絵画や書画、白磁、七宝など多彩な種類がある中国美術。近年では、中国の富裕層間で広がった中国美術が空前の買戻しブームにあるとされている。コレクターの多いオークションでは、数十億円を超える値段で落札されることもめずらしくないのだ。
今回は中国美術の世界高額ランキングを独自調査した。買取依頼の際に覚えておきたいテクニックも紹介するので、ぜひ最後まで目を通していただきたい。
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中国美術とは
中国美術と聞いて絵画や書画などを思い浮かべる人は多いが、印材や翡翠、鼻煙壷、中国切手などさまざまなジャンルがある。中国の歴史と文化の発展に密接な関係を持っているのが中国美術だ。
青銅器は中国美術のルーツとも言われる殷王朝の際に数多く制作され、書や絵画が発展した時代に秦・漢がある。また、文化の発展がめざましかった魏晋南北朝・隋・唐、五代十国・宋の時代。そして元・明・清・近現代にいたるまで、その歴史をひも解くことも味わい深い。
時代背景の特色から、各時代それぞれに特化したコレクターがいるのも納得だ。代表的な中国美術として知られているものには、斉白石の絵画や呉昌碩の書画などがある。ほかにも、海外コレクターからの人気も高い陶磁器などがあり、本物であれば高い価値で取引される品が多いのも中国美術の特徴だ。
中国美術の世界高額ランキング
前述のとおり、本物であれば高い価値になる中国美術だが、実際はどれくらいの値段がつくのか気になるところだろう。こちらでは中国美術の高額ランキングTOP10を紹介する。1位は一体いくらになっているのか、ぜひ最後まで見ていただきたい。
第10位:曾梵志 / 最後の晩餐
中国美術の世界高額ランキング第10位は曾梵志の油彩画、最後の晩餐だ。美術品競売大手サザビーズの競売にて、落札価格は約22億8800万円だった。
2001年に制作されたこの作品は横幅が約4mある大型のもので、レオナルド・ダ・ヴィンチが15世紀に描いた同名の作品から発想を得ている。破片が散らばるテーブルにマスク姿の13人を描いている曾梵志の代表作・マスクシリーズの1つだ。
第9位:清朝時代の皇帝印
第9位は清朝時代の皇帝印で、価格は約26億円だ。2016年12月14日に仏競売会社ドゥルオ開催のオークションで落札された。
赤と薄茶色の軟玉翡翠で制作されており、皇帝の象徴である竜の刻印が刻まれた希少な印だ。側面に9頭の竜が彫られているが、こちらは皇帝の権力を表しているとされる。また、中国史上最長の在位期間を誇り退位後も実権を握り続けた乾隆帝時代のものであることも価値を高めた要因だろう。
第8位:乾隆帝時代の花瓶
第8位は乾隆帝時代の花瓶で、想定価格は約34億円。当初、約56億円で中国出身者によって落札されたが未払いトラブル末に再オークションにかけられた中国の古い磁器の花瓶だ。
この花瓶は乾隆帝のために作られたとされる説が有力で、1740年前後に制作されたと見られている。上部が黄色で下部が水色となっており、下部には魚が描かれ精巧な装飾が施されている。
第7位:王羲之の模写 / 平安京
第7位は王羲之の模写である書画、平安京だ。価格は約38億7400万円。書の芸術を確固たるものとした普遍的存在であるとされ、書聖と言われた東晋時代の著名書家である王羲之だが、直筆の作品は戦乱などでほとんどが消失している。
そのため、この平安京は後世に複写されたものか拓本だと考えられているのだ。また、後世への影響は大きく「書道を習う者はまず王羲之を学んでから他を学べ」とさえ言われたほどだった。
第6位:任仁發 / 五王醉歸圖
第6位は任仁發の図巻、五王醉歸圖で、価格は約41億円。この作品は、唐王朝の皇帝とその兄弟4人を加えた5人について描かれている。宴会で酔っぱらった様子が絵になったものだ。
オークションでの落札となった五王醉歸圖だが、75分もの時間がかかったとされている。また、入札のやりとりは100回以上を記録しており、そのエピソードが話題となった作品でもあるのだ。
第5位:斉白石 / 松柏高立図-篆書四言聨
第5位は斉白石の水墨画、松柏高立図-篆書四言聨で、価格は約53億4215万円。斉白石の作品の中で横幅がもっとも広く、縦が約2.6m、横1mとなっている。松に止まった鷹が中央に描かれ、両脇には対聯が書かれている作品だ。
