「売却物件を求む」「無料買取査定強化中」などという、不動産会社のチラシを頻繁に見かけるだろう。
「今この地域の物件を探しておられる方が二世帯おられます」などと大きな文字でキャッチコピーが書かれており、一般的なフレーズとなっている。
チラシは売却物件を集めるうえで欠かせないツールだ。他社を出し抜くには、戦略的なチラシを作製しなければならない。チラシ作成に必要な考え方についてお伝えしよう。その中から売却物件を募集するチラシの効果的な作り方が見えてくるはずだ。

Flyers / Steven DuBois
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
売却物件募集のチラシ内容の方向性
自宅のポストを見ると、「売却物件を求む」「買取査定強化中」といった不動産会社のチラシを見かけることがいまだに多い。
大多数の人はこれらのチラシを見て「また入っている」「いい加減にうっとうしい」と思うのが本音だが、一部にはまるで自分に宛てられた手紙かのように錯覚に陥る人がいる。
- 「この付近で二世帯の方が住宅を探しています」
- 「転勤のため〇〇駅周辺のマンションを探している家族の方がおられます」
- 「〇〇小学校区内の4LDKの住宅を4人家族が探しています」
探している世帯の方が本当にいるのかどうかはさておき、売却をなんとなく考えている方や引っ越しを検討されている方にとっては、条件がぴったり当てはまることが多く、つい目がいってしまうものなのだ。
もちろんこれらの情報は、不動産会社が物件を売却する際に、一番世帯に好まれる条件を掲載している。
- 「駅近」「3 LDK のマンション」「家族四人で4 LDK の住宅」「〇〇小学校区内」
このような文句は、不動産広告においては必要不可欠なキーワードだ。売却を考えているお客様のベネフィット(得られるメリット)を考えるうえで大事な部分である。
投稿チラシに多い「売却物件を求む」チラシの意味を理解しておく
不動産会社のスタッフであれば「両手」「片手」という業界用語で語られることがあるが、当然ながら不動産会社は、売却や購入の手数料をどちらも取れる「両手」であるに越したことはない
つまり、自宅を売却したい人と直接「媒介契約」をむすんでしまえば、確実に売却の手数料を得ることができる。自らが購入したいお客さんを見つけないとしても、不動産業者の物件サイトに登録しておけば、他社経由で購入するお客さんを見つけることもできるのだ。
もちろん自分の会社が購入したいお客さんを見つけた場合、売却と購入のどちらの手数料も得ることができる。
売却物件を求むというチラシは一見、非効率のようにも思うが、1件、2件と売却物件を預かることができれば、不動産会社の経営も安定するようになるのは間違いないのだ。
チラシ内容の「物件を求めている世帯」がいない?
- 「この付近で二世帯の方が住宅を探しています」
- 「転勤のため〇〇駅周辺のマンションを探している家族の方がおられます」
- 「〇〇小学校区内の4LDKの住宅を4人家族が探しています」
このような謳い文句が目立つ不動産広告はまだ一般的となっている。しかし本当にこのような世帯がいるのだろうか。もしくはいないとしても記載して良いのだろうか。
冒頭にもお伝えしたが、このような謳い文句は、一般的な家族が求めている物件を記載しているに過ぎないといえる。まるっきり嘘が書いてあるとはいいきれないが、そのような家族がいないことは往々にしてあるだろう。
現実的に考えた時に、本当にそのような家族がいるとしても、タイミングよく広告を打つことはとても難しいように考えられる。
しかしそのような内容をチラシに記載していいものだろうか。
チラシに記載してはいけない内容については、下記に詳しく述べていくが、チラシに嘘を書くことは違反であることは間違いない。ただし正直なところ、これらを嘘と断定することもできないだろう。
とはいえ、売却を考えているお客さんがこのチラシを見て売却の相談をした時に、「もうすでに別の物件を購入してしまった」「キャンセルになってしまった」などといわれ、売却できるお客様がいないと分かった時には、大きなショックを受けてしまうのは間違いない。
そのようなショックを軽減するために、「売却相談会」など、別の手法を用いたチラシを見かけることも増えてきている。
次に不動産業界が守らなければならない広告ルールについて述べていくとしよう。
必ず守らねばならない「広告ルール」とは
不動産業界は、広告ルールが厳しい業界として有名だ。不動産は取引額が大きいことから、誤解を与えてしまうような広告には規制が敷かれていたのだ。
「公益社団法人 全日本不動産協会」の情報によると、不動産業界において広告を取り扱う場合には、宅建業法と不動産の表示に関する公正競争規約を守らなければ罰せられてしまう。
守らなければならない広告ルールのポイントは次の三つだ。
- 1、誇大広告の禁止
- 2、広告開始時期の制限
- 3、取引態様の明示
どのような内容なのか詳しく見てみよう。
1、誇大広告の禁止(宅建業法第32条)
不動産に関するチラシや広告には、著しく事実と違うことを表示してはならない。また実際のものよりも著しく優良であるとか、有利であるような、錯覚したり間違ってしまいやすい表現をすることも禁止されている。
例えば「査定強化中」「この地域に物件を求めている家族あり」などと記載された広告であれば、相場よりも高く売却できると考えてしまう人もいるだろう。このような誤認するような誇大広告は一切禁止されているのだ。
2、広告の開始時期の制限(宅建業法第33条)
青田売りをしてはいけないということだ。青田売りとは、未完成物件の売買のことを指すが、開発許可や建築確認の後でないと広告やチラシを出してはいけないことになっている。
3、取引態様の明示(宅建業法第34条1項)
