腕時計投資は、2016年後半からニュースメディアを賑わせる話題のキーワードだ。腕時計コレクターの間で始まったこの投資方法には、投資全般に対して高いリスクやネガティブなイメージを抱く皆さんでもチャレンジしやすい要素がたくさん詰まっている。また愛用品を気に入りすぎた場合は、飽きるまで所有し続けることも可能となるため、現物資産投資のメリットを実感しやすい種類と捉えて良いだろう。
2020年以降はコロナウイルスの蔓延、緊急事態宣言の発令と共に、現物資産の価値が一気に高騰し、ロレックスをはじめとする高級時計の相場が高騰した。このタイミングでも腕時計投資は再び注目されている。
今回は、投資家の語るこの方法の魅力を整理しながら、「今」買い時のモデルや時計ブランドを徹底解説していきたい。
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腕時計投資のメリット
高級腕時計の購入・所有・売却というサイクルを繰り返すことで利益を得る腕時計投資には、多くのメリットがある。
憧れの時計に投資ができる
高級腕時計を投資資産にできる腕時計投資は、時計が好きな人であれば楽しみながら利益の得られる投資方法だ。学生時代から憧れていたブランドの腕時計を投資対象として購入すれば、最初に自分の物になった喜びも感じられる。
また腕時計の場合は自分の家に訪れた友達にコレクションを見せることもできるため、盗難防止のために金庫などに厳重保管し続けるインゴットなどと比べて気軽に所有可能な存在と捉えて良いだろう。
投資資産を身につけられる
この投資方法における最大の魅力は、投資資産となる腕時計を普段の生活の中で身につけられることだ。鑑賞用としても用いられるアンティークコインなどの場合は、金貨に傷がつくリスクを恐れて多くの投資家が専用ケースに入れたままにしておく傾向がある。
これに対して高級腕時計の場合は、よほどの乱雑な扱いをしなければ大きな減額査定に繋がるレベルの傷はつきにくいと考えられる。また全世界100個といった超限定モデルの場合は、多少の使用感のある中古品でも十分の需要が期待できるため、投資家は利益だけでなく身につける楽しみも得ることが可能となるのだ。
運用コストがあまりかからない
買う・身につける・転売するを繰り返すだけの腕時計投資には、他の現物資産投資と比べて購入費用以外のコストが低いメリットもある。また買取業者のサービスが充実する今の時代は、見積料や査定料、宅配買取時の送料なども無料で売却ができるため、店頭買取が主流だった昔と比べてコストをかけずに腕時計の売買がしやすくなったと捉えて良いだろう。
オーバーホールも要らない
実際に腕時計投資を続けている投資家によると、修理の最終手段とも言えるオーバーホールを行わなくても、それなりに高い価格で腕時計の転売ができているそうだ。また近頃では、不動品の時計についてもそのままの状態で買取可能な専門店も増えているため、わざわざ高いお金を払ってオーバーホールをしなくても腕時計投資は可能と考えて良いだろう。
仕組みがシンプル
腕時計投資に多くの人が注目する背景には、この方法が初心者でも理解しやすい理由も大きく関係している。例えば、販売店やコレクターを相手に売買を行う腕時計投資では、500g以下の金地金購入時に必要となるバーチャージやスプレッドといった専門用語を意識する必要もない。
またこの特徴は、投資によって生じる大損などのリスク回避にも欠かせないポイントとなるため、ハイリスク・ハイリターンに陥る可能性の高い証券取引投資と比べても腕時計投資のメリットは大きいと捉えて良さそうだ。
相場情報の調査も容易な時代に
腕時計投資の人気は、腕時計買取店のサイトやサービスの充実によってもたらされたとも考えられる。多彩な高級腕時計の売買を行う専門店では、査定基準に合ったランク毎の買取相場を公開している。
またオンライン査定や宅配買取を利用すれば地方都市に住む皆さんでも簡単に愛用品の査定額がわかるため、こうしたサービスを上手に活用することで腕時計をより高値に繋げやすくなると言えるだろう。
腕時計投資家も登場
この投資方法に高い注目が集まったのは、日本初の腕時計投資家・斉藤由貴生さんの影響が大きいと言われている。「腕時計投資のすすめ」という著書も出した彼は、2016年後半ぐらいからさまざまなメディアでこの方法のメリットや特徴を紹介している。
また近頃では、高級腕時計の買う・使う・売るのすべてを楽しむための専門サイト「腕時計投資ドットコム」なども登場しているため、こうした情報源の豊富さにより腕時計投資の人気に拍車がかかったと捉えて良いだろう。
腕時計投資におけるデメリット
ここまで紹介したとおりメリットだらけとも言える腕時計にも、若干のデメリットやリスクがある。
紛失、盗難リスクがある
現物資産となる腕時計には、自宅保管による紛失や盗難のリスクがある。また腕時計を会社や旅行、出張先などに身に着けていけば、飲食店などへの置き忘れや紛失の危険性は更に高まると言えるだろう。こうしたトラブルにより大事な投資資産を失くす可能性を考えると、高額査定の狙える時計を身に着けて出かけたときには、アルコールを飲まない・絶対に外さないなどの心掛けが必要になるだろう。
インカムゲインやレバレッジを効かせることができない
