枕草子の一節にも登場する火鉢。灰を入れ、炭火をいけて使う、日本の伝統的な暖房具である。室内や手先を暖めたり、湯をわかしたりするのに使用されてきた。素材は木製、金属製、陶器製、真鍮製、銅製など材質はさまざまで、形も丸型や直方体、筒形などがある。奈良・平安時代に生まれ、鎌倉中期から末期にかけて庶民の間に広がっていった。
薪に火をくべるのとは違い、火鉢は炭を使うので煙が立たないのが特徴。部屋の中に煙を充満させることがないため、重宝されており、今でもエアコンが苦手とする人たちの一部では愛用されているようだ。江戸時代からはデザインも重視された火鉢が多数登場するようになった。
昭和20年頃まで各家庭に欠かせない暖房機器のひとつだったが、ファンヒーターやエアコンといった大変便利な家電が増えた近頃では、祖父母の家や蔵にある火鉢を見て、「これは一体何に使う道具なのだろう?」と感じる若者たちにより、その骨董品的価値が見出されないまま、不用品回収業者で処分されるケースが増加してしまったのだ。
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売り時が到来している火鉢
そんな形で現存数がどんどん減少している火鉢は、希少性といった意味でも高額査定の要素が高まっている。
また、田舎暮らしや古民家への憧れから、火鉢にも徐々に注目が集まりはじめている。アンティークの火鉢は、今では手に入りにくい素材やデザインが多い。さらに、新品よりも価格がお手頃ということもあり、人気が高まっているという。火鉢本来の使い方以外にも、植木鉢のカバーや傘立てなど、インテリアとして使用されているようだ。
このように、近年活況を迎えたレトロブームにより、火鉢を買い求めたいと考える人々も増えているため、この商材に高値がつく「売り時」が到来していると考えて良いだろう。
今回は、自宅に眠る火鉢の処分を検討する皆さんと一緒に、この商品に意外な需要が生まれている理由や高額査定を紹介していきたい。
火鉢が高く売れる理由とは?
火鉢の高額査定実績が多い理由には、これから紹介する6つの時代背景が大きく関係している。
1.火鉢の希少性の高さ
高齢化社会へと向かい続ける日本では、火災のリスクの高い火鉢や囲炉裏に代わって、スイッチを押すだけで適温を保てるファンヒーターやエアコンなどが暖房機器の主流となってしまった。そんな近頃では、全国の陶芸産地でも火鉢を作る職人が減少傾向にあるため、現存数の少なさによって希少性が高まり続けていると考えて良いだろう。
特に伊万里焼や有田焼といった、陶磁器の火鉢は、なかなか壊れにくい銅製などと比べて遥かに希少性が高いと言われている。
2.火鉢を使う施設や自治体の増加
名古屋市緑区などにある、要伝統的建造物群保存地区の中には、古い建造物特有の温まりやすい構造を活かすために、古い火鉢を設置するところが増えている。また、愛媛県の卯之町駅でも、待合室に集う人々が体と心を温めるために「愛の火鉢」と呼ばれる巨大な火鉢を設置している。愛媛県内の有人駅では最も標高が高い卯之町駅。朝晩の冷え込みが厳しいからと、市の観光協会が昭和34年から続けている取り組みだ。
このような地方都市の取り組みが火鉢の存在を忘れ去っていた人々の心に良い刺激を与えていると考えて良いだろう。
3.古民家カフェの増加
築100年以上の古民家や廃校などをリノベーションした古民家カフェの急増も、そのインテリアとしてマッチする火鉢の需要を高めている。
特に、和室にちゃぶ台を並べて食事ができるようなカフェでは、江戸火鉢や関西火鉢なども古き良き時代を演出する家具となるため、他に暖房機器を導入している人たちでも火鉢というインテリアアイテムに着目することが多いと言えるだろう。
火鉢を求めて骨董品専門店に訪れる人の中には、古民家カフェで味わった火鉢の穏やかな温かさに惹かれる方々も多く見受けられる。
4.遺品整理・買取業者の急増
亡くなった祖父母や両親の自宅にて遺品整理や出張買取を行う業者の増加により、昭和後半以降に生まれた人とは縁のない火鉢がさまざまなショップの買取実績ページで紹介されるようになった。
また、遺品整理や買取を通して「これが火鉢なのか!」と知る人も多いため、自宅や蔵に眠っている品物の整理や鑑定を行う業者の存在が、この商品の知名度を高めていると考えて良いだろう。
5.Hibachiブームの影響
