ファッションの分野において、人気が高いのは、今も昔も世界的に有名なブランドが制作した高級な製品、いわゆるブランド品であろう。
ルイヴィトンやシャネル、グッチなど、世界的にも知名度が高い一流ブランドともなると、その動向がニュースになるほど影響力があり、そのためファッションにさほど興味がない人でも、それらのブランドを高級ブランドとして認知しているほどである。
ファッションの分野のように、ブランド物の人気が高いのは、腕時計の分野でも同じで、ロレックスやオメガ、タグホイヤーといった世界的に知名度が高い有名なブランドや、世界三大ブランドとよばれるパテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンといった超高級ブランドなど、様々なブランドが人気となっている。
そんな人気のブランド物の腕時計であるが、人気が高い高級品ゆえに、そのブランド物の偽物である偽ブランド物の腕時計が市場に出回ることがある。偽ブランド品の腕時計は、大抵安価に作られたものであり、それを前述のような高価なブランドの腕時計として売ってしまえば、大きな利益を得ることが出来るためである。
偽ブランド品の腕時計が流通すると、そのブランドも、価値がない偽ブランド品の腕時計を購入する可能性がある消費者も困るが、腕時計の買取を行う、質屋やブランド品買取ショップも困る事となる。
万が一、偽ブランド品の腕時計を本物のブランド品として買取を行った場合、その偽ブランド品の腕時計を中古品として販売することもできず、買取に費やした費用が無駄になってしまうためである。
そのため、ほとんどの質屋やブランド品買取ショップなどは、買取を依頼されたブランド物の腕時計の真贋を判定する時計鑑定士と呼ばれる人を配置して、偽ブランド品の腕時計の買取を防いでいる。
今回は、時計鑑定士について記載する。
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時計鑑定士とは
時計鑑定士とは、質屋やブランド品買取ショップなどで、ブランド物の腕時計の真贋を判定する人を指す場合がある。
質屋やブランド品買取ショップは、腕時計以外のブランド品の買取も行うので、時計鑑定士というよりブランド品全体の対応を行うブランド品鑑定士、と呼ばれる場合が多いが、腕時計の買取専門のショップなどは、時計鑑定士となるだろう。
前述のように、質屋やブランド品買取ショップなどは、偽ブランド品の腕時計の買取を行ってしまうと、費やした費用は無駄となってしまうので、それを防ぐためにも、ブランド物の腕時計の真贋を判定する時計鑑定士の役割は、極めて重要といっていいだろう。
また、時計鑑定士は、本物のブランド品の腕時計である可能性が高いと判断した場合は、その腕時計の状態や、元々の腕時計の価格、中古市場での人気などから、査定を行い、買取価格を決める場合もある。
これらの作業も、質屋やブランド品買取ショップにとって重要な作業であり、そういった意味でも時計鑑定士も極めて重要となる。
時計鑑定士という資格はあるのか?
鑑定士というと、不動産鑑定士が比較的知られているが、不動産鑑定士として活動するには、国家資格である不動産鑑定士の資格を取得する必要がある。
では、時計鑑定士として活動するには、時計鑑定士の資格の取得が必要となるのであろうか。実は、“時計鑑定士”と呼ばれる資格は存在せず、さらに、時計鑑定士として活動するのに取得しなければならない資格は、特にないのである。
前述の不動産鑑定士の資格を取得する場合は、国土交通省土地鑑定委員会が実施する国家試験に合格し、さらに実務修習を経て、修了考査で認められれば、不動産鑑定士の資格を得て活動することが出来るが、時計鑑定士になるための試験や実務修習などは存在せず、つまり時計鑑定士という資格は存在しないのである。
そのため、時計鑑定士になるには、質屋やブランド品買取ショップなどに時計鑑定士として就職するか、自分で買取ショップを立ち上げて、時計鑑定士として活動するなどの方法がある。
ただ、前述のように、ブランド物の時計の真贋や査定して買取価格を決定する時計鑑定士は、質屋やブランド品買取ショップにとって重要な存在である。
そのため、質屋やブランド品買取ショップは、時計の鑑定や査定に関する講習を実施したり、場合によっては試験を行い時計鑑定士として十分な技術を持つと認められたりした人を、時計鑑定士として店頭などで時計の買取などの実務を行わせているようだ。
実際に質屋やブランド品買取ショップでブランド物の腕時計の鑑定や査定などを行っている時計鑑定士は、技術的に問題ないものと思われる。
時計修理技能士とは
前述のように時計鑑定士になるのに必要な資格はないのだが、時計を扱う資格として、時計修理技能士と呼ばれるものがある。ブランド物買取ショップのホームページには、時計鑑定士が、時計修理技能士(時計技能士)の資格を取得していると紹介されることがある。
つまり、時計修理技能士は、時計を鑑定したり査定したりする場合に有用な資格とされる場合があるのである。
では、時計修理技能士とはどのような資格だろうか。
時計修理技能士とは、都道府県職業能力開発協会によって実施される時計修理などの知識を問う学科試験と、実際に時計の修理作業などを行う実技試験に合格した人に与えられる不動産鑑定士同様の国家資格である。
時計修理技能士は、3級から1級、そして最上位の特級の4段階のランクがあり、難易度は、当然特級が一番上となる。
また、各ランクごとに、資格を取得するための条件が設定されていて、最低ランクの時計修理技能士3級は6か月未満、2級は最低2年以上、1級は最低7年以上、そして、最高ランクの特級は、1級合格後最低5年以上の、それぞれ実務経験が必要である。
つまり、何の経験もなく、知識だけでいきなり受験できる資格とは違い、時計業界である低緯度実務をこなすことにより取得できるという、まさに時計業界に従事するための人の資格と言っていいだろう。
ただ、時計修理技能士は、その名の通り時計を修理する技術をもった技術者の資格であり、時計の鑑定や査定には直接関係はない。
しかし、時計を修理するためには、時計の内部構造や材質など時計に関する様々な事を理解していなければならず、時計修理技能士には、時計に関するプロフェッショナルといえるほどの知識や技術が必要で、そのような知識や技術は、時計の鑑定や査定においても役に立つことあり、時計鑑定士の中には、時計修理技能士の資格を持っている人もいるのである。
もちろん、時計修理技能士の資格がなくても、時計鑑定士として十分な技術を持つ人は多いが、時計鑑定士が持つ技術を見る指標の一つとして、時計修理技能士の資格について確認するのもありかもしれない。
まとめ
時計鑑定士について記載したが、時計鑑定士は、依頼されたブランド物の時計の真贋を判定したり、査定して買取金額を決定したりする技術を持った人達を指す。時計修理技能士と呼ばれる資格はあるものの、時計鑑定士自体には特に資格はなく、その時計鑑定士が持つ技術が物を言う職業といっていいだろう。
ブランド物を時計の買取を依頼したい場合は、信頼できる時計鑑定士がいる質屋やブランド物買取ショップに依頼したほうがよく、そのために、買取の依頼を出す前に、時計鑑定士に関する情報、ネットの掲示板やSNSなどの書き込み、口コミ、時計修理技能士の資格の有無などを集めて、検討したほうがいいだろう。