買値と売値の差額で利益を得る腕時計投資には、月々振り込まれる配当などのインカムゲインや、先物取引のメリットとも言えるレバレッジを効かせることもできない。しかし証券取引投資におけるこうした特徴は、ハイリスク・ハイリターンの原因にもなり得るため、腕時計投資のデメリットは視点を変えれば安全に投資を続けるためのブレーキと捉えた方が良いかもしれない。
初期コストが若干高い
腕時計投資を始める上で多くの人のハードルになるのは、最初に投資資産として高級腕時計を買わなければならないことだ。腕時計投資家・斉藤由貴生さんの公開する実績を見てみると、比較的安い時計であっても14万円~24万円ほどの購入価格だったことがわかる。
また安い時計については値上がり幅が低いようにも見えるため、ひとつの商材で高い利益率を狙うためには40万円以上の資金があることが理想と言えそうだ。
腕時計投資の具体的な方法と注意点
腕時計投資のメリット・デメリットがわかったところで、次は実践編とも言える詳しい注意点などを紹介していこう。
腕時計投資に適した仕入れ先とは?
中古品でも大きな問題とならない腕時計投資の場合は、腕時計専門店やネットオークションで商材の仕入れを行う形となる。腕時計専門店の特徴は、購入価格が多少高くても信頼できる本物だけが販売されていることだ。
これに対してヤフオクなどの場合は、既に生産完了となっている希少性の高い人気モデルを見つけられるメリットがある。ネットオークションの場合は、偽物を出品する悪質なユーザも存在するため、入札前に必ず過去の評価や出品者情報を確認して欲しい。
並行輸入品のすすめ
新品の腕時計を購入するなら、日本代理店を通していない並行輸入品を狙ってみよう。正規店の店頭で50万円の値段が付いている時計も、並行輸入品の場合は30万円前後で購入できることもある。また大半のメーカーやブランドは、並行店で買った時計についても店舗独自の保証やサポートが受けられるため、壊れるリスクに不安を抱えている皆さんだと言えそうだ。
腕時計投資に適した売却先とは?
腕時計投資の売却先についても、時計専門店、ブランド専門店、ネットオークションが中心となる。メールやLINE、問い合わせフォームを使ったオンライン査定が人気の近頃では、高級腕時計のブランドや型番、シリーズ名などを送信するだけで各社の買取価格を収集しやすくなっている。
また現金化までに時間的余裕がある場合は、自分の希望する価格でヤフオク出品することもできるため、売却における選択肢の豊富さといった意味でもこの商材を選ぶメリットは大きいと捉えて良いだろう。
腕時計における投資のスパン
腕時計購入~売却までのスパンには、短期と長期の2パターンがある。例えば、ヤフオクなどでかなり安い価格で落札した時計を数ヶ月で売却しても、購入価格以上の買取額が振り込まれれば、その時点で腕時計投資の利益が出たと考えられる。
また投資目的で買った時計が気に入った場合は、相場情報を確認しながら4~5年所有し続けることも可能となるため、売却のタイミングに一定のルールがないといった意味でも腕時計という商材は自由度の高い投資方法と捉えて良いかもしれない。
腕時計を買うときに注目すべきポイント
腕時計投資に適した商品には、需給バランスに欠かせない要素となる生産中止と人気が備わっている。時計雑誌などでは生産中止情報が早めに流れることもあるため、将来的に高い利益を生む商材と出会えると考えれば、雑誌やコレクターの集うSNSや掲示板の情報もきちんと確認する必要があると言えるだろう。
値下がりする腕時計にも要注意
一過性とも言える単純な人気がありすぎる腕時計は、ブームが去った後に値下がりする傾向があるようだ。また有名人が身につけている腕時計についても、時計そのものに魅力がないケースも多く見受けられるため、購入商品を選ぶときには実力と人気のバランスが整ったものに目を向けるようにして欲しい。
金相場の影響を受けることもある
純金などの材質を使った腕時計の場合は、時計そのものよりも地金の価値で売却した方が満足の高値がつくこともある。またこうした時計の場合は貴金属専門店でも歓迎してくれるため、超高級ブランドの商品を買うなら材質についても少し注目しておいても良いだろう。
腕時計投資はクラシックカー投資と似ている
投資資産を身につけられる腕時計投資は、クラシックカー投資やビンテージカー投資に似ているとも言われている。フェラーリなどの旧車は、多少の傷があっても十分に高価買取が狙える存在だ。
また使用によって故障や紛失などのトラブルの起きる腕時計やクラシックカーは、徐々に現存数が少なくなる特徴もあるため、長期的な所有によってその価値が高まる可能性についても共通していると捉えて良いだろう。
2017年の腕時計投資で買い時のモデル・ブランドとは?
最後に、腕時計投資家の紹介する高い利益率の狙える時計ブランドとモデルについて、いくつか紹介していこう。
ロレックス
100年以上続くロレックスは、腕時計投資においてもおすすめ度の高いブランドだ。デイトナ16520の黒文字盤については、87万円で購入したものを126万円で売却できた実績がある。また同じくデイトナの6523ポール・ニューマンに関しては、80年代の生産終了によって40万円前後の時計に1,500万円まで価格が高騰しているため、こうしたモデルを狙うことで効率よく腕時計投資ができると言えるだろう。



