中古品の取引や売買で多く見られるのが古物という言葉である。古物に対して使用済みの品物、というイメージを思い浮かべる方は少なくないだろう。しかし古物の定義からするとその認識は間違っており、人が使った品物=古物という訳ではないのだ。
では、一体どのような存在が古物にあたるのだろうか。この記事では、古物についてまとめたので参考にしてほしい。また小売店で購入した物が定義上、新品なのかどうかなど間違えやすい疑問点についても触れていく。
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古物の定義
古物=使用済みではない。確かに古物は、人が使用した品物という意味合いを含んでいるが、定義上はそれだけではない。どんなものが古物として定義されているのだろうか。次の3つの要素にあてはまるものが定義上の古物である。
- 1.使用された形跡のある品物
- 2.使用を経て修理されたもの
- 3.未使用でも使用のために取引がされた品物
1、2の要素についてはイメージできる人が多いだろう。リサイクルショップや古本屋、中古ゲーム屋などで販売されている品物の多くが、使用された形跡のある品物や使用を経て修理されたものにあてはまる。古物の最もポピュラーな形だと言っても過言ではない。
一方で認識されにくいのが、3の要素だ。古物=使用済みのイメージを持つ方は、未使用でも古物に含まれてしまうのかと違和感を感じてしまうだろう。しかし、リサイクルショップや中古ショップで使った痕跡も修理跡も無いような新品同様の商品を見たことはないだろうか。傷跡も修理後もない商品が、使用目的で購入したものが使われず販売店に売られたのが3のケースである。
注目すべきは、使用目的で購入したという部分で、仕入れや販売のために取り寄せた商品はこの3のパターンにあてはまらない。古物の定義上は、卸問屋と小売店間で取引された品物は新品として扱われることになる。古物取り扱いに関する規定も、仕入れや取り寄せをおこなった品物には基本適用されないので覚えておこう。また、古物営業法では次の13品目のみが古物として定められている。(2019年1月現在)
- ・美術品類(絵画や書画、彫刻品、工芸品など)
- ・衣類(和裁、洋裁、衣料品全般で破損した品物でも形をある程度保っていれば衣類とみなされる)
- ・時計、宝飾品(貴金属、宝石、眼鏡、装飾品全般で装飾できる古美術品の類は美術品カテゴリに含まれることがある)
- ・事務機器類(FAX、コピー機、パソコン、ワープロなどで外付けHDやUSB機器などは性質によってその他の機器カテゴリに含まれることがある)
- ・機械工具類(電機類、ゲーム機、工作機械、土木機械、化学機械や工具などでの事務用ではない機器全般で娯楽用電子機器もこのカテゴリに含まれる)
- ・写真機類(カメラ、光学機器全般、双眼鏡、内視鏡、顕微鏡)
- ・書籍(本類全般)
- ・金券類(商品券、引換券、乗車券などで美術的資料や価値を持つものは古美術品として数えられることもある)
- ・道具類(楽器、電磁記録媒体、ゲームソフト、什器、家具、運動用具)
- ・自動車(部品も同様)
- ・自動二輪車、原動機付自転車(部品も同様)
- ・自転車類(部品も同様)
- ・皮革、ゴム製品(鞄や靴など)
古物営業法では、上記のカテゴリに含まれない品物は、使用のために取引された物や使用済みのものでも古物としてカウントされない。上記のカテゴリに入らない化粧品や航空機は古物の定義を満たしていても、古物営業法取り扱い範囲での古物商品にはならないのだ。
ただし、古物営業法は1949年に制定された非常に古い法律であるため、最新機器や商品については判断が曖昧な部分がある。近年所持する方が多くなったドローンのように道具類なのか、それとも機械工具類なのか判別がしにくい品物も存在するので注意しよう。
古物の売買や取り扱いについて
古物の買取や販売をするためには、原則として古物商営業許可が必要だ。商売として古物品の売買を古物商許可申請せずにおこなった場合、古物営業法違反(100万円以下の罰金か3年以下の懲役)として処罰される可能性があるので注意しよう。詳しくは古物商営業許可申請についてのページや窓口で規定や仕様を確認してほしい。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html
古物営業法、及び古物商営業許可は盗品が中古品として流通するのを防止する役割もあるため、違反に対する処罰はやや重めだ。不用品の処分には古物商営業許可申請は不要である。
また次のようなケースには、古物商営業許可申請は必要ない。フリマアプリなどでおこなわれている不要品の取引は、以下の例に該当する場合は許可を取らなくても良い。
- ・使用してきた衣類や道具が不要になり転売する場合
- ・家族や友達から譲り受けた品物を転売する場合
- ・拾ってきた品物を手入れや修理をして転売する場合
古物商営業許可申請について
古本屋や中古品ショップを営む際は都道府県別にある公安委員会の許可、すなわち古物商営業許可が必要だ。古物商営業許可申請をおこなうには、以下のものを準備して提出しなければいけない。
- ・申請書類
- ・委任状(営業責任者本人以外が申請を済ませる場合)
- ・店舗の賃貸契約書、駐車場に関する契約書や書類
- ・責任者や役員全員の書類や会社書類(法人企業の場合)
- ・身分証明書類や住民票
- ・プロパイダによる資料(ホームページなどを持つ場合)
- ・手数料約2万円
申請は地域管轄の警察署でおこなえる。提出書類は個人や法人、業務内容によって異なるので詳細は地域管轄の警察署で確認すると良いだろう。古物ジャンルを複数扱う場合は書類の記入項目が若干増えるので注意が必要だ。また許可が降りるまで約1〜2ヵ月掛かるケースが多いので、申請する場合は前もって準備しておこう。
ネット上での古物の取り扱いには許可が必要?
