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【専門家監修】古物商の資格を取るメリット・デメリット

読了目安:10分
更新日:2021/04/12
公開日:2019/07/03
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インターネットなどの普及によって、BtoBだけでなく、CtoCがおこなわれるようになり、ますます古物商に関して注目度が高まったように感じる。古物を法人としてやり、主たる業務としておこなおうと考えている人だけでなく、副業として古物を扱うにあたり、古物商の許可申請をおこなうか否か考えている人もいるだろう。

しかし、フリマアプリによる取引では、古物商の許可がなくても現状はできるだろう。そのため、メリットが少ないなら取る必要がないのではないかと考えている人もいるかもしれない。そこで、古物と古物商がどういったものであるか確認した上で、古物商の許可申請を得るメリットとデメリットを紹介していく。

古物とはなにか

古物商という言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。しかし、その業務内容や資格を得るための方法がわからない人もいるだろう。あるいは、古物そのものがなにを示した言葉か釈然としない人もいるかもしれない。そこで、古物とはなにか、古物商とはなにかという点から解説していく。

古物はなにを指しているの?

古物は、法律によって厳格に規定がなされている。まずは規定から確認し、その中でも例外とされるものを紹介する。

古物と規定されているもの

“一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。よって一般の消費者などがその使用のために小売店などから一旦譲受した物は、実際の使用の有無を問わず原則として同法の「古物」である。

反対に、流通段階における元売り、卸売、小売までの売買関係における物品は、一般に当該物品の使用を目的とはしていないため、その新旧を問わず「古物」ではない。いわゆる新古品(型遅れ流通在庫保管品)も「古物」ではない”(古物営業法)

金券ショップなども買取ショップが存在しているため、金券類もこれらに該当するイメージがある人も多いだろう。商品券やプリペイドカードも古物として含まれている。

古物に当てはまらない例外

以下の2つの物品は概ねであるが、古物から除外されている。

  • ・コンクリート打設、溶接、またはアンカーボルト接合もしくはこれらに準ずる強度により固定され、かつ容易に取り外しができない重量1トンを超える機械
  • ・航空機、鉄道車両、20トン以上の船舶、5トンを超える機械(船舶、自走できるもの、けん引される装置があるものを除く)

これらは基本的に古物として考えなくても良いだろう。

古物商とはなにか

古物商とは、古物営業法という法律に規定されている上記の古物を生業として売買やレンタルなどといった交換をおこなう人のことを指す。法人のみでなく、個人として許可の申請をすることも可能だ。

資格というより営業する人が許可を得るもの

古物商は資格というイメージが強いためか、登録者数は年間約1万と非常に多いものの、6ヶ月以上営業しない場合には、返納が求められている。具体的には、古物営業法第6条で以下のように定められており、第3項に抵触する。

“公安委員会は、第3条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。

  • 1.偽りその他不正の手段により許可を受けたこと。
  • 2.第4条各号(第9号を除く。)に掲げる者のいずれかに該当していること。
  • 3.許可を受けてから6ヶ月以内に営業を開始せず、又は引き続き6ヶ月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと”(古物営業法)

そのため、古物を生業として売買や交換をおこなっていくのか、吟味してから許可申請をおこなうべきだろう。書類も複雑であり、専門の行政書士が存在するほどなので、決して楽なことではない。

古物商に科せられる義務

また、古物商は営業法に則って、3大義務が科せられる。具体的には以下の3つだ。

買取相手の確認義務

買取をする際、相手の住所、氏名、職業、年齢などを確認する。また、偽装や盗品などが出回らないよう、物品をきちんと確認していく必要がある。これに違反した場合に、懲役6ヶ月以下または30万円以下の罰金もしくは併科が科せられる。

怪しい商品の申告義務

仮に盗品と疑わしい商品の買取請求を受けた場合には、所轄の警察の盗犯捜査係へ連絡をする必要がある。仮に盗品と知りながら知らせず受け取った場合には、懲役10年以下または50万円以下の罰金が科せられる。

