高く貢献した日本画家だと捉えて良いだろう。
受賞実績
前述のとおり1912年・15歳で第12回巽画会展への初入選を果たした伊東深水は、その後、再興第1回院展、第9回文展、平和記念東京博覧会に出品を行うようになる。また1948年には日本芸術院賞も受賞しているため、精力的に日本画を描き続ける伊東深水の姿勢や活動は、当時の日本芸術界においても進歩に貢献したと判断されていたと捉えて良いだろう。
展覧会出品も多い
死没から40年以上経った今でも彼の作品に注目が集まるのは、全国各地で毎年のように行われている展覧会の影響も大きいと言われている。例えば2016年の「伊東深水展」は、高崎市タワー美術館や駿府博物館といった地方都市の施設でも開催されていた。また2017年には伊東近代美術館にて「二見が浦」や「涼」といった伊東深水の掛け軸が公開中となっているため、こうした展覧会の話題性も彼の美人画や掛け軸の買取相場が高まる一要因であると判断して良さそうだ。
伊東深水の代表作品一覧
- 「初雪」
- 「蛍」
- 「指」
伊東深水の掛け軸における買取相場価格
伊東深水のプロフィールから彼の作品に高い評価が集まる理由が見えてきたところで、次は古物市場や買取市場における価格についてご紹介していきたい。
ヤフオクで「晩涼」などが30〜34万円
伊東深水らしい美人画「晩涼」や、春らしい作品「梅」は、ヤフオクで30万円~34万円ほどの価格帯で落札されている。50号~60号サイズとなるこれらの掛け軸には、東京美術倶楽部の鑑定書と共箱といった付属品がきちんと付けられている。「梅」については66件もの入札が入っていたため、コンディションの良い伊東深水の掛け軸であれば美人画以外であっても高値で売れると言えそうだ。
しかしこうしたネットオークション出品の多くは美術品売買のプロによって行われているため、素人の皆さんがヤフオクなどを利用する場合は真贋のチェックを含めてさまざまな注意点があると捉えるようにして欲しい。
なんでも鑑定団で「雪の朝」が400万の鑑定額に
人気テレビ番組・なんでも鑑定団にも、伊東深水の掛け軸や色紙、日本画作品が多く出品されている。例えば、昭和初期の女性の風俗が精巧に描かれた「雪の朝」には、200万円もの鑑定額が付けられている。これに対して額装に入った昭和30年前後の美人画「待月」には、依頼主が付ける本人評価額を遥かに上回る400万円もの鑑定額が付いた実績もあるようだ。

美術オークションで「牡丹雪」が〜1000万円
続いて国内の美術品オークション市場では、500万円円~1000万円前後の相場で伊東深水の掛け軸が落札されている。例えば、伊東深水の浮世絵への憧れを感じさせる「牡丹雪」という額装の日本画には、700万円~1000万円もの落札予想価格が付けられている。この実績のある会社では近代美術オークションで伊東深水の作品を取り扱っていたようだ。
木版画の場合
伊東深水は日本画のほか、木版画の作品もある。多くは、数千〜数万円での査定となるようだ。需要があるものについては、数十万の査定になることもある。
その他、伊東深水の買取相場・買取価格例
- 「初雪」250万(緑和堂)
- 「菊薫る」100万円〜120万円(アート買取協会)
- 「初雪」60万円〜80万円(アート買取協会)
- 「蛍」40万円(八光堂)
- 「松竹梅」30万円(八光堂)
- 「新秋」15万円(八光堂)
- 「花」3万円(八光堂)
美術オークション落札予想価格例
- 「春雪」1000万円〜1500万円(SHINWA AUCTION)
- 「訪問者」1000万円〜1500万円(SHINWA AUCTION)

伊東深水の絵画作品の買取価格や値段を上げるポイント
最後に、伊東深水の掛け軸の売却を考えている皆さんと一緒に、買取業者の利用でスムーズに現金化する査定ポイントを確認しておこう。
掛け軸はコンディションが悪くなりやすい
共箱に直接入っていることの多い掛け軸は、額装の日本画作品と比べて経年劣化が生じやすい傾向がある。また伊東深水が亡くなってから40年以上経つ近頃では、買取店に持ち込まれる作品の多くにコンディションの低下が見受けられる。作品の取扱いや保管方法などで不安要素がたくさんあるなら、査定依頼を兼ねて一度買取業者に相談をしてみた方が良いだろう。
伊東深水の買取に適した専門業者の特徴とは?
