古物商許可申請をおこなうにあたって、いくつかの書類や、書類提出の際に必要となる証明書をそろえる必要がある。ここでは、略歴書の書き方や記載例を確認していく。略歴書というと小難しい印象を受けるが、記載例を見ながら書いていくとなにも難しいことはないだろう。
また、略歴書は個人情報や欠格事由に該当していないか調査するための書類となるが、欠格事由に該当しないことを誓約する誓約書というのも存在する。欠格事由を確認するとともに、誓約書の書き方も確認していきたい。
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主な必要書類一覧
古物商の許可を得るにあたって、申請に必要な書類を集める必要がある。
- 古物商許可申請書一式
- ・誓約書
- ・略歴書
- ・住民票の写し
- ・身分証明書(運転免許証や保険証ではない)
- ・登記されていないことの証明書
- ・URLの使用権原疎明資料(URLを使用する権利があることを認めてもらうために必要な資料。HPで古物を販売する場合などの際には必要)
- ・営業所の賃貸契約書コピー(賃貸の場合のみ必要)
略歴書を記載する理由
古物商申請をするにあたって、略歴書の提出が必要となっている。略歴書といえば小難しい印象を受けて身構えてしまうかもしれないが、履歴書のようなものだと考えて良い。これは、許可申請から遡り、直近5年間分の情報を記載していくことになる。
略歴書については、直接警察署に行かなくとも、各都道府県警察署のホームページから入手できる。東京都の場合には、以下のリンクからダウンロードすることができる。
略歴書の書き方・記載内容を徹底解説
略歴書は古物商許可申請のときに必要となる書類の1つである。ここでは、その記載内容や書き方について解説していく。略歴書に記載する内容は以下の通りだ。
- 1.氏名・住所・生年月日・本籍
- 2.過去5年間の経歴の年月日(期間)
- 3.過去5年間の経歴の内容
- 4.備考(賞罰を受けたかどうか)
- 5.作成年月日と氏名、住所を記載して押印
これらについて、順を追って解説していく。
氏名・住所・生年月日・本籍
略歴書として提出する方の氏名、住所、生年月日、本籍を記載する。基本的事項な事項だが、とても大切な項目であるため、住民票などを見て正確に記載する。また、氏名にはフリガナも必要であるため、忘れないように注意しよう。
過去5年間の経歴の年月日(期間)
過去5年間の経歴(学歴や職歴など)の期間を記載する。学歴の場合は学校に在籍していた期間を記載し、職歴の場合は勤務していた期間を記載していく。過去5年間の経歴が必要だが、5年以上前から勤務していた場合などは、勤務しはじめた時期から記載する。
例えば、2019年9月に古物商許可の申請をする場合には、2009年4月から申請する日まで同じ職場で働き続けていたと仮定すると、略歴書に記載するべき期間は2009年4月~2019年9月となる。
過去5年間の経歴の内容
申請日から遡って5年間の経歴内容(学歴、職歴)を記載する。申請期間に対する内容を記載していくことになる。学歴であれば学校名や学部、職歴ならば法人名と役職、自営業なら屋号を記載していく。
仮に5年間の職歴がフリーターやアルバイトであっても問題はない。無職の場合は無職、求職している場合にも事実をそのまま記載しなくてはならない。職歴が無かった場合やアルバイトの経験しかなかった場合でも古物商許可は取得が可能であるため、事実だけを記載するようにしよう。
備考(賞罰を受けたことがあるかどうか)
過去に懲役や禁固刑など犯罪歴がある場合には記載する。犯罪歴が無い場合は「なし」と記載する必要がある。もし犯罪歴がある場合には必ず事実を記載する。古物商許可の申請窓口は警察署(公安委員会)であるため、虚偽の申請をした場合にはすぐにバレてしまうだろう。
虚偽の申請をおこなった場合は、許可が下りないばかりかそれに加えて、罰則が科される上に5年間は古物許可申請ができなくなることがあるため、十分に注意が必要だ。例としては以下の通りだ。
第三十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第五条第一項の許可申請書又は添付書類に虚偽の記載をして提出した者(「古物営業法」第5条第1項)
第五条 第三条の規定による許可を受けようとする者は、公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、許可申請書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあっては、その代表者の氏名(「古物営業法」第5条第1項)
