近年ではインターネットの発達により気軽に古物商を始められるようになってきた。古物商を始めるにあたって気になるのが、税金ではないだろうか。個人事業主として古物商を始めた場合でも、確定申告をする必要があるのか気になる人が多いだろう。
当記事では、個人事業主として古物商を営む際、確定申告は必要なのかという点について解説していく。確定申告をするにあたって知っておきたい節税対策についても紹介していくので、これから古物商を始めるという人は参考にしてほしい。なお、ここで紹介する情報は2020年9月27日の情報である。
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古物商とは
古物は1度消費者の手に渡ったもののことである。中古品はもちろん、売却するために仕入れた新品も古物だ。流通段階の商品は古物にはあたらない。
そして、古物商とは古物を取り扱う商売をしている人のことをさす。古物を売買したりレンタルしたりするビジネスがそれにあたる。近年注目されているフリマやネットオークションを使った古物取引も古物商なので、留意してほしい。
確定申告とは
そもそも確定申告とはどのようなものなのかを解説していこう。
日本では、所得がある場合はその所得に対する税金を納めなければいけない。しかし、国側でひとりひとりの所得を把握し、納めるべき税金を計算するのは困難を要する。そこで、所得がある人が自ら所得や納めるべき税金の金額を計算し、国に申告する必要がある。これが確定申告だ。
確定申告は確定申告書に情報を記入し、税務署に提出することで完了する。近年ではマイナンバーカードを使用したオンライン上での提出も可能になった。
確定申告が必要な人・したほうがよい人
個人事業主として古物商を始めた場合、確定申告は必要なのだろうか。この場合、条件によって異なるというのが答えである。確定申告が必要な人、不要な人を見ていこう。
古物商で確定申告が必要な人
古物商で確定申告が必要なのは、次のような人である。
- ・所得が38万円以上ある人
- ・副業で古物商をしていて20万円以上の所得を出した人
- ・古物商を副業でおこなっており、本業の給与が2000万円を超える人
古物商は本業でおこなっている場合と副業でおこなっている場合の2パターンがあるだろう。それぞれのパターンで条件が異なるので、解説していく。
本業でおこなっている場合は、所得が38万円以上となったら確定申告が必要だ。所得なので、収益から経費を差し引いた額で計算しよう。たとえば、30万円で仕入れたものを50万円で売った場合は、50万円-30万円=20万円なので確定申告が不要になる。
古物商のほかに本業がある場合、つまり古物商を副業としておこなっている場合は、所得が20万円を超えたら確定申告が必要だ。ただし、20万円以下であっても、本業の給与が2000万円を超える場合は確定申告が必要である。
ほかにも、古物商であるかないかに関わりなく、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておらず退職所得がある場合や所得税の免除や軽減を受けている場合、110万円以上の贈与を受けた場合などは確定申告が必要だ。
確定申告がしたほうがよい人
上記の確定申告が必要な人にあてはまらない場合、確定申告をしなくても違反にはならない。しかし、節税の面から、確定申告をおこなったほうがよい場合がある。
たとえば、事業で赤字を出した場合だ。この場合、確定申告をすれば税金の還付を受けられる可能性がある。また、青色申告をすることで赤字の3年間繰り越しが可能となり、2年目3年目の課税所得を減らせる。
また、医療費が10万円を超えた場合やふるさと納税をした場合、住宅ローンを組んだ場合は確定申告をすることで控除を受けられる。払う税金を減らせるので、できれば確定申告をしておきたいところだ。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告はめんどくさい、確定申告しなくてもバレないだろう、そのように考えている人もいるかもしれない。しかし、確定申告の義務があるのに確定申告をしないと、ペナルティが科せられてしまう。
確定申告を怠ると、無申告加算税という追加の税金が発生してしまう。納付する税金の50万円までに15%、50万円を超える部分に20%を乗じた金額を払うことになるので、かなりの痛手となる。
また、期限を過ぎてから申告した場合は延滞税という追加の税金が発生してしまう。こちらは年ごとに税率は異なる。
さらに、故意に確定申告を怠り、納税の義務を免れようとする行為は、ほ税という犯罪にあたる。確定申告は必ず期限内におこなうようにしよう。
確定申告の期限は?