アメリカなどでは、「Hibachi」と呼ばれる日本の鉄板焼きが大ブームになっている。自国でHibachiの美味しさに惹かれた外国人の中には、日本旅行の際に「火鉢とHibachiの違い」を知る人達も多く存在しているため、少し意外な角度から火鉢の知名度が高まっていると考えて良さそうだ。日本文化に関心のある外国人なら、本当の「火鉢」を知れば、ますます火鉢に興味を持ってくれるのではないだろうか。
また海外では「炭火焼きレストラン」も人気が高いため、炭を使って室内を温める火鉢に惹かれる人が多いのも納得できることだろう。
6.中国骨董ブームの影響
中国で起こっている骨董オークションブームは、日本の骨董品専門店にある「中国火鉢」の売れ行きを高めている。
特に、葛明祥などの著名作家によって製陶された火鉢は、希少性だけでなく歴史的価値も高いため、中国人富裕層が日本の骨董品で爆買いすることも納得できると言えるだろう。
そんなブームに乗って、さまざまな骨董品を売買する投資家の中には、色鮮やかな伊万里焼などの日本火鉢に興味を持つ人も大変多いようだ。
高く売れる火鉢の種類と参考買取相場 まとめ
高く売れる火鉢には、有名陶芸産地や有名作家、形状といったさまざまな特徴や付加価値がある。
このようなポイントを把握しておくと、買取店への問い合わせや価格交渉もしやすくなるため、将来的に売却予定の火鉢があるなら予備知識としてチェックすることをおすすめする。
伊万里焼
伊万里焼は、佐賀県有田地方で生産される、日本で最初の磁器で、生産は1605年ごろから始まったとされる。独特の色絵付けが特徴で、海外市場にも進出している。東京国立博物館などにも多く収蔵されている伊万里焼は、火鉢の高価買取実績が大変多い。
特に、朝鮮の技法を多く用いている伊万里焼の火鉢は、中国の富裕層からも大注目されているため、コレクションをするなら絶対にチェックしておくべき産地と言えるだろう。
買取相場については、作家不明の商品でも10,000円~15,000円前後の査定が付いている。

銅製
どっしりとしたフォルムが魅力の銅製火鉢は、木製や陶製と比べて経年劣化が少ないことによって、高値に繋がりやすいと言われている。
人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」では、金屋五郎三郎という作家によって作られた銅製火鉢に90,000円もの高額が付いたこともある。
また、周囲に掘られている彫刻の美しさによってはプラス査定も期待できるため、自宅で使う機会のない火鉢があるなら、査定だけでも受けてみるべきと言えるだろう。
独楽塗
独楽塗は、漆工芸の一つ。同心円状に赤、黄、黒などの漆で塗り分けた文様が特徴。お椀やお盆などに多く用いられる。蒔絵が施されている火鉢にも、伝統工芸品的な付加価値がつく。
特に縁起物として選ばれることの多い独楽塗の火鉢は、美しさ、技法、希少性が相まって、小さなものでも10,000円~20,000円前後の高値が付くことが多いようだ。
漆器製品は多くの骨董品店で歓迎される傾向が高いため、盆や菓子器なども火鉢と一緒に査定依頼に出すと良いだろう。
関東火鉢、江戸火鉢
浮世絵など芸術作品の中でも多く登場する江戸火鉢は、インテリアとしても人気の高い商品である。
火鉢の中で、「江戸火鉢」と呼ばれているのは、火鉢と引き出し付きの袖机をセットにした種類のもの。引き出しの中にはお茶道具などを収納していて、江戸ではどの家庭にも必ずあったそう。江戸火鉢のわきには、火鉢の熱によって乾燥ができる実用性の高い引き出しも付いている。比較的シンプルな陶磁器や銅製の火鉢と比べて、高値になる要素が多いと考えて良いだろう。
そんな江戸火鉢の買取相場は、少し高めの30,000円~150,000円ぐらいが一般的である。
中国火鉢
陶製や銅製火鉢の中には、中国人作家によって作られた物も多く存在している。1700年代に活躍した名工・葛明祥の火鉢は、ほとんどの骨董品買取店や古美術品店で高価買取対象となっている。
中国骨董ブームが活況を迎える近頃では、「日本作家よりも中国作家の火鉢の方が高く売れる」といった口コミも見受けられるため、高価買取を狙いやすい売り時が到来していると言えるだろう。

その他の高く売れる条件
【買取可能な火鉢の例】
・共箱があり、作者の名前がはっきりわかる火鉢
・螺鈿や蒔絵がついた美術品としての完成度が高い漆塗りの火鉢
・美しい木目を持った希少価値の高い木材でできた火鉢
・江戸~大正時代の物だとはっきりわかる火鉢
引用:ゴトー・マン
火鉢の買い取りが得意なオススメ業者