帳簿の記録義務

いつどこで誰からなにを買い取ったかについて、帳簿に記帳する必要がある。また、物によっては、誰に売ったかまで書かなくてはならない。これを怠った場合には、懲役6ヶ月以下または30万円以下の罰金が科せられる。

このほかにも、警察から送られて来る窃盗事件などの被害品の手配書である「品触れ」を受け取った場合に、受け取った日時を記載し、6ヶ月の間、保管をしなくてはならない。これらの義務は、盗品の流通を阻止することが目的となっているため、必ず守る必要がある。

古物商の資格を取るメリット

古物商の許可を得ることで、何らかの優遇を受けることができるのは想像に容易い。しかし、具体的にどういったメリットを受けることができるのかわからない人も多いだろう。そこで、古物商を取るメリットを紹介する。

安心感を与えることができる

フリマアプリやネットオークションといった個人間商取引においては、模造品業者が紛れ込んでいる現状がある。そのため、使い慣れた利用者は購入に関して、かなり慎重になる人が多い。また、顔の見えないインターネット間取引では、肩書きで相手の人となりがわかるため、信用につながる

古物商を名乗り、きちんと真贋を見極め、適正価格で販売することが可能であることを伝えることができれば、安心して購入できる利用者も多くなるだろう。必然的に、取引件数が増えて利益が上げやすくなると言えるかもしれない。

古物市場へ参加できるようになる

古物商の許可申請を得ることができれば、古物市場に参加することができるようになる。とりわけ法人で申請した場合には信頼を得ることができ、参加しやすくなるだろう。この古物市場とは、古物を大量になおかつ安価に仕入れることが可能な市場であり、全国に約1500箇所存在すると言われている。

また、車やブランド品といったように、ジャンルごとに取り扱われているため、効率よく商品を集めることができる。売買するにあたって大きな利益を生むことが期待できると言えるだろう。古物を扱い始めるときも、初めからたくさんの商品を陳列できるため、見栄え良く見せることも可能だ。

不要在庫を一斉処分できる

商品販売をした経験がある人ならわかると思うが、売れない在庫をいつまでも抱えてしまい、倉庫が圧迫してしまうこともあるだろう。こういった場合に、古物市場で不良品を処分することも可能だ。

自分にとっていらない商品であっても、他の古物商の店舗では必要な商品であることもある。そのため、店でお客さんと売買をするだけでなく、古物市場で売買をおこなうこともできると言える。

個人サイトや店舗で売買が可能

個人取引では、現状特に言われていないが、個人サイトや店舗など、営業をおこなう場合には、必ず古物許可申請を得る必要がある。仮に無許可で営業をした場合に、3年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられる。詳しくは古物営業法の第31条に明記されている。

“第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

  • 1.第3条の規定に違反して許可を受けないで第2条第2項第1号又は第2号に掲げる営業を営んだ者
  • 2.偽りその他不正の手段により第3条の規定による許可を受けた者
  • 3.第9条の規定に違反した者
  • 4.第24条の規定による公安委員会の命令に違反した者”(古物営業法)
  • 5.税的な優遇を受けることができる

CtoCのように、古物の許可を得ずに売買をおこなった場合には、売上の金額すべてに税金がかかる。しかし、古物商の許可申請を得てから売買をおこなった場合に仕入値を差し引いた金額だけを利益として、税金を支払えば良い。特に高額な商品の転売などをおこなった場合には、税金面で雲泥の差が出るといって良いだろう。税対策として古物許可申請をおこなっておいて損はない。

ビジネスチャンスが広がる

古物許可申請をせず古物を扱う場合に、常にリスクと戦う必要がある。しかし、許可を得ていれば、堂々と古物売買に関してビジネスをおこなうことができる。フリマアプリなどを用いた方法以外で戦うことができるため、ライバルの少ない場所で売買をおこなうことが可能だろう。

