2018年に古物営業法が改正され、非対面取引の本人確認方法などが追加された。このたびの法改正がおこなわれたのは、インターネットやスマホの普及やメルカリ、ヤフオクといった古物売買をおこなうことができるアプリが浸透したことが背景となっている。
そこで、今回はメルカリやヤフオクといったサービスに焦点を当て、非対面取引の本人確認方法を確認していく。また、誤った認識が情報として流れている様子が見受けられるため、誤った本人確認方法についても合わせて確認していく。
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古物商にある本人確認義務
古物商が仕入れとして古物の買取をおこなったり、委託を受ける場合は相手の氏名や住所、年齢などの本人確認が必須だ。これは古物営業法15条に記されており、古物商を営むうえでの義務である。あくまでも本人確認の義務は、買取をする際に発生するものであり、古物を販売をする場合には必要ない。
メルカリ・ヤフオクでも生業なら本人確認は必要
古物商は何も対面のみ買取をおこなうわけではない。近年では、ITの発達に伴い、インターネットを介した取引きが盛んになっている。一般的に古物の買取、または委託を受ける場合は、取引きの方法がメルカリやヤフオクのようにインターネットを介したものであっても本人確認をする必要がある点は注意が必要だ。
仮にメルカリやヤフオクをフリマとして個人的に楽しむなら本人確認は不要だ。しかし、生計を立てるための業として見なされた場合、古物商として買取をしていると見なされ、この場合に本人確認が必要となる。これは古物営業法で決められた方法で取引き相手の本人確認をしなければならない。
対面の場合は免許証などの身分証明書を提示して貰らうケースが多く、その場で買取申込書に住所や氏名、生年月日、職業といった個人情報を記載して貰い確認をすることになる。しかし、メルカリやヤフオクの場合は相手と直接会って取引きをするわけではない。そのためメルカリやヤクオクでは、上記のような方法では本人確認ができない。そこで非対面取引における本人確認をする必要が出てくる。
非対面での本人確認方法は?
対面式と非対面式では本人確認の方法が異なる。ここでは、ヤフオク・メルカリに適さないものも多いが、非対面での本人確認方法を説明する。
代金を送付する契約を本人限定受取郵便などによって結ぶ
仕入れをした古物の代金を受け取りを本人に限定した現金書き留めなどで送る方法もある。しかし、メルカリもヤフオクも現金書き留めによる代金の支払いを認めていない為、利用することはできない。
この方法で確認をおこなえば、古物営業法違反にはあたらないが、メルカリやヤフオクの規定に違反してしまう。最悪退会などの処分を受けることになりかねない。古物商において本人確認が必要といえども、この方法は避けなくてはならない。
古物商が用意したソフトウェアを使う
古物商が提供をしたソフトウェア経由で身分証明書やICチップの情報、本人の顔が分かる画像などの送信受ける方法がある。しかし、これは、古物商のホームページなどでの取引と違い、メルカリやヤフオク上での取引においては実現不可能だろう。
電子署名による確認
電子署名は、紙文書における印章やサインに相当するもので本人確認の為に使うことができる。契約書を本人が作成したことを証明するだけではなく、改ざんされていないことを証明する役割もある。偽装ではないことを確実なものにする為には、さらに指定認証局が発行する証明書とタイムスタンプも必要不可欠だ。
こうした電子署名メールを相手に送信して貰い、それを受信し確認をおこなう。もし、確認をして間違いがなければ、これで本人だと証明されたことになる。この後、本人名義の口座などに振り込みをおこなう流れだ。
電子署名を用いた本人確認にもさまざまな方法がある。例えば地方公共団体の発行した電子証明と電子署名をした記録による確認だ。上記の電磁記録を相手から古物商に送信して貰い本人確認をする。これは、すべての古物商ができる方法ではなく、総務大臣から認定されている場合のみに許されている。