パテックフィリップ
為替相場と比べて1~2ヵ月遅れて価格が変動するパテックフィリップは、先が読みやすいという理由で投資のしやすいブランドのようだ。
例えば、腕時計投資家・斉藤由貴生さんが2002年に62万円で買ったアクアノートは、5年後に66万円高い128万円での売却に成功している。また同ブランドのクロノグラフWG 5070についても230万円で購入した時計を490万円で手放せているため、それなりの資金力のある人ならパテックフィリップは要チェックのブランドと位置づけて良いだろう。

オフィチーネ・パネライ
ロレックスのデイトナ16520と同じムーブメント・エルプリメロを搭載するPAM00072も、高い利回りの狙える腕時計だ。腕時計投資.com内で掲載されている腕時計投資新聞によると、たった3年の所有期間で160,000円もの値上がりがあったことがわかる。
またこの記事では、この利益率に対して「まだまだ」と見る見解についても紹介しているため、腕時計投資の売り時・買い時のタイミングについては予測する面白みもあると言えそうだ。

オーデマ・ピゲ
人気の高いオーデマ・ピゲについても、15202STというジャンボサイズのモデルであれば若干値上がりの低いロイヤルオークであっても7年間の所有で13.66%の利回りが期待できる。
具体的には830,000円もの利益が出ているため、ノーチラスと比べて期待度の低いロイヤルオークについても、きちんと情報収集やモデルの比較検討を行なえば腕時計投資に適したシリーズに出会えると考えて良いだろう。

オメガ
新社会人などの若い世代に人気のオメガも、シリーズによっては高い利益率の狙えるブランドだ。例えば、24 万円で購入できるオメガ スピードマスターのムーンフェイスの場合は、たった2年の保管で8万円もの利益が出ている。
また同じくスピードマスター プロフェッショナルの裏透け仕様となる3572.50というモデルについては、意外と数が少ない理由により8年の所有で131,100円もの利益が得られているようだ。こうした形で投資家の実績を確認してみると、若者に人気のオメガであっても十分に腕時計投資は可能と捉えて良いだろう。

まとめ
初心者でも比較的始めやすい腕時計投資について、紹介してきた。利益を出すだけでなく、高級時計を身に着けて楽しめるといった点が大きな魅力といえるだろう。近年は買取業者の数も多く、腕時計を専門で扱っているところもあるので、売却もしやすい。興味があればぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。

