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【専門家監修】鉄くず回収は儲かる?開業に資格は必要?

読了目安:10分
更新日:2022/08/12
公開日:2019/09/05
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街中で廃品回収などをおこなっているのを見て、「儲かるのだろうか」と気になったことがある人も多いだろう。壊れたものを直したり、ジャンク品としてリサイクルショップと合わせて営業するといったケースもあると思うが、今回は、鉄くず回収に限った場合について検証していきたい。

また、鉄くずの概念をしっかり確立した上で、営業する際に必要となる資格についても確認していく。忙しい場合に、行政書士に依頼することもあると思われるため、これらの申請をおこなう上での価格の目安についても触れておこう。

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そもそも鉄くずとは?

 

鉄くずとは鉄鉱石と同様重要な製鉄原料であり、鉄スクラップともいう。鉄スクラップの主なものとしては、プレス後の廃車、鉄筋、家電製品の中の鉄分、スチール缶などがある。鉄スクラップを大きく分けると、市中スクラップと自家発生スクラップとなり、一般的なものが市中スクラップである。

市中スクラップは年間約2,893万トン(2018年)が回収され、リサイクルされている。鉄スクラップの収集形態は、回収業者が集め加工業者に運ばれる。加工業者は鉄スクラップをプレス、切断、破砕を施して加工し、電炉メーカーなどに納入する。けれど鉄鉱石から生産されたものよりも不純物が多いので品質はあまり良くない。それでも天然資源に恵まれていない日本には、貴重な資源といえるのである

一方で、自家発生スクラップは、鉄鋼メーカーで製鋼や製品加工の過程から発生するスクラップを指し、製鋼メーカーで再利用が図られているものである。

鉄スクラップのグレード

鉄スクラップにはグレードがあり、日本鉄源協会の検収統一規格によって定められている。下記は代表的なものである。

  • ・H2
  • ・新断(しんたち)

H2は、建築物の解体工事などから排出された鉄筋、鋼矢板などで構成され、幅500mm以下、長さ1,200mm以下、厚さ3mm~6mm、単重1,000kg以下のものを指す。日本国内で最も流通量が多い品種である。

新断(しんたち)は、自動車を廃車にした際に出るものが多く、製材を耕作機械で加工した残りの端材も新断になる。新断にはさまざまな種類があって、そのままの状態をバラ、圧縮したものをプレスという。嵩張らずに積み込みやすいという特徴があり、通常6mm以下のものである。

鉄スクラップは海外へ輸出されている

日本はかつて鉄スクラップを輸入しており、最盛期には年間500万トン規模の輸入をおこなっていた。次第に鉄スクラップの発生量が増え、1992年には輸出量が輸入量を上回るようになる。中国や韓国などの需要が高まったためである。

昔鉄スクラップを輸入せざるを得なかった時代もあったはずなのに、現在では3,000万トン以上の市中スクラップが回収されている。これが消費しきれずに価格の下落を招いているのである。

鉄鋼備蓄量が増え、鉄スクラップ発生量も増える中で輸入量が減り、1992年にはついに輸出量が輸入量を上回り、中国や韓国など近隣諸国の需要の増加により、日本は純輸出国に転じることとなった。2012年には、日本国内から860万トンの鉄スクラップが海外へ輸出されている。

現在日本は、トップクラスの鉄スクラップ輸出国であり、良質な原料の供給国でもあるといわれている。輸出国が自国で鉄スクラップを賄える時代が来ると予想し、この現状を維持するために、日本は一層の努力が必要となってくる。

鉄くず回収に資格が必要なのか?

鉄くず回収業を営むには資格は必要ないが、許可証というものを取得しなければならない。必要となる許可証は以下の通りだ。

業界別で必要となる3つの許可証

よく知られている廃品回収業は、業態によって3つの許可が必要となる。そして鉄くず回収業にも大きく影響してくるものである。

廃品回収業は、不用品を買い取って売却することで利益を得る。この業務には古物商許可が必ず必要となってくるので取得しておかなければならない。実際鉄くずに関しても古物商許可で取引するが、以下の15都道府県の場合は古物商許可ではなく金属くず商というものが必要となってくる。

