メーカーや卸問屋を経由せず、主にエンドユーザーの不要となった私物を商品として再販するのが、リサイクルショップであり古物商だ。調達可能な商品のリストも、そして明確な仕入れ値の規定も見当たらない独自の商圏であり、店主の豊富な知識と経営手腕が問われる商売である。
店舗の維持から発展に不可欠な、仕入れルートの確保と開拓に、常に尽力し続ける姿勢が求められる業種であり、これこそが商売繁盛の鍵と言っても過言ではないのである。
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エンドユーザーからの持ち込み
実店舗を構えるリサイクルショップあるいは古物商にとって、店頭での持ち込み品の買取は貴重な仕入れルートであり、多くの店舗が買取強化を謳う文言を掲げているのが何よりの証拠である。
とりわけ特定の趣味に特化したショップの場合、常連客を増やし、自店で購入したマニアックなグッズを自店に売却してもらうことで、商品を複数回再販できる可能性があるため、これは大きなメリットだ。
マニアックなショップならではの仕入れスタイル
いわゆるコレクター層を形成する、マニアックグッズや楽器などを主力商品に扱う店舗の場合、閉鎖的な独自の商圏の構築が可能なのもこの商売の大きな特徴だ。
一般的にはその価値が周知されずとも独自の商圏内では高額取引されるグッズは、調達ルートによって粗利率が大きく異なる。そのため、時には大きな利幅が確保できる商品なのだ。
その独自の価値を理解していない買取依頼者が、査定額に合意して売却しれくれれば、店側にとってベストな仕入れとなるメリットが見過せない。また常連客が購入と売却を繰り返すなか、利幅は控え目でも確実に在庫を絶やさずに回転させられるのも、販売と買取を同時進行で実践するリサイクルショップや古物商ならではの強みなのだ。
ネット上の不確実な情報への対処
インターネット社会の今日、真偽の怪しい内容も含め、膨大な情報を誰もが確認できる環境である。店頭買取に際しては店側に正しい最新知識と毅然とした対応が求められるのだ。
ゴリ押しする買取依頼客に押し切られてしまったり、怪しいフェイク商品を掴まされてしまっては、金銭的な損失のみならず店の信用度にも影響が避けられない。実店舗での依頼者と店側の、顔を合わせての買取査定と交渉に際しては、凛とした姿勢とそれを裏打ちする知識と経験値が求められ、それが店舗の実力として反映されるのである。
ネットオークションでの落札
表向きはエンドユーザー間の個人売買を主目的として開設され、一気に市場を確立し拡張を続けるネットオークションもまた、今日業者の主力仕入れルートなのが現状だ。
匿名性を活かし、無料の自店のホームページ同様に活用する業者もみられ、ハンドルネームと売買される商品の内容からエンドユーザーがその事実を見抜いているのも暗黙の了解となっている。店頭買取よりは高額での落札となるケースが多く、売れ筋商品やバックオーダーを抱える商品をピンポイントで調達できるメリットは魅力である。
ただしネット上での仕入れの経緯が丸見えのため、中古品や希少品に対し、購入者が潜在的に期待する神秘性や入手困難な現状に対するプレミア面の説得力に欠けるなど、デメリットも背中合わせだ。
オークション参加に潜むリスク
店側の土俵での交渉となる店頭買取とは異なり実際の立場は店舗であったにせよ、オークションでの金品授受は個人売買であり、そこに潜むリスクは無視できないのが現実だ。
さまざまなトラブルの事例が後を絶たず、事業所である店舗と個人間で生じてしまったトラブルの舞台がネットオークションとなれば、後々厄介な展開が懸念されるのだ。
魅力的な商品には迷わず飛びつき確保したいところだが、出品者の素性を冷静に見極め、業者あるいは一個人いずれの立ち位置で落札に臨むのかなど、冷静な判断と確固たる姿勢が望まれる仕入れルートである。
メインの仕入れルートと化してしまうリスク
稀少な人気商品は、時に落札価格が高騰するネット上の市場のため、確保した商品が薄利多売となる、仕入れに要する費用が大きく膨らむ場合があり注意が必要だ。
店頭買取と比較して、1点調達するのに要する時間と労力も大きく、必ずしも効率や対費用効果に優れた仕入れルートとは限らず、バランス感覚が重要だ。
暗黙の了解でエンドユーザーすなわち素人間の売買空間に、業者が過剰に介入している事実が風評となれば、店のイメージのマイナスにもつながり兼ねない。ピンポイントで活用すべきルートとの判断が賢明である。
業者間での取引
広義の同業者間での売買もまた、必要な特定の商品の調達に欠かせないルートである。こうしたネットワークが充実しているリサイクルショップや古物商にとっては、そのメリットは大きな武器なのだ。
全国展開を進めるチェーン店では、複数の系列店で在庫を回すことで、来客に常に新鮮な店内イメージを伝えられるため、敢えて全商品をホームページ上にアップしない、独自のイメージ戦略も実践されているほどである。