斉白石は中国で近代絵画の巨匠とされており、人民芸術家の称号を与えられている。日本では控えめな知名度だが、ピカソが称賛する中国のピカソと言われているのだ。
第4位:蘇軾 / 木石図
第4位は蘇軾の水墨画、木石図だ。価格は約67億6000万円。中国でもっとも偉大な文学者である蘇軾が、1000年近く前の宋王朝時代に制作した。枯れた枝をつけた竜を彷彿とさせる古木と根元にいかめしい岩が描かれている。
蘇東坡の名前でも知られる蘇軾は中国文化史上の重要人物の1人であり、蘇軾の作品と確定されているものが数点しかないという。世界でもっとも珍しい中国絵画のひとつだとも言われている。
第3位:黄庭堅 / 砥柱銘
第3位は黄庭堅の書画・砥柱銘で、価格は約69億円。作品は37.6cm×824cmの巻物となっている。
黄庭堅は、前述した蘇軾とともに宋王朝時代の詩を代表する人物だ。蘇軾を師としており、蘇黄とも呼ばれている。草書をもっとも得意としているが、洗練された力強い行書も魅力的だ。独特の書法は後世にも大きな影響を与えたとされている。
第2位:王少飛 / 高い太陽
第2位は王少飛の水墨画・高い太陽だ。価格は約85億円で、水墨画の単一作品における評価収蔵価格が世界記録を更新した作品として知られる。オークションでは基本的に億単位の価格が付けられるほどの価値を持つ画家だ。
独特の画風から東洋のピカソの異名を持つ王少飛は、3歳から絵を描き始めた。中国絵画芸術最高栄誉賞や国連金賞など、数々の受賞歴を持ち、世界各地で数十回におよぶ個展を開催している。
第1位:斉白石 / 山水十二屏
第1位は斉白石の作品・山水十二屏で、価格は約160億円。山水十二屏は12枚1組とされる作品で、それぞれが180cm×47cmの大きさがある。詩、書道、絵画、篆刻がそろう完璧な作品と言われており貴重だ。
1925年に描かれ北京の名医・陳子林に贈呈した作品で、57回の入札を経てオークションで落札された。現存する斉白石の山水十二屏は2つしかないと言われており、希少性が高い。
おすすめの中国美術買取業者
中国美術は、本物であれば高額で取引されることが多いアイテムだ。こちらでは、実際に中国美術を買取に出したい場合に役立つ、おすすめの買取業者をいくつか紹介する。眠っている中国美術がある人は、ぜひ参考にしてほしい。
日晃堂
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日晃堂は、美術品や骨董品の買取専門店だ。丁寧な査定と買取価格が売りで、確かな目で査定してくれる。中国美術の掛軸では斉白石が高額買取の指定アイテムとなっているので、該当する物があれば相談してみよう。知識豊富な鑑定士が手数料無料で判断してくれる。
買取方法は、宅配と出張がメインだ。全国に無料出張してくれるので、大きくて持ち運べない物や割れやすい物などを買い取ってほしい場合に利用しよう。条件にもよるが、その場で現金化されるのもうれしいポイントだ。
八光堂
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八光堂は、骨董品・美術品買取をおこなう老舗だ。初代店主の嵜本政司氏は鑑定士としてテレビなどメディアにも数多く出演している。40年以上の買取で得た知識と豊富な経験、10万件以上の買取データを元にした査定でユーザーから信頼されている業者だ。
品物を丁寧に扱うことはもちろんだが、高額になりやすい買取データなど個人情報もセキュリティ対策をおこなっているので安心できる。買取方法は店頭と出張の2種類だ。店頭買取の場合は、待ち時間なくスムーズに対応してもらえるので事前予約して行こう。
総合美術買取センター
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総合美術買取センターは中国美術を含む、美術品の専門買取店だ。絵画や陶磁器などジャンルごとに専門の鑑定人が在籍している。クーリングオフ制度を導入しており、契約日から8日以内は無条件でキャンセルできるので日を置いて慎重な判断がしたい人にもおすすめだ。
中国美術の豊富な買取実績を持っているので査定にも信頼がおける。買取方法は宅配・店頭・出張の3種類だ。自身での梱包や運搬時の破損などが心配な人は、手数料がかからない出張買取を利用しよう。
北岡技芳堂