北海道/茨城県/福井県/静岡県/長野県/大阪府/兵庫県/奈良県/和歌山県/滋賀県/島根県/岡山県/広島県/山口県/徳島県

なお、金属くずは、”本来の用途としては使用できない金属類”のことで、鉄くずや銅線などが含まれる。

また、古物商許可の対象品目である自動車、自動二輪車及び原動機付自転車などには鉄、アルミニウムなどの金属が含まれている。従ってこれらの金属を含む商品を買い取って分解し部品として販売するには、金属くず商許可証が不可欠となってくるのである

金属くず商に該当しないもの

  • ・本来の生産目的に従って売買する場合:商品として売買する場合
  • ・古物営業に該当する場合:例えばプラチナ売買をリングとして中古品で売買する場合

金属くず商許可証の申請方法

  • ・所轄の警察署に申請する

必要書類

  • ・金属くず商許可申請書
  • ・欠格事由に該当しない誓約書
  • ・住民票
  • ・登記されていないことの証明書
  • ・市区町村発行の身分証明書
  • ・賃貸借契約書
  • ・使用承諾書
  • ・土地・建物の登記簿謄本
  • ・営業所周辺地図
  • ・法廷代理人の許可書
  • ・各種申立書

上記は警察署によって変わってくる

申請手数料

  • ・北海道:12,800円
  • ・茨城県:2,000円
  • ・長野県:8,500円
  • ・静岡県:8,500円
  • ・福井県:8,500円
  • ・岐阜県:10,000円
  • ・大阪府:7,500円
  • ・奈良県:8,500円
  • ・滋賀県:8,700円
  • ・和歌山県:12,000円
  • ・広島県:無料
  • ・岡山県:無料
  • ・島根県:5,660円
  • ・山口県:無料
  • ・徳島県:無料

書類一式が正式に受理されると、30~40日前後で許可証が交付される。万が一、許可を受けずに営業すると、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処される

また、注意しなければならない点として、金属くず商は古物商許可と違って、3年の有効期限が設けられているため更新が必要となる。この点は念頭に入れておこう。また、金属くずの制度がない県もあるため、最新情報を自身で確認するのが賢明である。

詳細を得るには、都道府県警察本部から各警察本部にアクセスするのが良い。

申請の流れ

実際に申請する際には、自身の都道府県のサイトを確認した上で、申請をおこなったほうが良い。今回は、流れの参考として、大阪府警察を例として、申請の流れを説明する。

サイトに入り、順番に進んでいくと、必要な書類がダウンロードできる。これは他の警察のホームページでも同じだ。主な流れとしては以下のようになる。

  • 1.ホームページにアクセス
  • 2.各種手続き
  • 3.許認可関係
  • 4.古物商など許可申請の手続き
  • 5.”古物営業”、”質屋営業”、”大阪府金属くず営業条例”、に関する申請書類
  • 6.大阪府金属くず営業条理に関する申請書類

これらの必要な書類は、すべてインターネット上でダウンロードすることが可能だ。ダウンロードした上で印刷しておくと、無駄な手間が省けるだろう。

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営業所以外で売買する金属くず商行商とは

営業所以外の場所に出向いて金属くずの売買をおこなう場合は、金属くず商行商届出が必要となる。条例が定められている都道府県に出向いて買取などをおこなう場合も、あらかじめ出向く都道府県において行商の届出が必要になる。県外業者が行商届をおこなう際の申請先は、主たる営業を予定している地域を管轄する警察署になる

行商届は個人単位なので、行商をおこなう従業員一人につき一件の届出が必要となる。県によっては、事業主単位で1件のみ行商届を出せば良い場合もある。

金属くず商許可証を代行してもらう場合

金属くず営業の許可を受けるには、申請に必要な書類を集め作成しなければならない。申請から許可が取得できるまで1カ月程度要する場合もあるため、営業を急ぐ場合は申請をスムーズにおこなう必要がある。

けれど初めての手続きをするときには、警察署に事前相談しなければならないこともあり、さまざまな書類の収集、作成は大変である。そのようなときには、行政書士に依頼すると面倒な事務手続きを代行してもらえる。難しい作成も行政書士がすべておこなってくれるので、スムーズに申請がおこなえる。申請手続きは地域ごとに異なるので要注意である。

行政書士へ依頼する場合には、行政書士事務所によって金額やサービスなどが異なるが、おおむね以下のような価格帯になっている。

参考料金

  • ・金属くず商申請書作成:19,000円
  • 必要書類の取得及び申請書類一式すべての作成
  • ・金属くず行商届出書作成:3,000円(届出1件につき)
  • 行商をする場合のみで、従業員個人単位か事業主単位のどちらか

特典

  • ・アフターサービスがある
  • ・返金保証:ミスにより許可が取得できなかった場合、全額返金される

きちんと返金保証をおこなってくれるところも多いため、こういったサービスがしっかりしているところを選ぶと良いだろう。

一般廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースは?

