重要文化財や重要美術品の指定作品を多く残している酒井抱一は、掛け軸の買取市場においても注目すべき存在だ。江戸時代後期に活躍していた彼の作品には、当時の芸術文化や歴史を知る上でも見逃すことのできない高い価値がある。また江戸琳派の祖である酒井抱一は、琳派を研究する学者などにも注目されているため、投資や鑑賞用として美術品を集めるコレクター以外の存在によっても、買取相場を含めた価値が高まりやすい存在だと言えるだろう。なんでも鑑定団というテレビ番組でもたびたび鑑定対象のお宝となっている。
今回は、酒井抱一のプロフィールや江戸琳派としての活動などを確認しながら、掛け軸、大和絵、初期作品といわれる水墨画や浮世絵などにおける査定ポイントの整理を行っていきたい。
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酒井抱一とは?
酒井抱一は、江戸時代後期に活躍した絵師だ。寛政6年に兄の死をきっかけに出家をした酒井抱一には、権大僧都としての一面もある。また若い頃には馬場存義に入門をして俳諧や狂歌に触れていた時期もあるため、彼の絵画作品や掛け軸の落款には、狂歌名や俳号が使いまわされているようだ。
尾形光琳との出逢い
酒井抱一の絵師としての歴史には、彼が長年私淑し続けていた尾形光琳の存在が大きく関係している。寛政年間半ばから私淑を始めた抱一は、知識人の中で評価の高い光琳を制作活動の支柱としていた。また細々ながらも光琳派の絵師は江戸で受容される存在となっていたため、光琳の意志を受け継いでいた俵屋宗理や立林何帛といった人達の影響も大変大きかったと捉えて良いだろう。
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光琳百回忌と江戸琳派の確立
追慕する宝井其角の百回忌にあたり、酒井抱一は文化3年に彼の肖像を百幅描いた上、多くの人々に贈ったと言われている。また抱一のこの行動は、間もなく訪れる尾形光琳の百回忌を意識する上で大きなきっかけになったようだ。こうした形でその9年後の文化12年に光琳百回忌を開催した酒井抱一は、同時期に行った光琳遺墨展を通して出会った光琳の優品に多大なる影響を受け、江戸琳派の絵師として大きな成長と挑戦を続けていく形となる。
雨華庵での制作活動
根岸の隠居所に雨華庵の額を掲げてから、酒井抱一の制作活動は更にエネルギッシュになっていく。後述する重要文化財の数々は、この時期に作られたものだ。また晩年は事実上の後継者となる鈴木其一などの門人を迎えながら、画業の集大成とも言える「十二か月花鳥図」などの制作も行っていたようだ。
酒井抱一の代表作品と所蔵施設
江戸琳派の祖となる酒井抱一の作品は、重要文化財や重要美術品としての指定が非常に多いことでも知られている。またこうした国が歴史や芸術文化上の高い価値と認めた作家の作品は、その多くが美術館や博物館に所蔵されることにより、買取市場に流通する絵画や掛け軸が非常に少ない傾向がある。
こうした高い価値によって流通量の低い酒井抱一の掛け軸や絵画作品は、希少性の高さといった意味でも、多くのコレクターや画廊が高い関心を示す存在だと言えるだろう。
風神雷神図屏風
出光美術館に所蔵されている「風神雷神図屏風」は、酒井抱一が私淑する尾形光琳の作品を模写したものだ。同じテーマで描かれた抱一の「風神雷神図屏風」には、光琳と比べて遥かに擬人化と平面化が誇張された特徴がある。またこうした作品の特徴は、原図を知らないことによって生じた現象だと捉える専門家もいるようだ。
夏秋草図屏風
風雨草花図という正式名称を持つ「夏秋草図屏風」については、東京国立博物館に所蔵されている国の重要文化財だ。尾形光琳の美意識への敬意を込めて描かれたこの作品には、静寂な雰囲気の中に密かな緊張感も隠れている。またこの屏風は、雨華庵移住後に制作されたことでも知られているため、酒井抱一の集大成とも言える芸術の粋やエネルギーが鑑賞者を魅了するとも言えそうだ。

白繻子地梅樹春草模様描絵小袖
2016年4月に福井市郷土歴史博物館で公開された「白繻子地梅樹春草模様描絵小袖」も、国の重要文化財だ。普段は国立歴史民俗博物館に所蔵されているこの作品は、極めて数が少なくなってしまった現存する描絵として大変注目度の高い存在となっている。また絵師が一発勝負で描く描絵の小袖は江戸時代の女性の憧れであったと言われているため、当時の文化を知る上でも、この作品は重要な歴史的資料になると言えそうだ。
河豚に烏賊図
花鳥や草花ではなく、魚類をテーマにした希少で珍しい作品。
芥子・藪柑子図
芥子(ケシ)と藪柑子(別名・十両)の対照感が俳味・哀愁を醸しだした名作だ。
酒井抱一の掛け軸などの買取相場