また、特定認証業務をおこなう署名検証者が発行した電子証明書と電子記録により確認する方法などがある。前者はマイナンバーカードを用いり、後者はICカードを用いるといった点で違いがある。改ざんされていない電子署名であることが分かれば良く、方法は色々とあるがどの方法を選んでも問題はない。
以上説明したものが、非対面の本人確認として有効なものである。紙面の送付などよりもずっと効率的な方法だと考えられるが、残念ながらヤクオクやメルカリの場合には、この方法をとるのは不可能だと言える。
印鑑登録証明書と登録印鑑の押印
印鑑によって本人確認をする方法として印鑑登録証明がある。印鑑登録書もしくはマイナンバーカードを使って役所やコンビニで相手に印鑑登録証明書を発行してもらう。なお、コンビニの場合にはマイナンバーカードのみ発行が可能となっており、通知書は現状利用できない。そして書面に登録印鑑を押してもらい、印鑑登録証明書と供に古物商に送付してもらう。
ただし、印鑑登録をおこなっていないと、この方法で本人確認をおこなうことはできない。メルカリやヤフオクでも、相手が了承さえしてくれるならこの方法による本人確認も可能だろう。しかし、古物商をよく理解していない相手が了承してくれるかどうかという点は疑問であり、手間も多く発生することからかなり相手によるところがあると考えられる。
簡易書留などを転送不可で送付
住民票の写し、マイナンバーカードなどのICチップ情報、本人確認書類の画像の送付により、上記に記載された住所へ転送不可で送付し、到着を確認する方法がある。住民票の写しなどをわざわざ送ってもらうなど相手側の手間が多いのが難点であり、メルカリやヤフオクでは実現が難しいと考えられる。
メルカリやヤフオクでの取引きは手軽におこなえる反面、両者の間に信頼関係があるわけではない。そのような相手に、手間をかけて個人情報を教えてくれるだろうか。仮に古物商の肩書きや法人名で信頼を得たとしても、特にさほど高価ではなく手に入りやすいものなら面倒に感じられるだろう。
異なる2種類の書類を確認し転載不可で送付
本人確認書類・住民票の写しなどのうち異なる2種類の書類の写しの送付を受けるか、1種類の本人確認書類のコピーともう1種類の補完書類を送付してもらい、記載された住所に転送不可簡易留などを送付し到達を確かめる方法もある。
これは、2018年の法改正で新しく追加された非対面の本人確認である。もし、相手が納得をしてくれるなら、メルカリやヤフオクで仕入れる際の正しい本人確認方法となるだろう。
限定郵便を送り到達を確かめる
古物商が相手に本人しか受けとる事のできない郵便物を送り、ちゃんと届いたかどうかを確かめることで本人確認を済ませることも可能だ。本人限定受取郵便などは、受ける際に免許証や健康保険証などを配達員に提示しなくてはならない。そのため、非対面の本人確認として用いることができるのだ。
また、相手から氏名や生年月日、住所なども聞いておかなくてはいけない。メルカリやヤフオクでの本人確認方法としては比較的現実的だろう。もちろん相手が納得し、了承をしてくれなければ難しいことに変わりない。しかし、電子署名や印鑑登録証明と比較すると本人確認をおこないやすい印象を受ける。
本人確認が必要な理由
問屋などから新品を仕入れる場合には不要であるにも関わらず、なぜ古物では必要になるのだろうか。また、なぜここまで本人確認を徹底しなければいけないのか、疑問に思う人もいるだろう。理由を端的に述べると、古物の場合は盗難・窃盗による売買が非常に多いためである。
中古品は新品と違って、ルートがはっきりとしていない。そのため、買い取った古物が盗難品の可能性も否めない。そこで、誰から買い取ったのかハッキリさせて、犯罪の発見と防止、盗難品の返還に努める必要があるのである。
本人確認が不要なケース
例外として、本人確認が不要となるケースもある。そこで、本人確認の必要ない場合について確認をおこなう。
1万円未満の場合
古物売買において、1万円未満の多くの古物は本人確認が免除されている。気を付けたいのは、古物1点の金額ではなく、合計金額が1万円未満という点だ。これは、犯罪の可能性が薄いというのが理由だ。しかし、1万円未満でも本人確認の対象となる本やDVD、二輪車などは窃盗の多いジャンルは、本人確認が必要となっている。