一般廃棄物収集運搬業許可は、一般家庭の廃棄物(家具や家電など)を引き取る際に必要になる。けれどこの許可は、市町村が新規許可者を募集したときだけ許可申請できる。従って許可を取得するのは難しいとされている。

産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースは?

企業から出される廃棄物を産業廃棄物といい、これを運搬するには産業廃棄物収集運搬業許可が必要となる。取得には講習を受け、要件を満たせば誰でも可能である。申請に必要な費用は約10万円である。

取得要件は以下の通りだ。

  • ・講習会を受講し修了証を取得する
  • ・必要となる経理的基礎を有しているか
  • ・事業計画の内容が適切かどうか
  • ・運搬施設の体制が整っているか
  • ・欠格事由にあたらないか(以下3つ)
  • (1)成年被後継人、被保佐人、破産者で免責を受けていない者
  • (2)禁固刑を受けてから5年を経過していない者
  • (3)廃棄物処理法など産業廃棄物に関わる法律に違反し、罰金以上の刑罰を科せられてから5年を経過していない者

このように鉄くず回収業を有料でおこなっていく場合、上記のような許可が必要となってくる。地域によっては他の許可が必要となってくる場合もある。無許可でおこなうと違法になってしまうので、紛失などのときには再交付(費用700円)を受ける。

鉄くず回収は儲かるのか?

鉄くずを売るとどれ位の利益があるのか考えると、地域差や時期も影響するが1キロあたり15〜25円程度になる。この数字だけを見ると、決して儲かるわけではないと思われる。高額を稼ぐには厳しい現状であるため、いざ営業を始めたとしても長続きしない人が少なくなく、廃業に至ってしまうことも珍しくはない。

鉄くずのみを回収して生計を立てるのは無理があり、鉄以外の銅やアルミなども回収しているのも事実である。銅やアルミの価格は、銅が1キロ150~550円程度で、アルミが40~120円程度で売ることができる。本来の廃品回収であるパソコンやテレビなどの電化製品を回収することも必要不可欠であると言えるかもしれない。安定した収益は望めず、売れそうなものすべてを回収するのが必須となっている。

鉄くず回収業は手続きをふめば誰でも簡単に始められることから、ライバルも多い。ゆえにより稼ぐのは難しいとされるが、鉄くず相場が大きく影響しているのも確かである。

2007年頃は中国へ輸出するリサイクル鉄の需要が高く、くず鉄が1キロ60円という高値だった。それにトラック1台とガソリン代のみで営業できるのは好条件といえるだろう。それが徐々に伸び悩み2008年に1キロ67円だったのが、2009年には16円前後にまで落ち込んだのである。このような要因からも鉄くずのみの回収を仕事とする場合は、安定した収入は見込めないのである

もう一度鉄バブルの時代が来るのを願うしかないのかもしれない。

まとめ

鉄くず回収は申請に必要な費用が比較的高額であると考えられるが、今の時代、儲けようと思って鉄くず回収をおこなうのはあまり得策ではない。特別な思い入れがある業であったり、いつかくるかもしれない鉄バブルに乗っかるのであれば良いかもしれない。

また、申請するにあたっては、各都道府県でかなり事情が異なるため、自身の都道府県の最新情報を得るのが良い。おこなう業によっても必要となる許可申請が異なるため、十分に確認していく必要があるだろう。



この記事を監修した専門家

自身でアンティーク古物を扱うかたわら、古物査定士認定協会広報担当をしているフリーライター。現在は『手続きドットコム 古物商』『和樂web』等で執筆をしているほか、古物商系企業で出資を目的として投資家向けに動画原稿を作成している。国語(中高)、書道(高)、司書教諭、司書免許所有。「日本の伝統文化の保持」に関する論文で受賞経験あり。 古物査定士認定資格証会員番号:1179026007
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