最近は働き方が多様になり、フリーランスなどの自営業をする人が増えてきた。今、会社員をしている人であっても、いずれ自分のスキルを使って自営業をおこなったり、自分の店を構えたりすることを夢見ている人も多いのではないだろうか。
その1つの選択として、自分の好きなジャンルの中古品を置けるリサイクルショップを夢見ている人もいるだろう。あるいは、就職先として初めからリサイクルショップを検討している人もいるかもしれない。そこで、リサイクルショップの店長や経営者の年収及び福利厚生などをケースごとに紹介していく。自身の夢を具体化する一助となれば幸いだ。
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リサイクルショップ経営者の年収
はじめに、経営者となった場合について考えていきたい。ケースによって年収も異なるため、ここでは、大手フランチャイズ店、個人店の2つのケースを想定して確認していく。
大手フランチャイズ店
リサイクルショップを経営する方法のひとつが大手リサイクルショップとフランチャイズ契約をすることだ。未経験者でもリサイクルショップの経営ができるという点や集客力があるという点は、フランチャイズ契約のメリットだといえるだろう。
フランチャイズ展開をしている大手リサイクルショップの一ヶ月の売上平均は450~500万円前後になる。もちろん立地や店舗の規模、地域によってこの金額よりも減収となったり、反対にもっと売上の多い店もある。
また、平均売上が450~500万円といってもリサイクルショップの場合は仕入れにかかる費用もあることを忘れてはいけない。フランチャイズの場合、祖利益率は50~60%が平均値だ。経営者となれば、売上から仕入れ額をひいた祖利益から、従業員のへの給与や光熱費、店舗の家賃代といった項目も引かれる。
さらにフランチャイズに加盟している場合は、ロイヤリティなども支払わなければならない。しかし、こうした必要経費を利益から差し引いても、70~75万円が一ヶ月の営業利益の平均的な金額になる。つまり、単純に考えると年間70~75万×12ヶ月=840~900万円、年収に換算してこれくらいの金額を得られるということになる。
一般的なサラリーマンの平均年収が男性で521万円、女性で280万円となることからも分かるようにリサイクルショップのフランチャイズオーナーは高収入の部類にはいるだろう。これはあるフランチャイズを例にしている為、どこのリサイクルショップの運営者も上記と同じ年収になるわけではない。それでもリサイクルショップの経営者になると、上記の年収は現実的な相場だと言える。
リサイクルショップ個人店の経営者
フランチャイズなどではなく、リサイクルショップを個人で開業している経営者もいる。彼らの年収にはかなりの幅がある。稼げていない経営者の場合は、年収が300万円に届かないケースも少なくない。雇われ店長、または一般社員よりも年収の少ない経営者さえいるのが現実だ。
こうしたリサイクルショップは、2~3年のうちに閉店に追い込まれることが多い。雇われ店長のように一定の給与が保証されているわけでもないので、リスクがある仕事なのだ。しかし、一方で最も年収をアップさせるチャンスがあるのも個人のリサイクルショップ経営なのである。
特に、ネットや出張買取りをメインにリサイクルショップの場合、起業から1~2年という短期間で年収が1000万円をこえる個人経営者もいる点は夢がある。家賃や人件費などの固定費を抑えることで、実質的な営業利益を伸ばしているようだ。
というのも、資金力のない個人が店舗だけの運営をしている場合、人件費も家賃もそれなりにかかってしまう。例えその月の売上が悪くても、毎月決まった固定費の支払いは避けられないのだ。そのため、出張買取りなどをメインとしている個人経営者の方が、平均的に高い年収を誇っているケースが多くなっている。
これもケースバイケースであり、店頭買取り・販売にもメリットはある。ただ、まとまった自己資金がないと個人で立派な店舗を構え年収1000万円というレベルを達成するのは簡単ではない。個人経営のリサイクルショップは、経営難により数年で潰れてしまうこともあれば、1000万円以上の年収を稼いでいる経営者もいる。
