特徴的な女性目線の美人画で有名な上村松園(読み方:うえむら しょうえん)の掛け軸や日本画には、買取業者やライブオークションにおける高価買取実績が非常に多く見受けられる。その中には1,000万円を超える買値のついた作品もたくさん存在するため、彼女の掛け軸を所有しているなら査定ポイントをしっかり抑えた上で、慎重に売却に向けた準備をすべきと言えるだろう。
今回は、上村松園の経歴や美人画を描くきっかけとなったエピソードや、これから掛け軸買取に臨む皆さんに知っていただきたい査定ポイントをご紹介していきたい。
本記事のポイント
- 上村松園は、数々の受賞歴がある
- 国宝・重要文化財に指定されているものもある
- 数千万円の値段がつく作品は少なくない

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日本画家 上村松園の略歴
明治時代、京都下京に生まれた上村松園は、女性の目を通した魅力溢れる美人画で知られる日本画家だ。京都の伝統文化に囲まれて育った松園は、美・善・真の極地に達した本格的な美人画を描くことを念願としていた。また自身の絵画に対して、清澄や香高さなども求めていたため、一点の卑俗もない上村松園の美人画に多くの人々が魅了される理由も納得できると言えるだろう。
母への思慕と絵画への影響
上村松園の絵画に対する姿勢は、女手一つで自分と姉を育ててくれた母への敬愛と思慕によって生まれた。母・仲子は、まだ女性の活躍が世間で受け入れられない明治の時代に、松園の画家への志を応援してくれたようだ。また彼女は母に対して、「私を生んだ母は、私の芸術までも生んでくれたのである」という言葉を残しているため、母と娘の深い愛によって上村松園の美人画の誕生に繋がったと言えそうだ。
15歳で一等褒状受賞
苦労の中で絵画に打ち込んだ上村松園は、15歳で出品した第三回内国勧業博覧会にて、一等褒状受賞をすることなる。またこの作品は、偶然その時期に来日していたヴィクトリア女王の三男・アーサー王子が購入したことでも話題になっているため、彼女の日本画界における高い注目は10代の頃から始まっていたと捉えて良いだろう。
上村松園の3人の師匠
上村松園は、四条派の鈴木松年と幸野楳嶺、竹内栖鳳の3人から日本画や美学を学んでいた。最初に師事した鈴木松年は、京都画壇の大家と言われる存在だった。これに対して鈴木と同じように京都画壇を引っ張る作家だった竹内栖鳳は、日本画の革新運動における一翼を担っていたようだ。こうした自分の生まれ育った京都において、3人の師と出会った上村松園は、四条派だけでなく狩野派、西洋の写実法といった幅広い技法に触れながら、自身の美人画を確立していった。

多彩な受賞実績と評価
間元町竹屋町に自身の画室を竣工した上村松園は、その後、帝室技芸員や帝国芸術院の会員として日本画界の発展に尽力する形となる。また晩年には女性として初の文化勲章受賞や従四位に叙されているため、女流画壇として革新的とも言える彼女の作風とエネルギーは日本画界だけでなく国内の文化発展に尽力するだけの価値があると社会的に判断されたと捉えて良いかもしれない。
子、孫と3代続く日本画家
上村松園は、子供の上村松篁、孫の上村淳之という3代に渡って日本画家であることでも注目されている。円山派の流れに立って制作活動を行っていた息子の松篁は、母の松園と同じように文化勲章を受賞する形となった。これに対して現存している孫の上村淳之については、京都市立美術大学の名誉教授や上村家3世代の芸術作品を所蔵する松柏美術館の館長をしているようだ。こうした形で孫子の代まで日本画家を志させた松園のエネルギーは、身近な人々にも大きな影響をもたらしていたと考えて良いだろう。

