本が好きな人は、副業や定年後のビジネスとして古本屋を始めるケースがある。古本屋を自宅で開業する場合、いろいろなアプローチが考えられる。
とくに人気を集めているのが、ネット古書店だ。このスタイルだと店舗を構える必要がないため、コストをかけずに古本屋の運営ができる。ここでは、古本屋を自宅で開業する方法と、ネット古書店のビジネスモデルを紹介していく。
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自宅で古本屋を開業するときのスタイル
自宅で古本屋を始めるときには、次のようなスタイルがある。
- ・自宅に店舗を設けて開業する
- ・ネット古書店を開く
自宅に店舗を設けて開業する
家の一隅に本を陳列する棚などを設置すれば、自宅で古書店を開くことも可能だ。また、自宅兼カフェで本を販売する方法もある。敷地が人通りが多い大通りに面している場合などは、来店する人の数も増えるかもしれない。ただ、このようなスタイルで開業するときには、いろいろな条件を満たす必要がある。
例えば、本を並べて来店者を迎えるのに十分なスペースが確保できることだ。店舗で古本を販売する場合、来店者は品ぞろえを実際に見て本を選ぶのが一般的だ。本を陳列したり、来店者が店内を歩き回れたりするスペースがないと、こういったスタイルで古本屋を運営するのは難しい。
また、店舗として活用する自宅までのアクセスが良いことも条件の1つになる。古本屋は、空いた時間などにブラリと立ち寄れる場所にお店があるかどうかで、客足が変わることがある。車やバスを使わないとアクセスしにくい場所や、道順がわかりにくい場所は、来店者が増えない可能性があるため、古書店にはあまり向かないかもしれない。
自宅を店舗にするときには、改装のための費用なども必要になる。順調に売上が伸びないと、赤字が出るリスクがあるのが自宅で店舗を運営するときのデメリットだ。
ネット古書店を開く
ネット古書店の場合は、インターネットを通じて古本を取引するのが基本になる。ネット古書店は店舗を設ける必要がないため、マンションやアパートの1室に住んでいる人でも気軽に始められるのがメリットと言える。この手の古書店を運営するときは、サイトに本の目録や画像を掲載して、利用者からの注文を受け付けるのが一般的なスタイルだ。
サイトに商品を掲載した後のやり取りは、メールや電話、FAXなどでおこなう場合が多い。店舗を運営するときのように、常に古書店の仕事に携わらなくても済むことから、ネット古書店は副業でも十分に経営ができる。
素人でもトライしやすいビジネスモデル
ネットオフ(NET OFF)のようなネット古書店のビジネスモデルは、素人でも比較的トライしやすい。ネット古書店の開業や運営をサポートするサービスを利用すれば、お金や時間をあまりかけずに古書店を経営することも夢ではない。
自分でサイトを開設して営業をスタート
ホームページの作成が自分でできる人は、オリジナルのサイトを作ってネット古書店がスタートできる。在庫としてストックしてある本を撮影してサイトにアップし、メールや電話、FAXなどで問い合わせ、注文を受け付けるようにすれば、すぐに古本の販売ができるだろう。
自分で集めた本の数が多い人は、蔵書をそのまま商品の在庫として活用できる。蔵書が少ないときは、ほかの古書店などから安く本を購入して、在庫としてストックしておくことも可能だ。最初は蔵書の販売からスタートし、ある程度ビジネスに慣れたら本を仕入れて販売する方法もある。
専門サービスを利用して古本の販売をする
専門サービスを利用するのも、ネット古書店のビジネスモデルの1つだ。あるサービスでは、加盟している古書店の本を自社のサイトに掲載し、紹介している。このサービスの場合、実際に本の売買に関与することはなく、さまざまな加盟店の本の販売情報をサイトに掲載することが主な業務内容になっている。
サイトにアクセスをした人がリストから好きな本を選んでカートに入れると、加盟している古書店に直接注文が入る仕組みだ。販売している加盟店の名称や連絡先、取り扱いがある本のジャンルなどは、各書籍のページで紹介されている。
自分のお店のサイトを開設しているときは、サービスを通じて誘導もできる。多くの利用者に自店が販売している本を見てもらえるのが、このビジネスモデルのメリットだ。サイトに情報を掲載してもらうときには一定の料金がかかるが、ページのメンテナンスなども代行してもらえる。
こういったサービスを利用すれば、パソコン操作に詳しくない人でも戸惑うことなく古書店の経営ができるだろう。サービスを通じてほかの加盟店から古本を購入し、在庫にすることも可能だ。
ネット古書店は実店舗と一緒に運営できる
ネット古書店は、実店舗と合わせて運営されているケースが少なくない。実際、実店舗での販売とネットでの販売を並行しておこなうビジネスモデルは、全国的に多く見られるようになっている。店舗のほかにネットでの販売もおこなうと、全国各地から注文が入る可能性がある。
専門サービスの加盟店になれば、商品が人目に触れる機会が増えるため、購入希望者の数もグンとアップする可能性があるだろう。ブックカフェの場合、ネット古書店と並行して運営すると本の販売がしやすくなる。
古本屋のスタイルを選ぶポイント
自宅で古本屋を開く場合、どのようなスタイルが適しているか。スタイルを選ぶときのポイントはいろいろあるが、とくに重要になるのが以下のような点だ。