伊東深水の作品の持ち込み先として適しているのは、日本画、掛け軸、近代美術の買取に積極的な専門店だ。特に大正~昭和期の日本画に詳しい査定士の在籍する買取業者なら、さまざまな角度から作品の価値判断をしてもらうことができる。また伊東深水に詳しいスタッフであれば、コレクションのこだわりや作品の特徴についても話しやすくなるため、こうした専門店を利用することでストレスや不安や上手く解消できるとも言えるだろう。
査定士に掛け軸の作品情報を細かく伝える
スピーディーな査定や現金化を求めるなら、担当の査定士に作家名、作品名、制作年代、サイズ、技法といった細かな作品情報を伝えた方が良い。なるべく多くの情報を教えることができれば、買取店側でも買取相場の調査がしやすくなる。また宅配買取や出張買取サービス利用時は事前に写真の送付を求められることもあるため、問い合わせ前に準備しておいた方が良いと言えるだろう。
買取業者への掛け軸持ち込みが難しい場合は?
美術品の中でもサイズの大きな掛け軸や日本画は、所有者自身が買取店への直接持ち込みが難しいと感じるカテゴリだ。こうした美術品にダメージを与えず査定にかけるためには、買取業者の鑑定士が自宅に来てくれる出張買取サービスの活用がおすすめとなる。また近頃では、送料・返送料無料で宅配買取を行う専門店も増えているため、所有者が自分で梱包ができる場合は、こちらのサービスを活用してみても良いだろう。
出張費無料の場所を選ぶ
総合美術買取センターのような大きな専門店では、地方都市に住むお客様の掛け軸についても、出張費無料で買取をしてくれる。ただし、基本的に出張買取利用前には作品情報や写真などを使って仮査定を行う必要があるため、査定士が自宅に来てくれる場合であっても問い合わせ前の準備は必要だ。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
LINE査定に対応している買取業者
緑和堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
関西、中部、関東エリアを中心に骨董品や美術品の買取や販売を行っている緑和堂。LINE査定も行っており、伊東深水の作品を高価買取中。ホームページには作家紹介ページもあり、参考買取価格として「初雪」が250万円と記載がある。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
買取ナンバーワンの実績を誇る本郷美術骨董館では、全国の出張のほか査定・買取方法が充実している。電話、写真、来店、宅配、出張、鑑定会、LINEのいずれかから鑑定を依頼することができ、オークション代行も可能だ。
出張買取に対応している買取業者
いちのや
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
神奈川・東京を中心に関東近郊へ無料で出張を行っているいちのや。いちのやでは、伊東深水の版画・浮世絵作品を積極的に買取している。買取実績の記載はないが、ホームページでも作家や作品を紹介している。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大手買取業者の八光堂。八光堂では日本人画家・伊東深水制作の掛軸を高価買取している。「晩涼」「梅」「雪の朝」「牡丹雪」などの作品は大変評価が高く、価値ある古美術品として高値で取引されているとの記載がホームページにある。
比較検討して慎重に売ろう
伊東深水の作品は日本画でも買取価格の差が大きく、木版については数千円〜数万円からなることが多い。自分の持っている作品が何であるか、よく確認した上で売却に臨む方が良いだろう。
買取価格も業者によって大きく異なる可能性が考えられるため、比較検討をしていきたい。「ヒカカク」では、一括見積もりも実施している。