数あるTCG(トレーディング・カード・ゲーム)の中でも、長い歴史を持つマジックザギャザリング。あらゆるカードゲームの開祖なだけあって、さまざまなカードが本当に驚くような値段で取り引きされている。プレイヤーだけではなく、全世界にたくさんのコレクターが存在するので、本当に貴重なカードには100万円を超えるような価格がつく。この記事では、そんなカードゲームでオークション最高値がついたカードを紹介する。
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約1,900万円で落札された「Black Lotus」
マジックザギャザリングのカードの中で、オークション最高値を記録したのは「Black Lotus(ブラックロータス)」である。マジックザギャザリングを代表するカードの一枚として有名だ。2019年2月末ごろに、インターネットオークションのeBayに出品された「Black Lotus(ブラックロータス)」。USドルでオークションにかけられており、入札数は81件、落札価格は166,100ドル。日本円にして約1,900万円となる。
なぜ「Black Lotus(ブラックロータス)」にはこんな価格がついたのだろうか。誤解がないようあらかじめ書いておくが、すべてのマジックザギャザリングのカードがこんなに高額なわけではない。プレイ用であれば10円単位で買えるようなカードも多く、コレクション用に集めるのでなければ、1枚10万円台になることすらまず考えられない。「マジックザギャザリング=高額カードのゲーム」と捉えるのは間違いだが、コレクション用のカードに100万円を超えるものが数多く存在するのもまた事実である。

高額な理由
マジックザギャザリングのカードが高額な理由のひとつは、カードの総数である。25年以上もの歴史を持ち、トレーディングカードゲームというジャンルを切り開いたゲームであり、その歴史は他の同ジャンルのゲームと比べて最も長い。カードの総数は15,000種類以上が存在すると言われているが、コレクション用のカードの数は15,000種類程度では収まらない。
各カードにはイラスト違いやプレミアム・バージョンが存在し、ものによっては1種類で10枚以上のバージョンを持つものまである。言語違いや発行製品の違いを含めると、総数は数えきれないだろう。これだけの種類のカードたちが、コレクターの収集欲を刺激し、需要を喚起しているのである。
高額な理由のもう一つはコレクターの数だ。マジックザギャザリングは元々アメリカ発祥であり、全世界で発行されるようになって、プレイやコレクティングされている。コレクターの数を正確に測るのは難しいが、例えば2019年4月に横浜で開催されたグランプリ(世界からプレイヤーが集まる大規模トーナメント)では約2,500人の参加者が集まった。
グランプリ会場ではさまざまなイベントが併催され、またトレードの場としてコレクターが集結することを考えると、実際に集まった人数は2,500人を軽く上回っている。もちろん、2,500人はプレイヤーの数なので、コレクターの数を正確に測ることはできないが、それだけ世界から注目されているゲームということの証明になるだろう。
コレクター1人1人が財力を持っていることもまた、マジックザギャザリングのカードを高額にしている。25年間も続いているので、最初期に10歳だった少年も、財力に余裕を持つ35歳の大人となっているのだ。そういったコレクターがお金に糸目をつけずほしいカードを買い続けると、カードの価格はどんどん上昇する。
Black Lotusが高額な理由
Black Lotus(ブラックロータス)が高額な理由の一つはカード自体の人気だ。開発側がゲームバランスを把握できていなかった時代のカードなので、25年の歴史の中でも別格と言っても良いほどの強さを誇っている。あまりの強さはプレイヤーたちに強く印象付けられ、Black Lotus(ブラックロータス)はマジックザギャザリングを代表するカードであると言われているほどだ。
希少性の高さ
高額な理由のもう一つはその希少性。なにしろマジックザギャザリングの中でも最初期のカードである。マジックザギャザリングの最初期の製品であるアルファ版というセットに収録されているのだが、このとき印刷されたのは260万枚ほどだという。
その中でBlack Lotus(ブラックロータス)は何枚印刷されたのだろうか。印刷時はたくさんの数があったかもしないが、事故や紛失によってその枚数は減少している。「この世にある《Black Lotus(ブラックロータス)》の数は約2万枚。」という言葉があるほどだ。もしかしたらそれより少ないかもしれない。
また、マジックザギャザリングのカードの枠には、大きく分けて黒と白の2種類が存在する。黒は初版、白は再販であることを表す。もちろん初版のほうが人気が高い。約1,900万円で落札されたBlack Lotus(ブラックロータス)はもちろん初版の黒枠である。そして、約1,900万円で落札されたBlack Lotus(ブラックロータス)は保存状態が良かった。
保存状態の良さ
カードは保存状態によって金額が上下するが、高額カードとなればその振れ幅も大きい。特にBlack Lotus(ブラックロータス)をはじめとする最初期のカードには保存状態が悪いものが多かった。販売当時はコレクションとしての価値が低く、保存をするという発想がそもそもなかったのである。まともな保護もなしにシャッフルしたりプレイしたりしていれば、カードがボロボロになるのは当然である。「カードをピンで壁に止めた」という逸話があるくらい、当時の保存については意識が低かった。