確定申告は毎年2月~3月15日付近となっている。2019年3月15日に申請するのは、2018年の内容となるように、前年の内容を申告するようになる。2020年は新型コロナウィルスの影響で申告期限が延びて4月16日までとなっているが、これは非常事態に伴う特例のため、基本的には2月~3月15日が期限と考えておこう。
会計ソフトを使って楽に確定申告をおこなおう
初めて確定申告をおこなう際には、右も左もわからず不安なことがあるだろう。しかし、会計ソフトを使えばほとんど確定申告の知識がなくとも確定申告が可能となる。弥生会計や会計ソフトfreeeなど無料から使えるクラウド会計ソフトもあるので、試しに使ってみるとよいだろう。
会計ソフトを使えば、通帳や領収書などの金額を入力していくだけで書類が作成できる。確定申告書の様式もソフトの中に入っているため、手書きで記入する必要もなく短時間で書類が完成するので便利だ。
どうしても確定申告が不安な場合は、税務署に行って直接書類を見てもらうとよいだろう。わからないことがあれば質問できるので、「これで書き方は間違っていないだろうか」「脱税になってしまったりしないだろうか」といった不安もなくなる。
節税のためにチェックしておきたいこと
確定申告をする際に気になるのが、節税対策だ。しっかりと節税対策をとっておき、無駄な出費を減らしたいところ。ここでは、基本的な節税対策を紹介する。
経費を整理しておこう
節税するにあたって気になるのが、経費だ。どんな費用が経費扱いできるのかを知っておけば、課税所得を大幅に減らせる。
そもそも経費とは何かというと、ビジネスで利益を得るにあたって必要となる費用を指す。そして、間違えて考えている人が多いが、経費はタダにできるものではなく所得から差し引けるものである。税金は所得に応じた金額を払うことになるが、この所得から経費を差し引くことで所得を減らすことができ、結果として払う税金が少なくなるというものだ。
さて、古物商を営むにあたり経費扱いできるものはなんだろうか。その一部を見ていこう。
- ・開業するにあたりかかった申請料や行政書士に払った報酬など
- ・事務所の家賃やWEBサイトのサーバー代など
- ・仕入れにかかった費用
- ・備品代
- ・通信費
- ・交通費
- ・火災保険や自動車保険料
- ・古物商についてのセミナー参加費など
その他、古物商を営むために必要となった費用はほとんど経費扱いにできる。これらの経費は確定申告の際に計上できるように、領収書をとっておこう。領収書がない場合はレシートやクレジットカードの明細などをとっておくようにしよう。
また、不当に経費を上乗せして計上するとペナルティが発生する。自宅を事務所にしている場合の家賃など、中には正確に計算するのが難しいものもあるが、できる限り正しく計上するようにしよう。
青色申告をしよう
青色申告は節税対策として有効である。確定申告は青色申告と白色申告があり、特に申請していない状態なら白色申告をすることになる。しかし、青色申告のほうが税金の面の優遇があるので、できれば青色申告をおこないたいところだ。
青色申告のメリットをあげていこう。
- ・青色申告特別控除として65万円が控除される
- ・青色事業専従業者給与を経費扱いできる
- ・赤字を3年間繰り越しできる
まず、青色申告の最大のメリットとされているのが65万円の控除である。書類をしっかりと作成さえすれば課税所得をマイナス65万円できるので、かなりの節税対策になるだろう。
そして、青色専従業者給与を経費として扱えるのも大きい。本来、生計をともにする配偶者や親族に支払う給与は経費として扱えない。しかし、届出を出して配偶者や15歳以上の親族を青色事業専従業者として認めてもらえば、その給与を経費扱いできるのである。
また、赤字があった場合は赤字を3年間持ち越せるのもメリットだ。たとえば、1年目で50万円の赤字、2年目で50年目の黒字が出たとしよう。この場合、青色申告なら1年目の50万円と2年目の50万円は相殺できるので、2年目の課税所得がゼロとなるのだ。
青色申告をするには複式簿記という方式で帳簿しなければいけないが、これは会計ソフトを使えば難しくない。青色申告をして損はないので、ぜひ青色申告をしてほしい。
古物商を始めるなら許可申請を忘れずに
この記事を読んでいる人の中には、これから古物商を始めようと考えている人も多いのではないだろうか。ここからは、古物商を始めるにあたって忘れてはいけない許可申請について解説していこう。
古物商許可申請とは?
古物商をおこなうには、許可申請が必要である。所定の手続きをおこなってから始めなければいけないのだ。許可をもらわずに古物商を営むと、古物営業法違反となり重い罰則が科せられてしまう。
なお、メルカリやヤフオクなどでせどりのようなことをやる場合も同様である。ただ、不要品があったため売るといった単発での売却は古物商にはあたらない。
古物商の許可を得るには、次の手順をとる。
- 1.警察署に相談
- 2.必要書類をそろえる
- 3.申請書の作成
- 4.警察署に申請する
申請してから約40日後の許可となるため、スケジュールを確認しておこう。古物商を始めたいからといってすぐに始められるわけではないので、早めに申請しておきたいところだ。また、許可が下りてから6ヶ月間のうちに営業を開始しないと許可が取り消しになるので、「とりあえずとっておこう」という気持ちで申請をするのはおすすめしない。
また、古物商の許可を得たとしても、正しく営業しなければ営業停止処分となることがある。「許可をとればあとは大丈夫」と気を抜かないようにしよう。
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行政書士も活用しよう
古物商の申請は上記を見てわかるとおり、複雑な手続きを取る。特に書類作成は専門知識がないと手こずる場合も多いだろう。間違った内容で申請してしまうと許可がおりないので、正確に申請しなければいけない。
そこでおすすめしたいのが、行政書士に申請を代行してもらうという方法である。依頼するには4~6万円ほどの費用がかかるが、スピーディかつ正確に申請してもらえるのだ。書類作成の自信がない、警察署や役所に行く時間がないといった場合には、行政書士に申請を代行してもらうのがおすすめだ。
申請代行のサービス内容は行政書士によって異なるが、書類だけの作成をしてくれるパターンと警察に相談するところから書類作成まですべておこなってくれるパターンがある。当然後者のほうが料金が高くなるので、必要なサービスと予算から自分に合ったサービスを選択しよう。
ちなみに行政書士に申請を代行した場合、その報酬は経費扱いにできる。確定申告の際に役立つので、領収書をとっておこう。

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まとめ
個人事業主として古物商をおこなう際には、確定申告が必要かどうかをチェックしておこう。本業なら所得が38万円を超える場合、副業なら所得が20万円を超える場合や本業の給与が2000万円を超える場合に確定申告が必要となる。確定申告を怠ると支払う税金が増えてしまうので、確実におこなっておこう。
確定申告をするにあたって、節税対策をしておくのがおすすめだ。経費をしっかりと管理しておけば、課税所得を減らせる。また、青色申告は節税効果が高いので、ぜひチャレンジしてみてほしい。