また、1万円に満たない金額であっても、出品者が18歳未満なら本人確認が必要とされている。これは、未成年が親が買ったものを多く所有していたり、高価な商品を頻繁に購入できる収入がないケースが多く、盗品であるリスクなどが増えるからではないかと推察される。メルカリやヤフオクでは相手の年齢が把握できないことが大半であるため、基本的には確認をするようになるだろう。
自分が売却した商品を買い戻す場合
自分が所有していた品物を売却した相手から、古物を買い戻す場合は本人確認の必要がない。これは買い戻しならば古物が盗品の恐れはないと考えられるためだ。
メルカリ・ヤフオクの間違った本人確認の情報
本人確認方法があるからといって、どのような本人確認方法でも認められるというわけではない。ここでは、とりわけ多い誤った本人確認方法の事例を紹介する。
伝票で確認するのは間違い
メルカリやヤフオクで古物を仕入れると相手側が宅配便などで品物を送ってくる。そのときの送付伝票は、匿名配送でない限り、相手の氏名や住所が記載されているはずだ。しかし、その氏名や住所が正しいものではないこともある。メルカリやヤクオクの本人確認は、これで済ませることが出来るというのは事実ではないので注意したい。
サイトが本人確認をしているから必要ないは間違え
基本的に個人間取引をおこなうような場所では、サイト側が本人確認をしている。そのため、名前や住所などは、サイト側が確認しているのだから古物商がする必要ないのではと思うのは大間違いだ。
例えメルカリやヤフオクのサイトで本人確認済みだったとしても、古物営業法にのっとった方法で古物商自身が確認しなくてはいけない。また、メルカリやヤフオクなどに登録をしている住所などが偽りである可能性もある。こういった理由もあり、特に非対面の本人確認は厳しい。
免除該当品目で1万円未満のものを仕入れれば良いのは間違え
メルカリやヤフオクで、本人確認の必要のない品目の古物を総額1万円未満になるように仕入れることで本人確認をせずに済むという噂もあるようだ。しかし、この場合でも、メルカリやヤフオクに年齢が明記されていないため、相手の年齢は明確ではない上、仮に明記されていても偽りの可能性がある。
ヤフオクでは18歳未満の出品が禁止ということから年齢確認も必要ないと言う噂もあるようだが、サイト側ではなく古物商が確認をおこなう必要があり、これらは誤った知識である。
1度本人確認をした相手なら再度の確認は不要は間違え
1度正しい方法で本人確認をすれば、次の取引からは確認の必要がないという噂もある。しかし実際は再度の取引であっても、もう1度本人確認をしなくてはいけない。ただ、方法によっては簡略化できることもある。
メルカリ・ヤフオクで本人確認を怠るとどうなるか
メルカリやヤフオクで本人確認をせずに仕入れをした場合、どうなるか分かっているだろうか。当然、古物営業法に違反していることになり6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金、またはその両方が科せられることになっている。
確かに本人確認をせずに取引きをしても、その事実が明るみに出ない場合に罰則は受けずに済むかもしれない。しかし、本人確認は警察の品触れに対応するなど重要な目的がある。いつどのタイミングで明るみに出るかわからない上、古物商の行動として極めて不適切だ。
まとめ
メルカリやヤフオクで古物売買をおこなう場合に取引の金額などに注意する必要があるだろう。最近では副業として中古品の転売も流行っているが、業として認められるような金額を定期的に稼いでいて古物許可証を所有していない場合に、業とみなされて古物営業法違反として逮捕されることがある。
それだけでなく、業としておこなう場合に本人確認が義務付けられているため、少額だからと言ってうやむやにしてしまうのも違法となる。この点については注意しておくべきところだろう。メルカリやヤフオクの場合には、本人確認書類を送付してもらったのちに転載不可で送付するか、限定郵便を利用するのが良いだろう。
現状、誤った知識も多く蔓延しているが、基本的にはサイト側が確認していても古物商側で確認が必要であること、氏名、年齢、住所などを確実な方法で確認できていない場合には、正しい本人確認方法はないことを覚えておくと良いと思われる。
この記事を監修した専門家