そんな中で約1,900万円の値が付いたBlack Lotus(ブラックロータス)の保存状態は10段階中9.5の評価であり、非常に貴重な状態だったのである。世界に2万枚以下しか存在しない、マジックザギャザリングを代表するカードで、保存状態が非常に良い。これがBlack Lotus(ブラックロータス)に約1,900万円の価格がついた理由である。
Black Lotusは5か月前には約980万円だった
実は、2019年2月に約1,900万円で落札される5か月前にもBlack Lotus(ブラックロータス)はオークションにかけられている。そのときの値段は87,672ドル(約980万円)。もちろん初版で、保存状態も9.5と全く同じ条件のもの。なんと、たった5か月の間に価格が2倍ほどになってしまっているのだ。こういった現象は、カードが市場に出回ること自体が非常に少ない場合に起こり得る。
先述の通り、2万枚以下しかない中でも特に保存状態の良いBlack Lotus(ブラックロータス)。購入の機会を逃したらもう手に入れるタイミングは来ないかもしれないという恐怖が、Black Lotus(ブラックロータス)の価格を2倍にしたのだろう。もしもこの次に出品されるときがあればいくらになっているのか、想像もつかない。
Black Lotus以上の価値を持つカード
Black Lotus(ブラックロータス)はまぎれもなくマジックザギャザリングを代表するコレクター垂涎のカードであり、通常の製品としては間違いなく最高値である。一方、国産トレーディングカードゲームの「遊☆戯☆王」には、世界で1枚しか存在しないカードに約10億円の価値がついた記録がある。もちろんこれは大会賞品として発行された特殊なカードなので、通常製品であるBlack Lotus(ブラックロータス)とは単純比較できない。

マジックザギャザリングにも、このようにコレクション価値の高い特殊なカードが存在する。中でも最も有名なのは「Proposal(プロポーザル)」のカードだ。9枚しか発行されず、内1枚は紛失が確認されているので、世界に現存するのは残り8枚である。このカードは、マジックザギャザリングの生みの親のリチャード・ガーフィールド氏が、自身のプロポーズのために作成したカードである。
カードには「リチャードはリリーにプロポーズする」と書かれており、このカードによって当時のガールフレンドであったリリー女史と結婚をしたのだ。ロマンティックなエピソードと相まって、コレクターからするとどんな代償を払ってでも手に入れたい一品だろう。
しかし、このカードはオークション販売どころか画像すら公開されていない。万が一オークションに出品されれば途方もない金額がつくと思われるが、その額は測りようもない。本当に貴重なカードには、もはや値段すらつけることができないのだProposal(プロポーザル)には、シリーズとして他に3枚のカードが存在する。いずれも第一子や第二子の誕生、再婚など、リチャード・ガーフィールド氏の人生の節目に発行されたもので、それぞれ数は限られている。
その他の高額カード
他にもある高額カード
- エラーカード
- サマーマジック
- プロモカード
- 絵違いカード
- テストプリントカード
- パワー9
- デュアルランド
Black Lotus(ブラックロータス)やProposal(プロポーザル)には劣るものの、マジックザギャザリングには高額カードはまだまだ存在する。イラストとテキストが別々のカードになってしまったり、裁断ミスによりカードが半分しか印刷されていないまま市場に流れた「エラーカード」、誤って流出してしまった、販売されないはずだった製品の「サマーマジック」。
そういった特殊な事情がなくとも、初期のカードはコレクター人気が高い。また、新しいものでも、人気カードのプレミアム・カード版(キラキラと光る仕様)ならば10万円を超えるようなカードも存在する。
ほかにも「テストプリントカード」と呼ばれる貴重なカードも出回っている。以前、マジックザギャザリングはカード枠のデザインを大幅に変更したことがあるのだが、テストプリントカードは、その際に試し刷りとして発行されたものだ。もちろん正規販売される予定はなく、誤って流出してしまったものである。カード枠は既存のものとは全く異なるものなので、これもコレクター人気が高い。
フリマアプリをチェック
トレーディングカードゲームのフリマアプリのmagi(マギ)には、こういった高額カードが出品されることがある。人気カードのプレミアム・カード版などは比較的簡単に見つけることができるだろう。また、前述のテストプリントカードが出品されたこともある。magi(マギ)には以下のURLからアクセスできる。価値あるカードを入手するためにも、定期的にチェックしておこう。
(https://magi.camp/categories/32/items)まとめ
Black Lotus(ブラックロータス)はマジックザギャザリングの通常製品の中で間違いなく最高値がつけられたカードだ。世界に何枚存在するかも、次回の出品時にはどれほどの額になるのかもわからない。しかし、そもそも保存状態の良いBlack Lotus(ブラックロータス)がオークションに出品されること自体が稀である。もしもほしいと思うのであれば、しっかりとオークションサイトなどをチェックする必要があるだろう。