上村松園の代表作品一覧と所蔵美術館
上村松園の代表作品の中には、国宝・重要文化財に指定されているものもある。「序の舞」「母子」の2つである。
序の舞
重要文化財の「序の舞」は、1965年の切手趣味週間における図案として採用されたデザインだ。この絵のモデルとなったのは、息子の上村松篁の妻の未婚時代だと言われている。この作品の題名は宮尾登美子の小説のタイトルにもなっているため、美人画や日本画に触れる機会の少ない皆さんでも、意外なところでこの作品と出会っていることもあるだろう。
母子
第15回の帝展に出品された「母子」は、上村松園にとって永遠のテーマを描いた額装の日本画だ。1934年に制作されたこの作品は、日本画家として活動する中で精神的支えとなっていた母への追悼の思いが大変強かったとも言われている。また上村松園はパリ万国博覧会に出品する作品に対しても「母子」というタイトルを付けているため、長きに渡って同じテーマを突き詰めた彼女の想いが、母が亡くなった年に集大成に近い域まで到達したと捉えて良いだろう。
上村松園のその他の代表作
- 「青眉」
- 「伊勢大輔」
- 「焔(ほのお)」
- 「御ひなの図」
- 「砧」
- 「小町の図」
- 「四季美人図」
- 「静」
- 「蜃気楼」
- 「初夏の夕」
- 「清少納言」
- 「草紙洗小町」
- 「序の舞」
- 「鼓の音」
- 「雪月花」
- 「つれづれ」
- 「待月」
- 「娘深雪」
- 「梅下佳人」
- 「鼓の音」
上村松園の掛け軸における作品買取価格相場
国内外のコレクターから注目される上村松園の掛け軸は、一般的な日本画と比べて遥かに高値が期待できる存在だ。
神ひな之図(シルクスクリーン版画)の落札相場
大変人気の高い上村松園の掛け軸の中には、シルクスクリーン版画も存在する。インターネットオークション・ヤフオクに出品されていた「神ひな之図」については、本物ではあるが複製画である版画作品では珍しく53,000円もの高額落札となっている。しかし上村松園による肉筆ではない作品が珍しく高額といっても数万円であることを考えると、木版画やリトグラフなども買取専門店での高額査定は難しいと捉えた方が良いだろう。
待月
同じヤフオクの中でも、かなり年季の入った「待月」という本物の掛け軸には97,666円もの価格で落札になっている。135件もの入札数の入ったこの作品は、掛け軸のネットオークションの中ではかなり注目度の高い存在だったと捉えて良いだろう。また商品写真を見るとかなりシミやヤケが生じているため、上村松園の本物であれば多少のコンディションの低下があっても確実に高値で売れると言えそうだ。
お福の図
上村松園の掛け軸は、人気テレビ番組・開運なんでも鑑定団にも出品されている。鑑賞者の心をスッと洗練させてくれる「お福の図」には、2,000,000円もの評価額が付けられた。また最晩年の作品については、12,000,000円もの評価額が付いた実績もあるため、彼女の掛け軸をコレクションするなら制作年にもこだってみると良いだろう。
處女愛児図
明治43年頃に制作された處女愛児図「處女愛児図」は、ライブオークションで15,000,000円~25,000,000円の予想落札額に対して36,000,000円もの高額落札に至った実績がある。オークションハウス側の想定よりも10,000,000円以上の高値が付く実態を見ていると、上村松園の掛け軸であれば専門店や依頼主が思っているより遥かに高い価値があると捉えて良いだろう。またこうした作品のほとんどは、東京美術倶楽部などの鑑定書が付いているため、高額査定を狙うなら真贋をきちんと確認しておくべきだと言えるだろう。
その他、上村松園の買取相場・買取実績・落札例
- 「花嫁の図」3100万円(SHINWA AUCTION)
- 「二美人觀書」1850万円(SHINWA AUCTION)
- 「美人舞妓図」390万円(八光堂)
- 「姉妹賞牡丹」230万円(八光堂)
- 「官女之図」160万円(八光堂)
- 「窓外清香」150万円(八光堂)
- 「春雨」100〜150万円(アート買取協会)
- 「盆踊りの図」130万円(八光堂)
- 「古代米姫図」120万円(八光堂)
- 「円窓美人」100〜120万円(アート買取協会)
- 「白拍子」80〜100万円(アート買取協会)
- 「美人納涼図」90万円(エコリング)
- 「おどる女の図」45万円(八光堂)
- 「椿」28万円(八光堂)
- 「雛ノ図」25万円(緑和堂)
- 「初雪」11万円(SHINWA AUCTION)
- 「つれづれ」木版画6万円(八光堂)
- 「美人画」1万円(八光堂)
上村松園の掛け軸を高価買取に繋げる査定ポイント
ここまで紹介したとおり、上村松園によって描かれた掛け軸は、高価買取に繋がりやすい存在だ。こうした作品により良い価値を付けるためには、上村松園などの美人画や四条派、狩野派といった日本画派に詳しい専門店に問い合わせをするのが理想と言えるだろう。また買取店では本物か贋作かといった真贋の判定に欠かせない落款・印や、サイン、付属品の有無なども査定基準に含めているため、問い合わせをする際にはこれらの情報がわかる写真を送信するようにして欲しい。

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LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
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店舗の低コスト運営、クーリングオフ制度の導入など顧客目線にたった経営を行っている総合美術買取センターは、LINE査定にも対応している。上村松園はホームページに取扱作家として紹介されており、買取を強化していることがわかる。
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翠波画廊は創業30年。年間1500点ほどの販売実績がありLINE査定にも対応している。無料査定の申し込み、おおよその査定額の連絡、買取方法の選択、支払というステップで買取を行っている。翠波画廊では上村松園の作品が人気でよく売れるため買取強化しているとのこと。
出張買取に対応している買取業者
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八光堂は創業40年。骨董品、美術品の買取を行っている東証マザーズ上場の全国規模の会社である。上村松園の作品の高価買取をうたっているが、上村松園の作品の中でも美人画、姉妹賞牡丹、窓外清香、盆踊りの図、美人舞妓図などにおいては他社に負けない買取額を提示できる自負があるとのこと。
福ちゃん
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「遺品買取」「遺品整理」が両立した安心・高品質なサービス提供をしているという福ちゃんは、出張買取も行っている。福ちゃんでは上村松園の買取に力を入れており、代表作『序の舞』『人生の花』『母子』『焔』『娘深雪』『舞支度』の紹介や上村松園の生涯を紹介している。
自宅近くに専門店がなくても掛け軸の売却は可能
宅配買取や出張買取サービスを使えば、自宅近くに古美術商のない皆さんでも掛け軸の売却は可能だ。また近頃では、出張料無料で出張買取サービスを行う専門店も登場しているため、地方都市で暮らす皆さんでもコストをかけずに掛け軸や絵画作品を高額査定に繋げやすい時代になったと言えるだろう。