古物商としてお店を経営する際には、ある程度商品を仕入れておく必要がある。営業を始めれば買い取りを希望する顧客から品物が入ってくるが、営業を始めたばかりのときは在庫もそろっていないことがほとんどだろう。
このような場合は、各エリアにある古物市場を利用するのが、現実的なアプローチになる。古物市場は、古物商はもちろん、一般の人も参加できる場合があり、狙った品をリーズナブルな価格で手に入れられるのが魅力だ。
今回は、京都の古物市場をリストアップしてみた。
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
明治から続く京都の老舗市場「京都美術倶楽部」
京都美術倶楽部は、明治41年に設立された京都の古物市場。京都美術商協同組合や京都美術青年会の会員が活動しており、美術品を取り扱う京都の古物商にとっても馴染みのある組織だ。
この京都美術倶楽部と似たような古物市場は、東京や大阪、金沢などにもある。こういったエリアでは価値のある美術品が出回りやすく、出品される品もレベルが高くなる傾向がある。
組合に加盟することで取引に参加できる
京都美術倶楽部は会員制の市場であるため、この市場で美術品を取引するためには京都美術商協同組合に加盟するのが第1歩になる。
京都美術商協同組合は美術品取引の世界でも評価が高く、海外の市場からも一目置かれる存在になっている。
ちなみに、会員になるためには入会規定をクリアしていることが必要なので、誰でもすぐに取引に参加できるというわけではない。加盟を希望するときには、京都美術倶楽部や京都美術商協同組合に直接問い合わせて、指示を受けるのがいい方法になるだろう。
いろいろな目的に使える貸会場を用意
京都美術倶楽部では、さまざまな目的に使用できる貸会場を有料で提供している。畳の和室や茶室、絨毯敷きの展示室などがあり、着物や骨董品の展示即売会などにも利用できる。100帖を超える広い部屋も完備されているため、たくさんの人が参加するイベントにも対応が可能だ。
ちなみに、利用料金は部屋の広さやグレードなどによって決まる仕組みになっている。茶室はいくぶん利用料金が高くなるが、その分床の間などが完備された和室で落ち着いて過ごせるのがメリットだ。
40歳以下の若手会員で構成されている京都美術青年会
京都美術青年会は、京都美術商協同組合に加盟する家族や店員などで構成される組織だ。この組織は40歳以下の若い世代が会員になっているのが特徴で、会員同士が交流できるイベントなども折に触れて開催されている。
長岡市で開催される「長岡古美術交換会」
京都府の長岡京市で月1回のペースで開かれているのが、長岡古美術交換会だ。美術品をメインに取引する長岡古美術交換会は、毎月中旬に長岡市立産業文化会館で開催される。
ちなみに、この会の代表は同市にある長岡古美術の店主が努めている。参加を希望する場合は、長岡古美術に電話やメールで問い合わせてみるのも1つの方法になるだろう。
また、取引されている品物の種類を知りたいときには、長岡古美術のサイトを見ると参考になるかもしれない。長岡古美術では、次のような品々を取引している。
甲冑などの武具
甲冑や具足といった武具は、長岡古美術が扱っている品の1つだ。例えば、江戸時代の後期に作られた大鎧のセットは、170万円という価格で販売されている。こちらのお店では、こういった品物をサイトを通じて販売中だ。
甲冑などの武具はコレクターやファンが多く、骨董品のなかでも高価買取されやすい。ただ、古いものだと状態の良し悪しが価格にダイレクトに響いてくる。紐が切れていたり、金具が一部取れていたりすると、減額されてしまうのが一般的だ。
茶碗や壺を始めとする焼き物
茶道で使われる茶碗は、品物によってはかなりの金額で取引される。長岡古美術が販売している茶碗のなかにも、販売価格が10万円をこえるものがある。
茶碗や壺といった焼き物は、有名作家の作品かどうかという点が査定のポイントになりやすい。査定をする際には、作家オリジナルのアレンジや印などをチェックする古物商が多い。茶碗や壺には偽物も多いため、本物かどうかをしっかりと見極める判断力が古物商に求められてくるわけだ。
仏像などの工芸品
長岡古美術では、木彫りの仏像や狛犬の像、獅子舞頭なども取り扱っている。仏像は女性からも人気を得るようになっているため、以前よりもニーズが高まっているのが最近の傾向だ。10万円以上の価格で販売されている品も多く、古物商が積極的に扱う品の1つになっている。
幅広い古美術品を取引する「大澤道具市場」
古物市場の大澤道具市場は、株式会社大澤商店が主催している。京都市左京区に拠点を構える大澤商店は、宝ヶ池や大原にもショールームがある規模の大きいお店。掛け軸や茶道具などのさまざまな古美術品を扱っており、買い取りの相談にも随時応じている。大澤道具市場で取引が行われているのが、例えば次のような品々だ。
絵画や版画
日本画から洋画、中国の絵画といった幅広いジャンルの美術品が、大澤道具市場では取引されている。古物商が扱っている掛け軸や書画、油絵などの美術品はほとんどが取引の対象になっており、開店前にいろいろな品を集めておきたいときにも利用してみる価値があるだろう。