不動産業者が宅地建物の売買などに関するチラシや広告を出す場合、契約の当事者となって売買契約を行うのか、もしくは代理人として売買契約をするのか、媒介して売買契約を行うのかということについて明示しておかなければならない。
- 公益社団法人全日本不動産協会 不動産広告のルール
- http://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E5%BA%83%E5%91%8A%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB/
お客様の集まる「売却物件を求む」チラシの作り方とは
なぜ売却物件が集まらないのか
頻繁に「売却物件を求む」チラシを地域住民に対してポスティングしている会社も多いだろう。媒介契約の利便性や収益性を考えると、どうしてもチラシの有益性を抜きに考えることはできないのだ。
しかし、中小の不動産会社であれば、知名度の高い大規模の不動産会社に勝てずに、思うように物件が集まらないという声も聞くことができる。
チラシは打てば集まるというものではない。特に大手が強い地域である場合は、しっかりとした戦術を持ち、大手に対抗するための戦略を駆使することで、地域の中で根付いて行くことができるのだ。
まず今まで打ったチラシのコンバージョンがどの程度になっているか分析してみよう。チラシに対するコンバージョンがそれほど高くない場合や効果が見られない場合であれば、その中から戦略を練っていかなければならない。
具体的な内容としては「チラシの見た目」「チラシの内容」「配布している地域」「大手との差別化」である。
大手のチラシと見比べてみよう。
一目見た印象で、負けてはならないのだ。目を引くうたい文句が一目見た場所に記載されているか、金額や査定額において大手に負けていないか、そのチラシ内容に応じた地域に十分な数の配布を行っているか、詳しく分析していかなければならない。
そのように分析を繰り返す中で、ベストなチラシとはどのようなものか分かるようになってくる。 圧倒的に知名度で負けている場合は、必ず分析が必要なのだ。
チラシに必要な「地域No.1」の考え方
大手であっても中小であっても考え方は同じであるが、チラシを作る上で考えなければならないことは、チラシを配布する地域において「No.1」を目指すということである。
このNo.1は、どれだけ小さい地域でもいい。No.1になるということが大事なのだ。このような経営戦略を「ランチェスター経営」「弱者の戦略」などといわれることがある。
- 「一生懸命、汗水を垂らして頑張っていればお客様は見てくれる」
このような考え方は、もちろん必要で大事な考え方ではあるが、何も戦略もなく、ただ頑張り続けるという考えだけでは、地域No.1になることなど到底できない。そのことを肝に銘じておかなければならない。その地域においてNo.1になるには、大手など他社と同じようなことをしていれば当然ながら勝負にならないのは明白だからだ。
先ほど大手のチラシと見比べてみるという話をお伝えしたが、自社に売却物件を委ねるというメリットを大手よりも明確にしておかなければならない。大手にはなく自社にできることは何だろうか考えてみよう。
お客様が求めているニーズをしっかりと把握し、ニーズにマッチしたサービスを提供しなければならないということだ。スピードなのか、価格なのか、営業マンの人間性なのか、知名度なのか、地域性なのか。どこで勝負すれば地域No.1となることができるのかしっかりと戦略を練ることをおすすめする。
差別化を図る「売却物件を求む」チラシの作り方
大手であれば、資金力などを活かしてどんどんチラシを作成し、大量にポスティングしていくだろう。中小の不動産業者であれば、間違いなく数に押されて負けてしまう。
ただ逆にいえば、大手のチラシは使い捨て感覚でポスティングされているようにも思わないか。知名度はあるのだから、チラシのタイミングが合えば売却の相談があるだろうという考え方だ。
中小の不動産業者であれば、大手のように大量のチラシを一度に配布することができないから、将来的に売却を考えている人にも共感を得るようなチラシ内容はどうだろうか。
不動産には売却のタイミングというものがある。子供が大きくなってもう少し大きい家に住みたい場合、子供が結婚して夫婦だけの世帯になってマンションに住み替えたい場合など、様々だろう。その様なニーズがある中で、一番に自社に相談がくるようなチラシにしておくべきだ。
売却物件の無料相談会を行う、毎月無料相談日を設ける、お得な売却方法を網羅した小冊子を来店した人に配布することもいいだろう。次につながる一手を考えてほしい。
大手ではできない細かなサービスが、地域No.1へと導いていく第一歩になるからだ。
まとめ
「売却物件を求む」チラシの作り方についてお伝えした。
多くの不動産会社が、チラシをポスティングすることで売却物件を集めている。チラシのポスティングで思うように成果ができていないのであれば、述べてきたような戦略的なチラシを作成し、都度その内容でコンバージョンがどうなのか、成約率はどうなのかという分析をしなければならない。
分析を行う中でいらないものは削ぎ落とされ、必要なものだけが自社の戦略として生き残ってくるのだ。
売りたい人が集まるヒカカク!
チラシはエポスティングエリアにすでに住んでいる人々には効果的な広告だといえるが、より多く、不特定多数に向けて広告を展開するなら、インターネットの活用がおすすめだ。
現在は買取相場や物件情報が簡単に検索できるため、売り手は売却前に情報収集をする傾向にある。不動産のような高額な値がつく可能性のあるならなおさらだろう。
当サイト、ヒカカク!では売却意欲の高いユーザーが集まっているほか、口コミ評価によってさらなる集客を呼び込めるのが特徴だ。効果的な広告活動を模索しているなら、ぜひ掲載業者募集案内をチェックしてみてほしい。