作成年月日と氏名、住所を記載して押印
これまで作成した略歴書の内容に間違いがなければ、最後に作成年月日と住所、氏名を記載して押印すれば完成となる。略歴書を作成する上で一番重要なことは、経歴を偽らないということだ。必ずありのままの事実を記載するようにしよう。経歴が無いことが理由となり古物商許可が下りないということはまずないため、安心して良い。
略歴書が必要となる対象
略歴書は申請者本人だけのものを用意すれば良いわけではない。そこで、ここでは誰の略歴書を用意すれば良いのか、対象となる人物について確認をおこなっていく。
個人の場合
個人の場合には、申請者本人と営業所の管理者となる者の略歴書が必要となる。申請は欠格事由に該当しているかどうかも判断されているため、申請者本人だけでなく、管理者も欠格事由に該当していないかしっかり確認をおこなっておくと良い。なお、申請者本人と管理者が兼任しても良い。
法人の場合
法人の場合には、監査役を含んだ法人の役員全員分の略歴書と営業所の管理者のものが必要となる。もちろん、個人と同様に役員全員及び管理者が欠格事由に該当していない必要がある。また、役員と管理者の兼任は可能だ。
欠格事由の確認
先ほど、欠格事由に該当する人が含まれる場合に、申請が通らないことについて述べた。そこで、簡単に欠落事由となる条件について確認していく。
- ・成年被後見人(「古物営業法」第4条第1号)
- ・被保佐人(「古物営業法」第4条第1号)
- ・破産者で復権を得ない者(「古物営業法」第4条第1号)
- ・「古物営業法」で定める刑罰を受けてから5年経過していない者(「古物営業法」第4条第2号)
- ・暴力団関係者(抜けてから5年経過しない場合も含む)や暴力行為をおこなう危険性のある者(「古物営業法」第4条第3号及び第4号)
- ・住所が定まらない者(「古物営業法」第4条第5号)
- ・古物商の許可の取り消しから5年経過しない者(「古物営業法」第4条第6号)
- ・聴聞の取り消しが決定する前に返納して5年経過しない者(「古物営業法」第4条第7号)
- ・未婚・非相続人、法定代理人から許可を受けておらず登記していない未成年(「古物営業法」第4条第8号)
なお、管理者については営業所から近いところに住んでいて常在でき、なおかつ専門知識を有していることが求められる。場合によっては、警察署から専門知識や経験について確認がおこなわれる場合もあるだろう。
誓約書の作成の仕方
略歴書とともに、誓約書も提出が義務付けられている。これは、欠格事由に当てはまらないことを誓約するためのものである。したがって、あわせて誓約書についても確認していく。
誓約書は各都道府県警察署のホームページにフォーマットがあるため、1から自作する必要がなく、警察署へ直接もらいにいく必要がない。署名及び印のみとなる。東京都については、以下のリンクからもダウンロードすることができる。
誓約書の記載
日付、住所、氏名を記載する。日付は申請日ではなく、実際に記入した日を記載していく。また、住所は都道府県からきっちりと記載し、省略してはならない。
押印する
押印は実印である必要はない。認印で問題ないが、シャチハタ印は使用不可である。
管理者用の誓約書も提出する
略歴書などにより、欠格事由を確認することもあり、管理者用の誓約書も別に提出しなければならない。申請者が管理者を兼ねる人も多いと思われるが、その場合も別に管理者用の誓約書を提出する必要がある可能性もあるようだ。東京都については個人、役員が兼ねる場合には管理者用のみ提出する旨が書かれている。所轄の都道府県警察のホームページでしっかりと確認しておくと良いだろう。
仮に管理者用と個人用(法人役員用)を別に用意する必要がある場合、管理者用の誓約書にも申請者の氏名、住所を記入し押印をする。内容が同じであるため、手間と思う人も多いかもしれないが、制度上どうしても必要な書類であるため、用意しなければならない。なお、内容は同じでも書類は個人用(法人役員用)と管理者用に分かれているため、間違えずに管理者用の誓約書を使用する。
法人申請の場合の注意点
法人申請の場合も、記載事項などは同じだが、いくつか注意点がある。法人として誓約書を提出するのではなく、申請者(代表取締役)と役員全員分の誓約書を提出する点だ。
住所や氏名は会社のものではなく、申請者や役員の氏名と自宅住所を記入することになる。押印ももちろん、会社のものではなく、申請者や役員それぞれの印鑑で押印する必要がある。
誓約書記入例
誓約書の記入例を紹介するので参考にしてほしい。