異なる同一業者間の取引
特定のジャンルの専門店間では、水面下で積極的に実践されている在庫の売買であり、自店のお得意様からのバックオーダーに応える場合など、特に有効な仕入れルートである。
ただし無用にネットワークばかりを広げ過ぎてしまい、肝心の金品が動かない環境となってしまった場合、同業者内における自店の信用下落にもつながり兼ねず注意が必要だ。相手先との信頼関係を確認しつつ、必要最小限の業者間取引ルートにとどめておく、匙加減の見極めが重要である。
相手先の突然の廃業のリスクを視野に
リサイクルショップや古物商は、突然閉店や廃業してしまう店舗の比率が決して低くないという一面が見過せない業種である。
たとえば主な仕入れルートを、同業者間のやりとりに頼り過ぎてしまった場合、未回収の売掛金を残した状態で相手先が行方不明になってしまえば、最悪の場合は連鎖倒産の可能性が出てきてしまうのだ。業者間取引を仕入れルートとして活用するに際しては、相手先の経営状態など数ヵ月先を見極めた取引が鉄則であり、重きを置き過ぎるのは危険である。
ホームぺージを活用した買取
実店舗での営業と同時進行で、別途無店舗の買取専門窓口をネット上に設けるスタイルも、近年多くのリサイクルショップが実践する新たな仕入れルート開拓法だ。添付画像を用いた事前の概算査定サービス、宅配便を活用した遠方のエンドユーザーからの買取など時代の最先端とも言える手法である。
メールと宅配サービスの駆使
店頭買取を主な仕入れルートに据える場合、自ずと見込客は近隣在住者に限定してしまい、広い全国各地を視野に入れた場合、来店不要で買取査定が可能なサービスの提供が必要だ。
そこで近年多くのリサイクルショップや古物商が実施する、遠方の潜在的見込客を開拓する方法が、メールと宅配便を活用した査定対応だ。近隣に買取対応店が見当たらないエンドユーザーにとって、これは魅力的なサービスであり、着実に利用者数を増やし続ける注目の仕入れルートである。
また査定対象品が遠方の店にある状況での最終査定額の提示であり、心理的に店側主導で合意に至れる環境も見過ごせないメリットだ。査定額に不満足でも、回収に必要な運賃負担を思えば、渋々提示額に納得せざるを得ない環境は、エンドユーザー側に事前の理解があれば好条件での仕入れの大きな武器である。
踏まえておくべきリスク
店側と売り手双方にとって、一見便利な仕入れ方法だが、他の仕入れルートには想定されないような数々の潜在的リスクが背中合わせである。まずは紛失や破損などの運送事故が生じた場合、距離と運送業者が絡む事後処理の負担が大きいというデメリットがネックである。
また実体のないネット上の怪しい業者も数多く、エンドユーザーの誤解から実際とは違う負のイメージを抱かれてしまっては本末転倒だ。実在する業者であることを明示する、ネットを活用した商売に必要な条件を満たす配信が不可欠である。
情報収集からの営業と開拓
どれだけ時代が変化したとしても、旧来の地域密着スタイルの営業と商圏は、脈々とそれぞれの地域に根づいているものだ。そしてこれらを無視してはならない筆頭格と言えるのが、リサイクルショップと古物商だ。日常目や耳に飛び込んでくる膨大な情報により注意を向けることで、思わぬ仕入れルート開拓につながる可能性は十分以上なのだ。
新聞や情報誌のチェック
一時期と比較すれば、そのスペースは大幅に減少しているものの、地域密着のタウン誌や情報紙面、スーパーマーケットの譲ります・譲ってください掲示板などのアナログ情報は見過ごしてはならないのだ。
自店の不良在庫を探している近隣住民、バックオーダーを抱えた商品を無料で譲るとの告知など、ピンポイントで奇跡的な商品調達情報と遭遇できる可能性は常にゼロとは言えないのである。移動中には意識的に無料配布されるこうした発刊物を回収からチェックする、掲示板では足を止めて目を通すなど、いずれも実践したい習慣である。
世の中で遭遇する全てが仕入れ先候補
同業者の店舗を問わず、わずかでも接点が感じられる店やイベントに遭遇したのであれば、最低限連絡先を控える習慣もまた将来に向けての中長期的な仕入れルート開拓である。
たとえばデパートの特設会場で開催中の全国各地の職人店に足を運べば、自店の主力商品となる伝統工芸品や、伝統技術をお披露目している職人との出会いが叶い、ビジネスの糸口となる可能性が期待できるからだ。
まとめ
リサイクルショップや古物商では店頭やネット、同業者間からなど、様々な仕入れルートがある。自店舗の店頭での持ち込み買取を軸に、業者間の連携、便利なインターネットの駆使に加え常にわずかな可能性を見過ごさない洞察力を加えることで、盤石の仕入れルートをバランス良く確立できればベストである。
リサイクルショップや古物商の主力商品は中古品であり、すべてが自身の采配ひとつで利益を生み出す可能性を秘めている点を、店主だけでなく関わるスタッフ全員が踏まえておくべきだ。