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北岡技芳堂は、美術品を幅広く買い取ってくれる業者だ。創業70年を超える老舗で、経験と実績からアイテムの真贋や価値を適切に判断してくれる。美術品を扱うギャラリーとして実店舗を構え、全国各地の有名百貨店とも取引をおこなう美術品卸売業者の顔も持つ。
また、代表であり鑑定人の北岡淳氏は多数のテレビ番組で鑑定をおこなっている。確かな目で査定してくれるので安心して依頼しよう。買取方法は宅配・店頭・出張の3種類だ。宅配買取は送料無料となっているので、店頭に足を運べない場合などにおすすめだ。
アジアアートギャラリー
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対策
アジアアートギャラリーは中国美術を筆頭に、宝飾品や古銭などを買い取っている。中国美術専門の鑑定士がいるので、不明点も安心して相談してみよう。中国美術の買取経験は多種多様で、買い取った中国美術は直接中国の美術品オークションに出品している。
中間コストを抑えられているため、高額買取につながっているのだ。買取方法は宅配・店頭・出張の3種類。店頭買取を利用する場合は、事前予約が必須となっているので注意してほしい。
中国美術を高く売るコツ
最後に、中国美術を高く売るためのコツを紹介する。簡単なテクニックで高額買取が期待できるものもあるので参考にしてほしい。
鑑定書にも価値がある
中国美術の価値は鑑定書の有無によっても変わってくる。鑑定書があれば、本物であることを証明できるからだ。また、鑑定書以外にも買取の際にチェックされるポイントが、中国美術の入手時期だ。
2007年に中国国家文物局が基準改定をおこない、1911年以前の文物が持ち出し禁止となった。よって、数年前に中国で購入した美術品は高値が期待できない。20年以上前に入手したものは、当時の価格よりも高値で買取される可能性が高い。
保存状態に注意
価値のある中国美術でも鑑定では保存状態もチェックされる。絵画のシミや破れ、陶磁器のヒビやカビなどどれもマイナスポイントだ。どんな美術品でも高温多湿を避けて保管しておくことをおすすめする。
絵画などは基本的に自分でのメンテナンスは不可能だが、陶磁器の簡単な汚れは落とせる。表面の軽いホコリやシミなら柔らかいブラシを優しくあてて取り除こう。作業の際には、手垢などがつかないように専用の布手袋をはめて作業してほしい。不安な場合は、無理せずプロに依頼しよう。
中国美術専門業者を複数比較しよう
中国美術の買取をおこなう業者は数多いが、同じアイテムでも業者によって買取価格はさまざまだ。中国美術を専門に扱う業者や中国美術専門の鑑定士がいる業者かどうかをポイントに買取依頼先を選んでほしい。中国美術に特化した業者であれば、鑑定の経験もあり鎖定の目にも信頼がおける。
また、買取業者は1社のみのリサーチで決めるのではなく、複数の業者を比較してみてほしい。比較検討することでアイテムの相場がわかり、より高額な買取価格を提示してくれる業者を選択できるのだ。
業者比較は手間だが、高価買取の近道でもある。比較が面倒な方には、ヒカカク!がおすすめだ。1度の情報入力で最大20社の買取業者に査定依頼と大まかな査定額が比較できるので、ぜひ活用してほしい。
まとめ
中国美術の高額ランキングと買取に役立つ情報をいくつか紹介した。ランキング1位の山水十二屏は160億円と超高額な結果だ。押し入れに眠っている中国美術が高額になることも否定できない。不要なアイテムがあれば買取に出すことをおすすめする。
ただ、中国美術は昨今のブームにより贋作も多く出回っているのが現状だ。不安な場合は信頼できる業者に相談してみよう。その際はこちらで紹介したおすすめ買取業者を参考にしてみてほしい。
なお、こちらに記載した情報は2020年12月現在、ヒカカク!で調査した中でのランキングであるため、ほかにもっと高額な中国美術が存在する可能性があることを留意してほしい。
【参考サイト】
- ・POLY AUCTION:山水十二条屏・砥柱銘
- ・Kiss PRESS:高い太陽
- ・CHRISTIE’S:木石図
- ・中国嘉徳:松柏高立図-篆書四言聨・平安帖
- ・Sotheby’s:五王醉歸圖・最後の晩餐
- ・日本経済新聞:乾隆帝時代の花瓶
- ・ブルームバーグ:乾隆帝時代の花瓶
- ・AFPBB News:清朝時代の皇帝印