このような美術品も、本物か偽物かといった点が査定の際には重要になる。ヤフオクなどのオークションサイトを見ると、有名な作家の作品がいくらぐらいの価格で落札されているかがわかるが、偽物の場合は査定額が大幅に下がるのが一般的だ。
茶道具や刀剣
骨董品の定番である茶道具や刀剣も、大澤道具市場で取引される品だ。茶道具や刀剣の場合も、有名な作家ものなどは取引の価格も上がることが多い。
ただ、古物商同士が品物を取引する古物市場では、相場の金額よりもいくぶん安く手に入るケースが少なくない。買取に出す人は、汚れや破損が生じないように箱などに入れて大切に保管していることが多いため、かなり古い品でもそっくりと残っている場合がある。将来、買い取りしてもらう可能性を考えて、このような保管の仕方をしている人もいるのが本当のところだ。
状態をよくしておくことは、高額査定を受けるコツの1つ。古物商としても、破損や汚れがない品は流通ルートにのせやすいので、相場に近い金額で買い取れるというわけだ。
貴金属や時計、着物
幅広い品を取引する大澤道具市場では、貴金属や時計、着物も扱っている。古美術品は遺品整理などの際にまとめて出てくることが多いが、大澤道具市場のように充実した流通ルートがあれば、品物のジャンルを問わずに取引ができる。
開かれたオークションが注目を浴びる「古裂會」
京都では、一般の人が参加できるオークションも開催されている。例えば、古裂會が主催しているオークションは、誰でも参加が可能だ。古裂會も、会社を設立した当初は古物商を対象にした市を開いていたが、後に一般の人も自由に品物を出品できるオークションを開催するようになった。
出品前には査定や最低価格の決定などのプロセスがある
古裂會を通じてオークションに出品する場合、最初に査定を受けて出品できるかどうかをチェックしてもらうのが1つのルールになっている。査定の結果に納得すれば、品物を預けて最低出品価格を決めてもらう流れだ。
最低出品価格をつける際には、より詳しい鑑定が行われる。古裂會のオークションは、最低出品価格が20,000円以上であることが出品の条件になっているため、品物の価値をチェックすることは大切なプロセスになる。
20,000円以下の場合も出品すること自体は可能だが、さまざまな費用がかかることから赤字になる可能性が高いのが難点だ。
落札されなかった品も再販できる
万が一、オークションで出品した品物が落札されなかったときには、再び古裂會を通じて再販ができる。このサービスは先着順であるため、希望する場合は早めに意思を決定する必要があるだろう。
再販できる期間は、2週間。期間中に売れることもあるので、こういった再販期間は出品者にとっては1つのチャンスになる。
手数料やカタログ掲載料、保険料などが必要
古裂會のオークションは誰でも参加できるのが便利な点だが、出品する際には一定の費用がかかる。例えば、品物が落札された場合は、手数料が必要だ。また、カタログ掲載料や保険料などもあらかじめ見積もっておかなければならない。落札価格からこのような料金を引いた金額が、出品者に支払われる。
美術書をメインにしたオークションを開催「京美会」
京美会は、京都府古書籍商業協同組合が運営する専門団体。こちらの組織では、美術書を中心にしたオークションを開催している。京美会は昭和の初めに設立され、平安堂書店や京都書院などの著名な出版社の取引でも利用されてきた歴史がある。
会員以外の業者も参加する大規模なオークション
京美会のオークションは、会員になっていない業者も参加が可能だ。実際、美術書や和本などを取り扱う古美術商や古書店が多く参加しており、いろいろなルートを通じて品物が取引されている。
たくさんの業者が参加するため、落札価格が上がりやすいのが1つのメリットになっている。また、公正な取引が実現しやすいのも特徴だ。
出品者は最低落札価格を決められる
こちらの京美会のオークションに出品する際には、最低の落札価格を自分で決めることができる。あまり安く売りたくない品については、出品をする前の時点で希望する最低落札価格を決めておくのがいい方法だ。
ヤフオクなどのオークションサイトを見たり、ネットオフ(NET OFF)や総合美術買い取りセンターなどの買取店で査定を受けたりすれば、相場の金額がだいたいわかるので最低落札価格も決めやすい。
版画や古い書籍も出品できる
京美会のオークションに出品できるのは、現代の本に限らない。版画などの美術品や古い書籍も出品することが可能だ。肉筆の本などは、最低落札価格を少しあげてもスムーズに売れる可能性がある。
こういった貴重な品をオークションに出品するときには、他のオークションの落札結果なども参考にしながら、慎重に金額を決めていこう。ちなみに、京美会のオークションに出品された品の種類は、目録などで確認できる。
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大量に商材が仕入れられる古物市場は中古品ショップ経営には有益な存在だが、商材のすべてをこれら古物市場でそろえるわけにもいかない。買取強化しているアイテムは個人から買い取れることも多くあるため、日頃より店舗情報やサービス内容を世間一般に宣伝しておくことも重要なポイントだろう。
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