- ・集客力
- ・古本の在庫数
- ・開業資金
- ・経営に携われる時間
集客力
店頭販売、ネット販売のいずれの場合でも、どのくらいの集客が見込めるかはチェックしておきたいポイントだ。店頭販売は、お店の立地や店舗の環境などが集客力に影響する。
ネット販売の場合は、サイトへのアクセス数が重要ポイントになってくる。魅力的なサイトをデザインすることやSEO対策を徹底しておこなうことなどは、ネット販売をおこなうときの課題になるだろう。
古本の在庫数
販売する古本の在庫数も、考慮しておきたいポイントに挙げられる。趣味で集めた本などを在庫にして営業をおこなっていく場合、店舗を設けても思ったほど利益が出ない可能性がある。在庫数が少ない場合は、ネット古書店を選んだほうが余計なコストをかけずに済むかもしれない。
開業資金
開業資金がいくらぐらい用意できるかも、スタイルを選ぶ際のポイントになるだろう。自宅に店舗を設けるときには、改装費などがかかることが多い。
ネット古書店なら、開業資金を最小限に抑えることも可能だ。初期費用は、サイト作成を依頼するときの代行費用や専門サービスの利用料などで済む可能性があるため、多額の資金を用意しなくても経営をスタートできる。
経営に携われる時間
このほか、古本屋の経営にどのくらいの時間を充てられるか、などもチェックポイントになる。店舗の場合、営業日は開店から閉店までお店に常駐していなければならない。
アルバイトのスタッフを雇うときには、人件費も必要になってくる。ネット古書店は、利用者から問い合わせや注文があったときだけ対応すれば良いケースが多く、空き時間などを利用して仕事をおこなうことが可能だ。
古本屋を開業する際の準備
古本屋を開業するにあたっては、準備しておかなければならないことがいくつかある。開業をスムーズにするためにも、必要な準備はしっかりと済ませておこう。
開業前に古物商許可申請を済ませておく
古本屋を開く場合、古物商許可証を取得しなければならない。古物商許可証を取るときの申請は、お店の住所を管轄する警察署にておこなうのが一般的だ。申請の際には、身分証明書や住民票、略歴書などの提出が求められる。一定の手数料もかかるため、申請に行くときにはお金も用意しておこう。
ネット古書店のようにサイトを通じて古本を販売する場合は、お店のURLを届け出る必要がある。この場合、プロバイダーが発行した資料などを添付するのがルールになっている。添付資料にはいろいろな条件があるため、あらかじめ警察署で確認しておいたほうが安心だ。
在庫の書籍を管理する環境を整える
売る本を売買するときには、大量の在庫を保管する環境を整えておく必要がある。書籍は、湿気や紫外線の影響を受けやすい。シミやカビ、日焼けなどは、古本の買取でも減額の対象になる。このような問題がある古本は、商品としての価値が大幅に下がってしまうため要注意だ。
在庫の本を保管する際には、湿度や直射日光の影響を受けにくい環境を選ばなければならない。自宅の倉庫などを利用するときは、書籍にダメージを与えない環境かどうかをチェックしておこう。適当な場所がないときには、空調が整ったトランクルームなどを利用するのも1つの方法になる。
古本屋の開業に役立つ専門講座がある
古本屋をスタートするのに何となく不安があるときは、開業講座を利用して知識やノウハウを会得することも可能だ。株式会社紫式部が運営するスーパー源氏では、次のような講座を用意している。
- ・古本屋開業講座
- ・ブックカフェ開業講座
- ・2日間短期集中講座スーパー源氏アカデミー
古本屋開業講座は、古書店を取り巻く事情や動向、サイトやSNSの活用方法などが幅広く学べる専門講座。この講座では、実際に古書店を運営しているオーナーから話を聞くことができる。開業する際のコツや資金を得る方法などの実用的な情報が得られるのが、古本屋開業講座の魅力と言える。講座終了後に、古書鑑定アドバイザーの資格が取得できる点もこちらの講座のメリットだ。
ブックカフェ開業講座は、カフェのスタイルで古本屋を運営していくときに役立つ内容になっている。メニューの決め方なども学べるため、飲食店経営に関する知識がない人にとってもメリットが大きい講座内容だ。この講座を修了すると、ブックカフェアドバイザーの資格が取得できる。
2日間短期集中講座スーパー源氏アカデミーは、2日間という短い期間で開業に必要な知識やノウハウを身につける集中講座だ。こちらの講座は、書籍の取り扱い方法や古物商許可証に関する知識、接客や取引のマナーなども学べる内容になっており、初心者が無理なく古本屋を開業できることを目指している。試験に合格すると、古書鑑定スペシャリストの資格がもらえる。
買取サービスの基礎知識も網羅されているため、”新品未使用品は買取価格が高い”や、”付録がそろっていると高価買取になる”といった、値段のつけ方に関する知識も学べる可能性がある。
まとめ
インターネットが利用できる環境では、自宅で古本屋を開くこともさほど難しくなくなっている。ただ、古本屋の運営を順調に進めていくには、あらかじめ経営のノウハウをチェックしておくことが必要だ。
自分に合ったビジネスモデルを選ぶうえでも、古本屋を経営するノウハウを知っておくことは大切になる。必要な準備などは、早めにおこなっておこう。