前述のとおりダイナミックな作品の多くが美術館や博物館に所蔵されている酒井抱一は、買取市場における取引実績が少ない作家となる。しかし誰もが利用できるヤフオクなどには、稀に比較的売買のしやすい掛け軸が出品されることもあるようだ。
インターネットオークションにおける酒井抱一作品の買取相場
ヤフオクにおける実績で高額落札となったのは、2羽の鶏と花々が精巧に描かれた「鶏図」という掛け軸だ。最終落札額が354,000円となったこの作品には、144件もの入札が入っている。これに対して現在オークション開催中の「蝶に花」という掛け軸については、5日もの残り時間がある状態で94件の入札・99,600円もの現在価格となっているため、現存数の少ない酒井抱一の掛け軸を出品すればインターネットオークションでもそれなりの価格が期待できると言えるだろう。
開運なんでも鑑定団にも酒井抱一の作品は多く出品されている
人気テレビ番組・開運なんでも鑑定団にも、4作品もの仏画や掛け軸が出品されている。室町時代の僧侶・祥啓の観音図を手本とした仏画については、所々に酒井抱一の特徴が見受けられるという理由で、35,000,000円もの鑑定額が付けられた。また酒井抱一の仏画は、全て合わせても十数点しか描かれていないと言われているため、こうした希少性の高い掛け軸であれば数千万円を狙えると捉えて良いかもしれない。

偽物・本物の見分け方
本物の酒井抱一の掛け軸には本人の「抱一筆」という直筆のサインが入れられており、これによって見分けることが出来る。尚、クオリティの高い偽物になってくると、このサインまで模倣してあるため、正式な真贋判定を美術商や絵画鑑定業者に依頼するべきだ。尚、江戸時代の時点で作成された贋作はそのまま重要な資産として受け継がれており、本物だと信じられたままであったが実際は偽物というとんでもないケースも存在する。
酒井抱一の掛け軸などを高価買取に繋げる査定ポイント
最後に、酒井抱一の掛け軸や絵画作品の売却を考えている皆さんに、高価買取に欠かせない査定ポイントをご紹介しておこう。
酒井抱一の作品には模写や偽物が多い
酒井抱一のように国立美術館などが所蔵する重要文化財の多い作家の場合、抱一の作品を真似て描かれた偽物や模写が大変多く出回っている。また上手に真似ることのできた絵画作品の場合は、酒井抱一自身が描いたものだという嘘の情報とともに先祖代々受け継がれている可能性もあるため、注意が必要だ。こうした形で間違いなく酒井抱一の作品だと判断できない掛け軸を所有しているなら、早めに査定依頼をして真贋だけでもはっきりさせておくべきだと言えるだろう。
掛け軸はコンディションが落ちないうちに手放す
湿気を吸収しやすい特徴のある掛け軸は、額装の絵画作品と比べてかなり早く経年劣化が進む難点がある。こうした特徴を知らずに適当な方法で鑑賞や保管をしていると、高価買取に欠かせないコンディションがどんどん落ちてしまうと考えた方が良いだろう。もし所有している掛け軸の扱いが上手にできない場合は、紫外線による日焼けやカビ、紙のヨレなどが増えないうちに手放すことを考えた方が良いかもしれない。
酒井抱一の掛け軸買取に適した業者の特徴とは?
重要文化財や重要美術品にも指定される酒井抱一の掛け軸は、江戸琳派や琳派の歴史や特徴に詳しい業者に売却するのが理想となる。また前述のとおり作品によっては数千万円もの価値がある場合も考えられるため、買取実績が豊富で資金力の高い業者のお世話になることも忘れないようにして欲しい。
中小の骨董買取業者や質屋等では対応が難しいはずなので上場企業が運営しているバイセルや資金力のある福ちゃん、その他、本郷美術骨董館等の買取店がオススメだろう。
作品集や専門誌に掲載されている作品は高く売れる
やはり何らかのメディアを通じて知られている作品ほど欲しいと思う人が増えるため、また販売する時も○○という専門誌に乗っている作品だと説明を付記した上で販売が出来るため売れやすくなる。つまりこれらの作品は高く買取しても利益が出るというわけだ。
知識・経験豊富なおすすめの買取業者「すみのあと」
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対策
すみのあとは書道具専門の買取業者で、掛け軸や古書、政治家や武士の手紙などの買取もおこなっている。俳人としても知られている酒井抱一は絵だけでなく、大短冊のような書作品もあることから買取対象になると考えられるだろう。
すみのあとは創業30年以上の知識と経験があり、作品的な価値が高い場合、自社で買取をおこなうよりもお客の利益を考えて、もっと有益な売却方法を提案してくれる。
出張買取や宅配買取、店頭買取をおこなっているが、気軽に査定ができるLINE査定も採用しており、売れるものなのか不安がある場合は相談してみるといいだろう。