レトロブームや遺品整理・買取業者の急増、Hibachiブームの影響などにより、火鉢の買い取りが注目されている。とはいえ、初めて売却するとなると、どこに売りにいけばいいかわからない人もいるのではないだろうか。そんなときは実績豊富な買取業者に買い取ってもらおう。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は、東大赤門前に本店を構え、40年の実績を誇る買取店だ。北海道、神戸、博多、世田谷にも支店があり、来店鑑定・宅配鑑定・出張鑑定に対応している。日本全国どこからでも受け付けてくれるのがうれしいポイントだ。さらに多くのメディアで特集を組まれるほどの実績を持つ。経験豊富な専門家による鑑定・買取が魅力的。様々な分野のスペシャリストが在籍しているので、安心して依頼しやすいと言えるだろう。写真鑑定だけでなく、電話による無料見積もりにも対応しているので、気軽に査定してもらってはいかがだろうか。
バイセル
買取価格
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
「バイセル」は、絵画や骨董品などの美術品専門の買取業者。絵画・美術品の買取相場の高さがピカイチである。当サイトでも人気のある、おすすめの鑑定業者だ。全国どこでも対応してくれて、出張買取にも無料で応じてくれる。名前の通り、最短30分という査定の速さもポイントだ。さらに、「他店より買取金額が1円でも安ければ全品返却いたします!」とうたっている。火鉢を高い金額で売りたいならば、「バイセル」の無料見積もりを依頼してみてはいかがだろうか。
なんでも買取マクサス
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ウイルス
対策
品川区、港区、渋谷区で展開している買取サービス。五反田では店頭での買取も行っている。出張サービスはないのだが、オンライン買取サービス「SEL-LIVE」では、電話一本で、
おたからや
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ウイルス
対策
貴金属やブランド時計、ブランドバッグ、骨董品などの買取をする業者。店頭買取、宅配買取、出張買取にすべて無料で対応してくれる。これなら重い火鉢の買取でも心配ない。さらに、宅配キットも無料で届けてくれるのはうれしいポイント。
ジュエルカフェ
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ウイルス
対策
全国に店舗を展開している、ジュエリー・貴金属の専門買取店。店頭買取、出張買取、宅配買取のすべてに対応してくれる。全国のショッピングモールにも出店しているので、近くの店舗に気軽に持ち込むことができる。貴金属類の無料掃除サービスや、無料のドリンクサービスなど、カフェのようなおもてなしをしてくれる。クーポン券のプレゼントや友達紹介キャンペーンなども随時行っているので、是非チェックしてみよう。
まとめ
良心的な買取店では、灰が入ったままの火鉢でも積極的に査定を行なってくれる。ただ、買取店によっては査定を断られたり、査定額が下がってしまうことも考えられるため、査定に出す前になるべく火鉢をきれいな状態にしておくことをおすすめする。
火鉢に関連した道具も一緒に買取に出そう
また、火おこしや火箸、五徳、十能、火消し壷など、火鉢と一緒に使う道具があれば、セット売りによるプラス査定も期待できる。火箸や五徳は南部鉄器の場合に価値もかなりつく可能性がある。火鉢と一緒に保管されている物がないか確認して、もしあれば一緒に鑑定士のところに持ち込んでみるのがいいだろう。灰や炭が入ってしまっている場合は掻き出して燃えるごみに捨てよう。綺麗に取り除いておこう。付着して取れない場合は無理に取り出そうとして傷をつけないようにしよう。そのまま査定見積もりに出すべきだ。
一般の人には運搬が難しい関東火鉢や大型の陶製火鉢の場合は、無理に自宅からの持ち出しをせずに出張査定サービスを活用して欲しい。
充実したサービスを積極的に利用しよう
特に、買取店のサービスが充実している近頃では、遺品整理を兼ねた出張査定を行うところも増えている。そのため、火鉢単独で依頼するだけでなく、「故人の家にあるもの全て」とか「蔵全体」といった形で、効率よく骨董品や古美術品を手放してみても良さそうだ。
自宅近くで火鉢を積極的に買い取ってくれるショップが見つからない場合は、キーワード検索だけで最大50社の買取業者が表示される当サイト・ヒカカク!もぜひ活用してみてほしい。