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- 〔個人営業者用〕
- (施行規則第1条第3項第1号のロ書面)
誓 約 書
- 私は、古物営業法第4条第1号から第6号までに掲げる
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は第31条に規定する罪若しくは刑法(明治40年法律第45号)第247条、第254条若しくは第256条第2項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 居住の定まらない者
- 古物営業法第24条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取り消しの日から起算して5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取り消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取り消しの日から起算して5年を経過しないものを含む。)
- 古物営業法第24条の規定による許可の取り消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取り消しをする日又は当該取り消しをしないことを決定する日までの間に第8条第1項第1号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して5年を経過しないもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号のいずれにも該当しない場合は除くものとする。
- のいずれにも該当しないことを誓約いたします。
- 令和元年〇〇月〇〇日
- 住所 東京都東京市東京町1-1-1
- 氏名 古物商太郎 ㊞
- 東京都公安員会 殿
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参考サイト集
これまで記載方法について紹介してきた。しかし、他の記載例を参考にしたい場合もあるだろう。最後に、参考となるサイトのリンクを残しておく。
- 略歴書
- 1.各警察署のHPに記載された記載例(リンクは東京都警察署のもの)
- https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/kobutsu/youshiki/shinsei_kobutsui.files/00_01r.pdf ,
- 2.古物商の教科書
- https://kobutsukyoka.jp/kobutsusho/2018-resume-manual/
- 3.岡山県 松葉会計・行政書士事務所
- https://kobutu.office-matsuba.com/index/shinsei-kojin2
- 誓約書
- 1.アクセス行政書士事務所(同ページに略歴書の記載例もあり)
- http://kobutusho-kyoka.com/未分類/102/
- 2.牛島行政書士事務所
- http://kobutsu-office.com/seiyaku
- 3.織田行政書士事務所
- https://www.aichi-kobutu.com/howto/pledge/
まとめ
略歴書は履歴書のようなものであり、氏名・住所・生年月日・本籍、過去5年間の経歴の年月日及び経歴の内容、備考(賞罰を受けたかどうか)、作成年月日と氏名・住所を記載し、押印をすれば良い。不安な場合にも、いくつかの記載例を参考にしながら記載すれば問題なく仕上がるだろう。
申請にあたっては、申請者本人、管理者、法人役員全員が欠格事由に該当していないことが重要になる。また、管理者は住まいから近く常在できること、専門の知識を有している必要があり、警察署から専門知識の確認がおこなわれる場合もある。注意すべきはこういった情報だろう。
また、欠格事由に該当していないことを誓約するために、誓約書も記載が必要である。これは記入年月日を記載の上、省略せず名前や住所を記載し押印を押せば良いので決して難しくない。しかし、誓約書は個人、法人役員、管理者用と別になっているため注意したい。
管理者の場合に個人や法人役員の書類には記載が必要ないケースと、記載が必要なケースと各都道府県で異なっているようだ。所轄の都道府県の警察署ホームページからしっかり確認をおこなっていきたい。
この記事を監修した専門家