個人レベルでの不用品の売買は、基本古物商営業許可は必要ない。オークションで欲しかった古いCDを2〜3枚、古着を10着買ったとしても個人で利用するならば問題ないのである。それらが不要になりオークションやフリマサイトに出品する場合も同様だ。
しかし、CD5000枚や古着1000着のよつな膨大な数が利益目的で取引される場合は例外だ。取引される規模が大きいの場合は個人レベルとは言えず、商売と判断されてもおかしくはないだろう。営利目的と判断されるほど規模が大きい取引がされるケースは、古物商営業許可申請が必要になる。
たとえ小規模だとしても、販売業者として活動を続けている場合は許可を求められる。古物商営業許可の申請をするときは、売買で活用するホームページなども資料として届けを出さなければいけない。許可申請を済ませたあとは、認可された公安委員会や古物商許可番号をホームページやチラシなどの媒体に記載することが義務付けられる。
ここまでお伝えした通りネット上で取引をおこなう場合でも古物を取り扱った商売をするときは、古物商営業許可申請が必要だ。近年では古物ビジネスがフリマアプリを通しておこないやすくなった関係で、ネットに存在する古物販売業者の中には規定に関する知識を持たず、古物商営業許可申請をおこなっていない業者も見られる。古物商営業許可申請を済まさずに古物を取り扱う商売をして利益を獲得すると実店舗やネットショップを問わず、有罪になる可能性があるので注意してほしい。
ネット上で古物販売に役立つサイト
ネット上で書籍や道具、衣類などの古物販売をおこなう際は楽天市場やYahooショッピング、Amazonの3サイトを利用するのがおすすめだ。楽天市場やYahooショッピング、Amazonを利用する上でのメリット・デメリットは以下の通りである。
それぞれに付随するサービスを上手く活用すれば利益効率を上げられるので、取り扱い商品や自身の運営スタイルを考慮して各サイトの利用を検討してみてどうだろうか。
楽天市場のメリット
楽天市場を古物販売に使用するメリットは4つである。
- ・コンサルタントが運営や困りごとに対してアドバイスをくれる
- ・ショップ運営者向けのプログラムやサービスが豊富
- ・インターネット通販全体でも多くのシェアを誇る
- ・アフィリエイトによって簡単に宣伝ができる
楽天市場のデメリット
楽天市場を古物販売に使用するデメリットは3つである。
- ・利用客のメールアドレスが保存できないためリピーター向けのメール配信ができない
- ・出店料が他サイトと比較すると高め
- ・コンサルタントが定期的に変わる
Yahooショッピングのメリット
Yahooショッピングを古物販売に使用するメリットは4つである。
- ・楽天同様にコンサルタントへ相談できる
- ・楽天市場の出店数を大きく超えるため、規模はトップクラス
- ・オリジナルのクーポンが作れる
- ・ショップページのレイアウトやSEOが自身で設定可能
Yahooショッピングのデメリット
Yahooショッピングを古物販売に使用するデメリットは3つである。
- ・規模が大きすぎて、取り扱い商品やサイト運営によっては埋もれやすい
- ・商品を販売する毎に手数料が掛かる
- ・出店すると広告や宣伝のメールが届くようになる
Amazonのメリット
Amazonを古物販売に使用するメリットは4つである。
- ・発送や利用客対応をおこなってくれるFBAが便利
- ・Amazon内にある商品ならば画像を撮らなくても出品できる
- ・小口出品と大口出品のどちらかしかないのでシンプルでわかりやすい
- ・出品するまでの手順が簡単
Amazonのデメリット
Amazonを古物販売に使用するデメリットは3つである。
- ・販売者側の利益や効率を上げるようなサービスが少ない
- ・商品ページのレイアウトは自由に変えられない
- ・サイト利用者数は多いが商品をアピールする手段が限られているので、集客するための工夫が必要
まとめ
古物とは基本的に、使用のために取引された品物のことである。一般的なイメージとしては使用済みといった印象が強い古物だが、使用目的で購入、及び所持していた未使用品も古物として定義されている。
なお、古物営業法で定められている古物の分類は美術品類や衣類などの全13種類で、この13種類にあてはまらないものは、規定上古物として取引されない可能性が高い。古物営業法は1949年に制定された古いものなのでドローンなど、最新機器の分類がしづらい一面がある。
また、古物の取引及び売買をするには古物商営業許可が必要だ。古物商営業許可申請は、地域内や管轄の公安委員会に向けて許可を求めるもので、手続きは居住地区や店舗を持つ地域の警察署でおこなえる。申請時は手数料約2万円と自身や運営、店舗に関する書類、法人の場合は役員や責任者資料などを用意しなければいけない。古物商営業許可は書類不備や疑わしい点がなければ、申請後約1〜2ヵ月程度で認可される。
拾ってきた品物を修理して転売するケースや家族・知人から譲り受けた品物を転売するケース、自身の不用品を売るケースでは古物商営業許可申請は必要ない。ただし、商売として古物売買をおこなう場合は実店舗運営、ネットショップ運営に限らず古物商営業許可申請が必要のため注意しよう。
業者として利益を出しているにも関わらず、申請をおこなっていないと古物営業法違反として100万円以下の罰金か3年以下の懲役といった処罰を受ける可能性がある。古物商営業許可申請を済ませた業者はホームページや宣伝媒体、各販売ページで許可番号や申請した公安委員会を明記する義務があるので、古物を取り扱った商売をおこなう際はこういったことも忘れないようにしてほしい。