そのため年収の平均はあまり意味をなさないだろう。無理に平均を出そうとすれば、400~500万円程度になるはずだ。しかし、経営の仕方次第でそれ以上にもそれ以下にもなることを忘れてはいけない。結局、個人でやる以上はセンスが左右するということだ。
リサイクルショップ店長の年収相場
次に、リサイクルショップの店長となった場合について考えていきたい。ケースごとに年収が変わってくるため、全国チェーンの店長、地域限定リサイクルショップの店長、地方リサイクルショップの店長を想定して、順を追って紹介していく。
全国チェーン店の店長の場合
全国展開をしている大型リサイクルショップ店長の年収相場は、400万円から450万円程度である。新卒、中途にかかわらず500万円には届かないケースが多くなる。全国チェーン展開をしているリサイクルショップの店長となると転勤は必須のため、上記の年収には手厚い住宅手当ても含まれる。
賞与は年2回のケースが一般的だが、1回の金額は給与1ヶ月分に満たない店長も多い。ただし、店舗の成績によって賞与などの金額は大きく変わるため、結果を出すことによって必然的に年収もアップすることになる。
また、残業手当てがいくらつくかによって月の給与が数万円から10万円程度左右することもあるのが、大型チェーン店の特徴だ。チェーン展開をする大型リサイクルショップでは、人手不足に陥っている現場も多く残業時間が増える店舗も多い。そうした店舗の店長は、年収も増える傾向にある。
決して給与が一般的なサラリーマンの平均よりも高いとは言えないが、一定の安定した年収を確保することができるのはメリットだ。
地域限定リサイクルショップ店長の場合
関西のみなど限定された地域に出店しているリサイクルショップ店長の年収は、350~400万円程度が相場となる。全国展開をしている企業よりも、若干下がる傾向にある。
リサイクル店のみならず小売り業全体の店長の年収相場は、370万円というデータもあるため、ほぼ平均的な年収だと言える。地域限定リサイクルショップの特徴として、経験がなくても店長として中途採用されるケースもあるということだ。
店長候補として入社すれば、入社1~2年で350~400万円の年収を手にすることができる。店長として働く場合は、店舗の売上や業績次第では、上記よりも高い年収を得られるチャンスがあるという点に魅力があるだろう。
そして、全国展開ではない地域限定リサイクルショップの場合は、転居を伴うような転勤がないというメリットもある。反面、住宅手当てがなくなる分、全国展開をしているチェーン店よりも店長の年収相場が低めになる傾向にあるのも事実だ。
だが、地域展開をしているリサイクルショップでは、店長の年収が店舗の場所によって変わることも珍しくない。たとえば地方と都会の店舗の店長を比較するなら、平均年収は後者の方が高い傾向にある。それは、そもそも店の売り上げも都会の方が高くなりやすいからだ。
地方リサイクルショップの店長の場合
地方のリサイクルショップは、都会と比べて品ぞろえも顧客数も少なく、お店の規模自体も小さくなってしまう。そのため店長の年収相場も他より低めになる。
年収は250~350万円程度と開きがあるが、これは賞与のあるなしが大きく影響をする。地方の規模が小さいリサイクルショップの場合、賞与がないケースも珍しくはないのだ。また店長であっても役職手当てが数千円など、他の社員と月給がほとんど変わらないこともある。
それゆえに、店長の年収が250万円程度にしかならないケースもみられる。年収だけでなく福利厚生などそのほかの条件もしっかり確認していきたい。
年収を左右するポイント
人に縛られず個人でリサイクルショップを経営したいなど、年収以上に譲れないポイントがある人は少なくない。しかし、多くの場合にできれば年収は高いのが望ましいと思うだろう。そこで、年収を左右するポイントについても確認していきたい。
雇われ店長か経営者か