また、それだけ人目に触れることもできるし、法に則っていれば、大それたことができるため、ビジネスチャンスが掴みやすいと言えるだろう。

行商をおこなうことができる

古物許可申請で「行商をする」とした場合に限るが、営業所以外の場所で古物の売買をおこなうことができる。例えば、路上などで露店をおこなうことができるため、人目につきやすくなり、効率よく売買をおこなうことができると言えるだろう。行商をするにあたっては、許可証を携帯する必要があるため、実際におこなう際には注意が必要だ。

出張買取ができる

古物許可を得ていると、お客さんの家に伺い、商品の査定や買取をおこなうことができる。買取センターまでおこなったり、ネットへわざわざ出品するのを面倒に感じる人も一定数いるため、そういった人に出張買取のニーズがあると言えるだろう。収入源を広げるチャンスが増えると考えても良いかもしれない。

出張買取をおこなう際には、クーリング・オフの適用など、通常の店頭販売と異なるルールが適用されるため、注意が必要だ。

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古物商の資格を取るデメリット

基本的に、古物で利益を生み出すのであれば、古物許可を得るメリットの方が勝ると言える。しかし、もちろんデメリットも存在する。副業程度で、あまり古物を扱わない場合には、合わせてデメリットも確認し、許可申請をするかどうか検討した方が良いだろう。

許可を得るまでに時間がかかる上に煩雑

古物商の許可申請は警察でおこなわれ、かなり厳重に審査される。そのため、取るまでに多くの時間を要するだろう。許可申請にあたっては、40日以上かかると言われているため、それに合わせて開業の日程を組まなければならない。

また、各書類は警察署などで記入例や注意点が明記されているが、わかりにくいものが多い。さらに、書類の申請場所も多岐にわたり、なおかつ平日に集める必要があるため、面倒に感じる人が多いはずだ。

費用がかかる

古物商の許可申請をするにあたっては、許可の可否に関係なく19,000円の手数料が発生する。また、書類の提出にあたって、その他資料も必要になるため、別途、資料の取り寄せにかかる費用も必要だ。多く売買をしない場合には、費用面でデメリットを感じるかもしれない。

警察の監視下に置かれる

古物商の許可申請は警察署でおこなう。そのため、警察の監視下に置かれると言い換えても良い。先ほども述べたように、盗品と疑わしいものは申告する義務があり、品触れに応じなくてはならない。それだけでなく、警察署から定期的に確認書類が送られてくるため、これに回答し、返送しなくてはならない。想定外に時間を費やす必要が出るときもあるかもしれない。

帳簿が面倒

古物商は帳簿に記帳することが義務付けられているが、書く内容が細かく、面倒に感じる人が多いだろう。また、所定のフォーマットが存在しないため、自分で帳簿を用意したり、行政書士からExcelファイルをもらったりする必要がある。特に慣れないうちは、困難に感じるかもしれない。

まとめ

古物とは古物営業法に厳格に定められている。これを売買もしくは交換をおこなう人のことを古物商と呼び、3大義務が科せられる。フリマアプリでは現状、取引ができているが、露店や行商、個人の店やサイトでの運営など、それ以外でビジネスチャンスを得ようとするとリスクが大きいため、古物商の許可を取得すべきであろう。

また、税制面などの優遇も大きいため、ちょっとしたお小遣い稼ぎではなく、古物で大きく利益を生み出そうと考えているのであれば、メリットはデメリットを帳消しするくらいには、遥かに大きいと言える

しかし、古物商の許可申請にあたっては、膨大な資料を集めたり、注意点について確認したり、あちこちへ出向く必要があったり、許可の可否がわかるまでに時間を要したりと、気をつけるべき点が非常に多いため、余裕を持って行動したい。



この記事を監修した専門家

自身でアンティーク古物を扱うかたわら、古物査定士認定協会広報担当をしているフリーライター。現在は『手続きドットコム 古物商』『和樂web』等で執筆をしているほか、古物商系企業で出資を目的として投資家向けに動画原稿を作成している。国語(中高)、書道(高)、司書教諭、司書免許所有。「日本の伝統文化の保持」に関する論文で受賞経験あり。 古物査定士認定資格証会員番号:1179026007
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