雇用されている店長なのか、それとも経営者なのかは年収を左右する大きなポイントになる。リスクが低いという面では、雇用者である店長に軍配があがるが、高収入のチャンスという面では経営者に分があるだろう。経営者となれば、当然お店の全ての仕事にかかわることができる。自分のアイディア次第で、売上をどんどん伸ばすことが可能なのだ。
リサイクルショップの中にも、店舗の運営を店長の手腕に任せている企業もある。その場合、お店の売上が店長の年収に反映されるため、高収入を得ることも可能だ。ただし、残念ながら、売上があがっても年収に反映されにくい企業もある。店長の年収は勤める企業によっても大きく左右されるだろう。
売上高以上に重要な祖利益率
リサイクルショップは、売上高以上に祖利益率が重要だ。もし、月の売上が100万円だとしても仕入れに80万円かかっていれば、祖利は20万円になる。これが売り上げは同じでも仕入れに30万円しかかかっていなければ、祖利は70万円と前者の3倍以上となるのだ。つまり、祖利益率が20%と70%では年収も全く違ってくることになる。当然祖利益率が高いほど、年収もあがると考えてよいだろう。
そう考えると、リサイクルショップの年収をあげるにはいかに安く仕入れて高く販売するかが鍵となることがわかる。全く同じ商品であってもリサイクルショップによって、買取り額も販売額も異なる。収益をあげる店長や経営者は、仕入れと販売価格付けのスキルやセンスがあるのだ。
リサイクルショップ業というのは、小売店の中でも祖利益率が高いビジネスモデルだと言われている。祖利益率70%以上も現実的な数字だ。これを実現できるかどうかは、店長や経営者の手腕にかかってくる。
余分な経費を削減できるか
リサイクルショップの祖利益から、必要な経費を差し引いた金額が純粋な営業利益になる。そのため経費が嵩めばかさむほど、利益は低くなってしまう。リサイクルショップの利益をあげ、年収もあげるためには余計な経費はかけるべきではない。しかし、闇雲に経費を削減すれば良いというわけでもない。
たとえば、従業員として人を雇わなければ人件費は抑えられるだろう。ただし、その分ひとりで買取りから販売までをおこなわなくてはいけない。規模によっては不可能ではないが、ある程度の年収を稼ぎたいと思ったらひとりで全てをおこなうのは効率的ではないのだ。また、宣伝費用も同じことがいえる。
経費を削減しようとするあまり、宣伝費を削ってしまうと結局のところ利益をうまくあげることができない。集客のためには宣伝も必要なのである。利益と年収をあげるために大切なことは、あくまでも「余計な」経費をかけないことだ。
経費をかけすぎたり、必要な分も出し惜しみをするとリサイクルショップは上手くいかなくなってしまう。必要なものと余計なもの、これを見極めることができれば年収アップに繋がるというものだ。
品目やジャンルの選定
リサイクルショップで重要となるのが、取り扱う品物の品目になる。特に個人経営のリサイクルショップでは、このジャンルが売り上げに影響をしてくるのだ。どの品目を扱うべきかは、店舗のスタイルや立地などさまざまな条件によって変わってくる。そのため事前のリサーチが大切だ。
また、経営者ではなくても店舗の運営を任されている店長にも同じことが言える。チェーン店、大型リサイクルショップのほとんどは、さまざまな品目のアイテムを取り扱う総合店になるだろう。しかし、同じ品目でも、「どんなジャンルが人気があるのか」などをリサーチして仕入れと販売をおこなうと結果は全く違ってくる。
年収をあげたいなら、ジャンルの選定、リサーチ力もリサイクルショップの経営者や店長には欠かせないのだ。
まとめ
一概にリサイクルショップの経営者・店長といっても、ケースによって年収の幅は大きい。特に、個人で経営する場合には、個人の技量次第であるため、かなり可能性がある一方で、仕入れセンスが乏しく赤字で終わってしまうこともあるだろう。
どういった場所・方法で勤めるかも重要であるが、年収を上げるためには、「雇われているか」「祖利益率はどうか」「経費の使い方はどうか」「品目やジャンルのリサーチは十分か」などの観点も重要になる。売り上げが年収に反映される場であれば、努力次第で年収は伸ばすことが可能だ。
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